「2020年はメモリアルなオリンピックイヤーだ!」
そんなふうに考えていた時期がぼくにもありました。実際は新型コロナウィルスイヤー、大恐慌イヤーになってしまいました。マスクを求める市民がゾンビのごとく彷徨います。バイオハザァードォ・・・
この影響は全世界に及びます。国連はパンデミック級の警報を鳴らします。経済もエンタメもスポーツは絶望的です。先頃、サッカーの欧州選手権の延期が決定しました。オリンピックはどうなる?!
2020年自転車通勤時代の幕開け?!
ぼくらの身近な日常もコロナの脅威にさらされます。外で気軽に咳さえできない。そして、人口密集と濃厚接触がNGですから、電車やバスが恐怖です。もとより地獄な都心部の満員電車や混雑バスが究極にストレスフルな魔窟と化します。
が、ピンチはチャンスです。公共交通機関がこのような体たらくですから、その他の移動方法が相対的に浮上します。その筆頭が自転車だ。
通気性は120点です。他者との濃厚接触は皆無です。健康的でエコで低コストです。新型コロナウィルスの脅威がなくても、自転車通勤はおすすめです。
ちなみに今日のぼくは勤め人ではありませんが、学生時代やアルバイト時代に片道5~10kmのチャリ通を実践します。雨にも負けず風にも負けず、ギコギコギコ・・・乗り物が大の苦手ですし、満員電車が大の苦痛ですから。
この自転車通勤の経験とスポーツ自転車の知識を組み合わせて、初心者向けのチャリ通案内を以下に記します、適正距離、メリット、雨対策などなど。
え、『ジテ通』ですか? いや、関西圏は『チャリ通』ですがなにか? ここでは土地の習わしに従って、チャリ通で統一します。
自転車通勤の始め方
重度の自転車愛好家の意見では自転車通勤は全人類の義務です。なんで快適な自転車ですいすい走らず、地獄のような満員電車にもみくちゃにされに行くのか?!
自転車乗りになると電車やバスにはほぼ乗りません。去年の乗車回数は二回、今年はまだゼロです。
が、この意見はやや主観的です。自転車通勤、自転車通学、ジテ通、チャリ通への適正は人に寄ります。
「職場や学校が家から100mのところにある」
「自転車に乗れない」
「自転車通勤がそもそも禁止」
「私はランナーです!」
ランニング通勤も非常におすすめです。射程距離は自転車より限られますけど。
自転車通勤に快適な距離
一般的な通勤、通学の時間の目安はどのようなものでしょう? ぼくの感覚では一時間が許容範囲です。もっとも、満員電車や混雑バスの中では30分で胃袋の限界が来ます。乗り物酔いは不治の病だ。
で、一般人が自転車で一時間に進める距離は約15kmです。が、この数値は実態よりやや上振れします。公道の実走には信号や混雑が付き物です。-10%前後の補正が掛かる。
都会ではこの傾向が顕著です。とくに朝夕の都心部の交通は混雑します。
結果、実際の正味のスピードは時速10-12kmになります。つまり、これが快適なチャリ通の距離です。
これは自転車乗り的観点では短い距離です。しかしながら、自転車乗りの距離の感覚は一般常識からかけ離れます。
片道20km以上を自転車通勤する人はすでに正気ではありません。多分にチャリナウィルスの感染者でしょう。意識がややアンバランスだ。自転車への比重が大きすぎる。
一般人の常識と自転車乗りの常識を公平に組み合わせて、運動経験や道路事情を考慮し、おいしいゾーンを加味すると、8-15kmと答えられます。
これより短い距離、5km以内のチャリ通のダイエット効果、運動効果はびみょうです。5km前後はラン通、ジョグ通のおいしい領域です。
逆にこれより長い距離、15km以上のチャリ通ではメリットが薄れて、デメリットが強まります。とくにトラブル時の時間的なリカバリーが難です。タイヤがパンクするとか、急に腹が痛くなるとか、そんなことはしばしばあります。
公共交通機関での遅刻には一定の言い訳が立ちますが、チャリ通の遅刻にはそれは立ちません。腹痛で遅刻しようなら、「うんこ遅刻野郎」とか「くそ漏らし女」という陰惨な陰口を叩かれます。
運動は内蔵には良い刺激です。胃腸は活発になり、お通じは良くなります。冗談抜きでチャリ通の途中の突然の腹痛は年に数度の確率で起こります。腹痛率 > 事故率です。
ゆえに100%の全力、部活のような強度、スポーツレベルで自転車通勤するのは禁物です。70%から80%で流すのがベターですね。あと、道中のトイレポイントの確認は必須です。
腹痛率 > 事故率ですよ、ほんとに。
チャリ通におすすめの自転車
上記のように快適な通勤通学時間は一時間以内、快適なチャリ通ジテ通の距離は8-15kmです。
で、この時間と距離では自転車機材のアドバンテージはそんなに出ません。さらに都会の交通事情がその差を是正します。
そこでチャリ通におすすめの自転車の選び方は消去法になります。真っ先に落第するのはピュアな競技用自転車です。ロードバイクとフルサスペンションマウンテンバイクですね。
この二つは両極端な自転車ですが、街乗りには一律に不向きです。ミスマッチ。機材のシンボルであるドロップハンドルやサスペンションの使いどころがありません。
そして、これらの車種は悪い意味で目立ちます。いたずらや盗難の不安が跳ね上がる。下の写真はある日の街中の駐輪場のロードバイクです。
本体を盗られないようにフレームを柵に固定して、ホイールを盗られないようにワイヤーロックで施錠します。
