機械式ディスクブレーキ ほんとに調整簡単か? 油圧との違いやキャリパーとの効き比べなど

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自転車のブレーキは二派に分かれます。ホイールのリムを挟んで止めるリムブレーキとハブを挟んで止めるハブブレーキです。→自転車ブレーキ一覧

リムブレーキ属は以下の通りです。

  • ロッドブレーキ
  • カンチブレーキ
  • キャリパーブレーキ
  • Vブレーキ
  • ダイレクトマウントブレーキ

ハブブレーキ属はこうです。

  • コースターブレーキ
  • ローラーブレーキ
  • バンドブレーキ
  • サーボブレーキ
  • ドラムブレーキ
  • ディスクブレーキ

国内の自転車の標準機体、ママチャリのブレーキはこの二派のハイブリッドです。前輪がシングルピボットのキャリパーブレーキで、後輪が安いドラムブレーキやバンドブレーキです。

ママチャリのブレーキ
ママチャリのブレーキ

ブレーキの効きはご承知の通りです。

スポーツバイクのブレーキシステムは2010年代以降にリムブレーキからハブブレーキへ移行します。ただし、MTBやロードのブレーキはローラーブレーキやドラムブレーキでなく、ディスクブレーキです。

マウンテンバイクの油圧ディスクブレーキ
マウンテンバイクの油圧ディスクブレーキ

ホイール軸の金属の円盤、ディスブレーキローターを挟んで止めます。大きさは違いますが、構造は原付やオートバイのものと同様です。

で、このディスクブレーキはさらに二派に分かれます。油圧ディスクブレーキと機械式ディスクブレーキです。さらに斬新な水圧ディスクブレーキというのもありますが、国内にはほぼ流通しません。

今回、ぼくは輪行用の折り畳み自転車のブレーキを機械式のディスクブレーキにしました。

機械式ディスクブレーキ
機械式ディスクブレーキ

おなじみのブレーキインナーワイヤーが見えます。紐式=機械式=メカニカルです。個人的に約五年ぶりのメカニカルDBです。前回はシマノデオーレ、今回はTRP SPYKEです。

この機会にこのハイブリッドなブレーキシステムの長所や短所、油圧式との違い、キャリパーブレーキやVブレーキとの比較を詳しく解説します・・・機械だけに。

機械式と油圧式の違い

一見、機械式ディスクブレーキと油圧式ディスクブレーキは同じものに見えます、ローラーブレーキとドラムブレーキのように。

しかし、この二つは似て非なるものです。レバー、キャリパー、ホースの全部が別物です。そして、機械式は引くブレーキ、油圧式は押すブレーキです。

油圧ディスクブレーキのレバー、ホース、キャリパーの中にはオイルがみっちり詰まります。

ブレーキオイル
ブレーキオイル

レバーがオイルを押し出し、オイルがピストンを押し出し、ピストンがパッドを押し出し、パッドがローターを挟んで、ハブの回転が止まります。媒体はオイルです。

機械式ディスクブレーキはこの逆です。レバーがワイヤーを引いて、ワイヤーがキャリパーを引いて、キャリパーがピストンを押し出します。媒体は紐です。

油圧式には摩擦がない

油圧ディスクブレーキの効きの良さ、レバーのタッチの軽さは主に摩擦抵抗の少なさに由来します。ブレーキオイルはホース内で激しく流動しても、摩擦を生じません。

反面、システムの中に空気が入り込むと、圧力が均一でなくなり、効きがガタ落ちします。これがエア噛み、空気噛みです。ゆえにエア抜き作業は油圧ディスクブレーキ及び油圧式機構の全般に必須の作業です。

これは油圧式ブレーキの断面図のイメージです。

エア噛み
上・完全な油圧 下・エア加味した油圧

下の例のようにレバーの押し込みの圧が空気に奪われてしまいます。気体の方が液体より簡単に圧縮するからです。結果、レバーがスカスカになったり、ピストンの動きが鈍ったりします。

機械式には摩擦がある

機械式ディスクブレーキの機構はその他のワイヤーで稼働する自転車ブレーキと同じです。違いはキャリパーのみです。

TRP SPYKE 機械式ディスクブレーキ本体
TRP SPYKE 機械式ディスクブレーキ本体

この部分を何某かで引くと、ピストンを押し出せます。上図のように指で引いても動かせます。ちなみにこのTRP SPYKEはVブレーキレバー用です。

で、これ以外の部位は従来のブレーキと変わりません。つまり、レバーのタッチ感や効きの悪さも変わりません。ワイヤーの移動には絶対的な摩擦が生じますから。

その解消のためにテフロンや何やの特殊皮膜の高級インナーワイヤーやアウターケーブルの潤滑用のスプレーなどが存在します。しかし、油圧の引きの軽さには及びません。個体と液体の差です。

これはリアブレーキで顕著です。ワイヤーが長くなると、摩擦が大きくなる。リアブレーキの引きの重さ、タッチ感の悪さはワイヤーの長さ=摩擦の大きさに起因します。あと、ワイヤーの曲がりや角度もポイントですね。

一部に油圧式のリムブレーキも存在します。ドイツのMAGURA社のものが有名です。

機械式のメリットとデメリット

機械式ディスクブレーキの性能面のメリットは特にありません。油圧式が圧倒的です。オフロード走行には機械式はやや力不足です。指一本=ワンフィンガーでロックできないと、安心して下れません。

DHの様子
DHの様子

しかし、短所は長所です。効きすぎないことは街乗り、普段使い、ポタリング、サイクリングには利点です。

コスパの良さと整備性?

