自転車の母国のフランスには数々の名門があります。タイヤのミシュラン、Hutchinson、ペダルのLOOK、フレームのTIME、そして、金属加工屋のMAVICです。
今回の悲劇の主役はこのMAVICです。
MAVIC DEEMAX グローブ買ったばかりなんですけど・・・
希少な手組ホイール愛好家がMAVIC OPEN PRO UST EXALITHを首を長くして待ってるんですけど・・・
MAVIC終了のお知らせ?
ミシュラン、Huthinsonは世界的な大企業ですが、あとの三つは常に不穏な空気を纏います。事業規模から自転車関連企業はファンドや商社に身売りされたり、あっさりなくなったり、こっそり復活したりします。
ちなみにMAVICの従業員数は約250人、Hutchinsonグループは3万、ミシュラングループは12万人です。
で、今回、自転車ホイールの4大メーカーに並ぶMAVIC社の経営が危機的状況に陥ったというニュースがフランスから届きました。
フランスの日刊スポーツ紙”Lequip”にもこの報があります。→ La société Mavic placée en redressement judiciaire
タイトルは「マビック社、管財人の監視下に」です。自転車文化とツールドフランスを支えた老舗が131年目に終局のカウントダウンに入りました。
所有者不明問題で裁判所に怒られる
MAVICのこの数年の動向は非常に不安定です。単独経営の不安からシューズのSALOMONの傘下に入って落ち着いたかに見えた矢先にカルフォルニアのリージェントLPに買われました。これが2019年7月です。
ところが、この買収の情報さえが二転三転します。MAVICの所有者はリージェントLPでなく、M-Sportsなるなぞの会社だとか。企業買収の闇は深い。このあたりの詳細は不明です。出さないのか、出せないのか・・・
で、MAVICはグルノーブルの裁判所から管財人を付けられました。期間は六ヶ月です。この間にこの名門リム屋は内外のごたごたを一新して、経営を立て直さなねばなりません、このアフターコロナの厳しい時期に。
ぼくの勝手な予想では3:7で現体制は終了します。オーナーは人を切って、ブランドを残すか。そのオーナーがそもそもはっきりしませんけど。
MAVICホイールやウェアが投げ売り? 出荷規制解除?
さて、一つのブランドが終わると、盛大な大安売りが始まります。投げ売り在庫処分セールですね。
どこの小売店が消えた会社の商品を店頭に並べます? 熱心なファン以外のだれが潰れた企業のグッズを買いましょうか? 売れるうちに売る、それが小売業です。
直近のMAVICの大特価セール&大安売りは2016年です。このときには英国ストアのCRCがMAVIC製品を投げ売りしました。懐かしいDMです。
が、このあとでMAVICには大幅なエリア別出荷規制が掛かりました。さらにCRCがWiggleに買収されましたね。
この2016年のセールの原因は不明です。ウェアやメットが激安だった。アパレル部門の見直しだ?
で、今回の破産騒動もこの往年のセールを思い起させます。「マビック閉店赤字大処分!」です。限定的に大手ストアの出荷規制が解除されたり、非取り扱いストアが販売開始したりするかも。
だって、売れ残り品は不良在庫になっちゃいますし。ホイールやリムはあれですが、ウェア、アクセサリの賞味期限は長くありません。もともとアパレルは半年で30%オフ、一年で50%オフになる業界ですから。
※この予想から一週間でWiggleやCRCのマビック規制が緩和されました。
Mavic Ksyrium ( キシリウム ) Pro カーボンSL UST ロードホイールセット 2020
定価 229949
割引 55%
特価 103499円
※2020/07/20 23:16:24のChain Raection Cyclesの価格
予想的中! 何かください。
ツールのニュートラルサポートはどうなる?
MAVICはフランスの自転車界の顔です。世界最高峰のロードレース、ツールドフランスのニュートラルサポートを務めます。その期間は何と40年間! です。黄色い車体はTDFの風物詩だ。
しかし、MAVICが終了すると、これも終了します。破産した企業のロゴをサポートカーに付ける主催者はおりません。
で、この名誉的なポジションが空白になると、ポストMAVIC争いがおもしろくなります。どこがツールドフランスのニュートラルサポートに入るか?
シマノ? ここでシマノを挙げる人はナンセンスです。フランス人の気質を考えましょう。フランス人は誇り高い民族です。自分の国が一番だと信じて疑いません。伝統と格式を重んじます。なんか京都府民チックだ。
そして、ツールドフランスは単なるスポーツイベントではありません。100年を越えるフランスの歴史と文化の一部です。夏の甲子園のようなものだ。
その伝統的な祭りのサポートにアジアの釣具屋やアメリカのMTB屋が入り込む? それを何十年と見続けるって? オーモンデュー! ブーブーブー! だいたいおまえらのせいでMAVICの売り上げが下がったんや! 出て行け! あほー! おまえらなんかよりRED BULLのがましじゃ! と、古参や重鎮の反発は必須です。
しかも、ツールドフランスのイメージカラーは黄色、チャンピオンジャージの色も黄色、南仏のイメージも黄色です。黄色いロゴのMAVICはここにマッチします。
シマノは青、SRAMは赤です。ツールのイメージに合いません。そんなカラーは神聖なる世界最高峰のフランスのレースの舞台にふさわしくない。「トリコロールには青と赤あるやん」というツッコミはなしです。
すでにアイツが来ていた!
やはり、ここはフランス国内の名門的な企業が最有力候補でしょう。ミシュランかHutchinson。ぼくの予想はミシュランですね。
なぜか? Googleで「ミシュラン」と入力して画像検索してみましょう。
黄色じゃねーか! なんだ、このドヤ顔はぁ!
と、全ての条件が揃いましたから、2021年のツールドフランスのサポートカーはミシュランに確定しました。RED BULLだったりして。