片や本格的なマウンテンバイクは駐輪場でこの悲劇に見舞われます。
都市部の自転車インフラはママチャリやシティサイクルからデザインされます。都会・・・ことさらに駐輪場は先鋭的なスポーツバイクにはアウェーです。
で、これ以外の車種はおおむね街乗りに適します。クロスバイク、ミニベロ、折り畳み自転車、ハードテイルMTB、フラットバーロードなどなどですね。
車種別のアドバンテージは信号のストップアンドゴーや混雑でほぼ消えます。コスト的にはママチャリ、シティサイクル、軽快車、ルック車が圧倒的です。
駐輪の環境は現場で異なります。屋外か屋内か、屋根ありか屋根なしか、オープンかクローズか・・・防犯と風雨の影響を考えると、10万以上の自転車を気軽に使えません。電動アシストママチャリは例外ですが。
で、メーカー物のスポーツ自転車の相場が10万円~です。とすると、これ以下のセミスポーツ自転車が最有力候補です。
個人的にママチャリや軽快車はおもしろみに欠けますから、クロスバイクかミニベロがチャリ通にはおすすめです。
自転車通勤雨対策
自転車は基本的にアウトドアです。天気は重要なファクターです。雨は天敵ですが、雪はファンタスティックです。
ぼくは雨天のチャリ通には傘差し運転で行きました。これは厳密にはアウトです。お巡りさんに怒られ・・・別に怒らないけど、交通法的にはNGです。
大阪のおばちゃんは『さすべえ』みたいなパラソルホルダーを愛用します。上級者は日傘をここに差して、真っ黒なサンバイザーで顔を覆います。俗称はダースベイダーです。
傘は嵩張りますし、衝撃や風で損傷しかねません。カッパやレインコートが理想です。
しかしながら、根本的に雨天の自転車走行は愉快なものにはなりません。ありがたい雨は真夏の猛暑の夕立ぐらいです。
カッパやレインコートはまとわりついて、不愉快指数を一気に跳ね上げます。雨粒が顔に当たると、テンションが落ちる。チャリ通の爽快感が劇的に弱まって、満員電車の地獄の沙汰に近づきます。
視界はかすみます、ブレーキの制動力は落ちます、ケミカルは流れます、パーツ類は痛みます。人体にも車体にもいい影響はありません。
正直、雨の日には自転車に乗らないのが最高の雨天対策です。天の試練と割り切って、電車やバスを使いましょう。
自転車通勤のメリットとデメリット
これまでの内容でチャリ通のおおまかなメリットとデメリットはすでに浮き上がります。手短にまとめましょう。
自転車通勤のメリットはこんなところです。
- 美容効果
- ダイエット効果
- 経費削減
- おしゃれ
- 満員電車や混雑バスからの解放
がらがらの電車やバスにさえ酔ってしまうぼくは満員電車や混雑バスを生理的に受け付けません。そのために部屋でパソコンで出来る仕事に落ち着きましたから。
『エンジン付きの乗り物にあんまり乗らないこと』が人生のテーマです。いや、ブランコとかメリーゴーランドとかスカイダイビングとかもだめですが、ははは。
個人的な最長のチャリ通は片道8km、往復16kmです。高校の通学路ですね。行きがゆるい上り、帰りがゆるい下りです。
くだんのように電車やバスを嫌って、入学から卒業までチャリ通で通します。結果、このときには生涯最低の体重を記録しました。
この後、アルバイト時代に片道4km、往復8kmを数年間やりましたが、そんなに劇的には痩せなかった。あきらかに距離が足りません。片道の正味の走行時間は15分くらいですし。
この経験からダイエットには片道5km以上が必要です。職場や学校が5km以内にあるなら、寄り道や回り道は一考に値します。むだに上りを含めるとか、漕ぎ方を工夫するとか。
自転車通勤のデメリット
チャリ通のデメリットは以下のようなものです。
- 日焼けする
- トラブルは自己責任
- 駐輪場所
- 雨には負ける
- 食べ過ぎて太る
- 細かな交通ルールが?
日焼けは男女に共通します。日本の夏の日差しはビームです。対策しないとツートンカラーになります。
道中でトラブルや事件に巻き込まれても、責任を他所に転嫁できません。そして、突然の腹痛は確実に起こります。
都心部には大型車両はそう多くありませんが、幹線道路にがトラックやバスが行きかいます。職業ドライバーは自転車乗りには良い感情を持ちません。
雨天の自転車走行は楽しいものではありません。リスクが跳ね上がるし、ダメージが残ります。チェーンはすぐに錆びる!
それから、自転車は軽車両に属します。このジャンルのルールやセオリーは一般的には浸透しません。
「ベルの着用は義務、ベルの使用は禁止」
「ライトの点滅は×、ライトの点灯は〇」
「自転車保険は義務、しかし、罰則はない」
「車道の左側走行が基本、しかし、工事現場のおっちゃんの誘導は歩道」
「自転車乗りは手信号を推奨、しかし、不慣れな片手運転は危険」
「踏切の一時停止では足を着くか? そもそもだれも停止しない?」
真面目な人の心は原則と現実の狭間で無駄に揺れ動きます。が、この部分は上の写真の日焼けのような白黒のコントラストでなく、多層的なグラデーションです。
自転車通勤まとめ
ぼくは自転車乗りになる以前から生粋のチャリ通派です。自転車通勤への採点は甘くなります。
そのひいき目を差し引いても、チャリ通にはたくさんのメリットを見出せます。というより、満員電車のデメリットとリスクがこの数十年で最強最悪です。ぼくはあのパンドラボックスには乗れない!
と、この記事を電車やバスで読む貴方に自転車はいかがでしょう?