機械式の真価はコスパと整備性のよさです。安いモデルは2000円前後からあります。メンテナンスの手順はおなじみのVブレーキやキャリパーブレーキと同じです。パーツの調達も簡単だ。

ちなみに油圧機構の方が構造的にはメンテフリーですが、そちらの主な用途がオフロード走行ですから、結果的に「油圧ディスクブレーキの方が早く劣化する」という誤解が普及します。

実際、同じコンディションでは機械式の方がさきに劣化します。何故ならインナーワイヤーは鉄の糸の束で、部分的に剥き出しだから。簡単にほつれて、切れて、錆びて、へたります。あと、アウターは縮むし、キャップは割れるし・・・

ブレーキインナーサビサビ
ブレーキインナーサビサビ

ブレーキシステムの全体的な統合性、ソリッドさ、パッケージの完成度、油圧式の方が機械式より上です。ある意味、部分的に剥き出しの鉄の糸の束で動作するメカニカルDBはおおらかなシステムです。

この事実を抜きに「機械式のメンテはらくちん!」と言うのは白々しいメルヘンです。システムの可視性は優秀ですし、パーツ調達は容易で、価格は安価ですが、相対的なメンテナンス性は油圧とどっこいどっこいです。

これを踏まえて、機械式DBを見返ししょう。おおらかなシステムです。ほぼ神経剥き出し!

ちなみにワイヤーが神経であれば、ブレーキオイルは血液にたとえられます。オイル交換やエア抜きはブリーディングと言われますが、英語の”Bleeding”は出血を意味します。

そのせいかシマノのミネラルオイルは赤色です。ちなみにこの容器はウナギのたれのやつです。

シマノミネラルオイル
シマノミネラルオイル

輪行や運搬には機械式が気楽

油圧DBを扱える自転車乗りが低性能な機械式ディスクブレーキをあえて使う理由は何でしょう? それは主に運用面のメリットです。輪行と運搬。

油圧ディスクブレーキのオイルは基本的にシステムの中に密封されますが、なにかの拍子に外へ漏れ出します。これがディスクローターやブレーキパッドに付くと、制動力が激減します。

それから、ホイールが車体から外れると、ブレーキキャリパーのピストンがフリーになります。で、この状態でブレーキレバーが動くと、ピストンが正常なクリアランスを越えて飛び出してまいます。

メカニカルDBではこのオイル漏れとピストン飛び出しが起こりません。機械の体に血は流れないし、ピストンは常に一定のクリアランスを保ちます。その延長でパッドのクリアランス調整が簡単です。

下のように六角で片方のピストンを別々に調整できます。ここだけは明らかに油圧より上です。

機械式ディスクブレーキのピストン調整
機械式ディスクブレーキのピストン調整

油圧のピストンの位置はローターの位置(挟んだものの位置)を基準にセミオートで決まりますし、クリアランスは0.5mm以下でシビアです。現にローターの微細な曲がりで鳴きが出る。→ディスクブレーキローターの音鳴り解消

また、ケミカルや圧力モノは飛行機にはセンシティブです。Co2ボンベやサスは検査の対象ですね。手練れのMTBerはサスの内部構造図やオイルの成分表を公式からDLして持参します。情弱は没収されて泣き寝入りします。

ぼくは将来的な飛行機輪行を予定して、機械式DBを意図的にチョイスしました。過去の旅行の経験から空港での行動はだいたいカツカツのバタバタです。海外では一手違いが命取りです。

機械式ディスクブレーキのランキング

自転車ブレーキを独断と偏見でランキングしましょう。機械式ディスクブレーキはどこに入るか?

  1. 油圧ディスクブレーキ MTB用
  2. 油圧ディスクブレーキ 一般用
  3. 油圧ディスクブレーキ ロード用
  4. 機械式ディスクブレーキ
  5. Vブレーキ
  6. ダイレクトマウント
  7. デュアルピボットキャリパー
  8. シングルピボットキャリパー
  9. ローラーブレーキ
  10. バンドブレーキ

Vブレーキよりちょい上、ロード用油圧よりちょい下でしょうか。もちろん、単純な制動力+タッチ感などを含めます。

雨とか砂とか泥とかを無視すれば、リムブレーキを上方修正できますが、アウトドアでそれらを度外視するのは現実的ではありません。

で、単純に制動力と手軽さを求めるなら、ド定番のVブレーキをチョイスします。

しかしながら、ホイールをカーボンにして、タイヤをチューブレスにすると、リムを直に挟むというシステムに全幅の信頼を置きかねます。

なにより見た目がSICK!!です。

自転車のパーツ
自転車のパーツ

機械式ディスクブレーキのまとめ

機械式=メカニカル=ワイヤー引きの構造的宿命でレバーの引きやタッチ感はVブレーキやキャリパーブレーキとそう変わりません。性能を重視するならば、油圧式を使いましょう。

「機械式ディスクブレーキのメンテは油圧より楽だ!」は厳密には正しくありません。剥き出しの鉄の糸の束はほつれて、切れて、錆びます。

もっとも、ピストンの調整は油圧より断然に楽です。電車にも飛行機にも気軽に載せられます。

制動力や操作性を含む総合的なブレーキ性能はVブレーキの同等以上、ロード用油圧DB以下です。やはり、リアブレーキの引きは摩擦で重くなります。

個人的に折り畳み、ミニベロ、ライトなグラベル、クロスバイク、フラットバーロード、アーバンには機械式、MTB、ヘビーなグラベル、ディスクロードには油圧式をおすすめします。

人気の機械式DBはシマノBR-M395、Avid BB7、TRP SPYRE/SPYKEなどです。

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