自転車のクランクを交換 決め手はコッタレス工具とボトムブラケット


自転車のクランクは回転駆動系パーツ、ドライブトレインの顔です。

 

クランク周りのパーツと使用工具

 

しかしながら、超メジャー級の『ペダル』のまえではこの部位の知名度はイマイチです。上の分解図から瞬時に『クランク』を指差せる人はもうりっぱなサイクリストです。

 

 


自転車のクランクって?

 

これが素のクランクです。

 

1000円でヤフオしたSUNTOURの160mmぼろんちょクランク

 

世間的には『自転車のチェーンの横のくるくるする棒』ですね。百科事典的には『往復運動を回転運動に、またはその逆に、変える装置』です。はたまた、釣り具のルアーの一種だ。

 

自転車的にはペダルのおまけ・・・ではありません。クランクはれっきとした一人前のパーツです。でも、自転車好き以外にはこれがこんなにバラけることさえも新鮮なおどろきです。

 

事実、クランクの交換、取り付け取り外し、メンテナンスに思い至るのは自転車利用者のごくごく一部の人々ばかりです。

 

車乗りの大半がエンジンをいじれないように自転車乗りの大半はクランクをいじれません。チャリの整備は自転車屋の仕事です、それがどんなにかんたんな作業であっても。

 

で、気軽な気持ちでチューブ交換とタイヤ交換を頼んで、5000円クラスの出費を食らって、「中古のママチャリ買えるやん!」て嘆きます。町の自転車屋の日常的な風景です。

 

交換はわりとかんたん

 

クランク交換はたいがいの人には未知の作業です。しかし、ママチャリやシティサイクル、折り畳みやミニベロ、クロスバイクなどの市販の量産自転車はギリしろうとの範疇に収まります。

 

道具をそろえて、手順を守れば、ふつうに作業できます。手先の器用さ、腕力、頭の回転、いずれが不要です。プラモやパズルよりかんたんだ。

 

本格的なロードバイクやMTB、ヴィンテージもの、特殊車両、フルオーダーなどはこの限りでありません。人力で走るコマ付きのノリモノは非常に多彩です。

 

USAなリカンベント

 

クランクの交換・取り外し編

 

では、非競技用の市販の量産型一般自転車のクランクの交換をメインテーマに据えて、はなしを進めましょう。

 

このクラスのチャリンコのクランクはおおよそにスクエアテーパー型です。軸受けの形状が四角形です。当然、軸の形状も四角形になります。

 

スクエアテーパーBB

 

テーパー=先細りです。四角いシャフトのさきっぽは根元よりほんの少しすぼまって細くなります。これがスクエアテーパーのクランクとBBです。

 

このシャフトのテーパー度や横幅の長さはモデルやメーカーや用途でばらばらです。

 

スクエアBBトリオ

 

上・GIANT クロスバイクのBB 中・TOKENのBB 下・ACEのチタンシャフトBBです。完成車付属品はいちばん上のものだけです。TOKENとACEのは別注です。

 

共通点はスクエアテーパー、そして、シャフトがBB側に付くことです。これより後の世代の中空型ドライブシステムではシャフトはクランクに付きます。

 

SRAM GX EAGLE DUB クランク 165mm

 

本格自転車、スポーツバイクのクランクはこのタイプです。シャフトはクランクの一部です。

 

例外的に競輪の自転車は旧式のスクエアテーパーや八角形のオクタリンクです。シャフトはBBの一部です。

 

Miche Primato Advanced クランク

 

で、競輪やトラックバイクの機材は競技用です。この分野のパーツはやや特殊で、部分的に一般自転車とかぶりますが、似て非なるものです。

 

一応、上みたいなトラッククランクをママチャリBBに取り付けられますが、100%の性能を引き出せません。クランクとBBはニコイチです。

 

固定(フィキシング)ボルトを外す

 

スクエアテーパークランクの固定具は大きな六角ボルトです。固定ボルト、フィキシングボルトです。ソケットのサイズは8mmです。着脱には8mmのアーレンキーが必要です。

 

クランクフィキシングボルト外し

 

この大きさのアーレンキーは100円ショップのセットにはありません。ホームセンターのドライバーのコーナーに単品があります。

 

ママチャリのこの部分には安っぽいグレーのキャップが良くかぶさります。さび除けです。安い自転車は屋外駐輪で元日から大晦日まで雨ざらしにされます。

 

固定ボルトのキャップ

 

鉄製のボルトは雨で一瞬に錆びます。それがながーく放置されると、やっかいな固着が発生します。このキャップカバーは問答無用に屋外駐輪の運命を課される安チャリの証です。

 

コッタレスクランクリムーバー

 

つぎの作業がクランク交換の山場です。コッタレスクランクリムーバーてものを使います。

 

コッタレスクランクリムーバー

 

クランク外し、クランク工具、コッタレス抜きなどなどの別名があります。自転車のクランクを外すためだけの専用工具です。

 

スクエア専用品とスクエア・オクタ兼用品があります。最近の製品はだいたい兼用品です。てか、そもそも八角形ソケットのオクタリンクが超レアです。

 

固定ボルトが外れても、クランクはシャフトにびっちり嵌まり込みます。返しやねじ溝はありませんが、少々の押し引きは通用しません。ぞくに圧入の状態です。

 

で、このびちっと嵌まり込んだクランクとシャフトをこのコッタレスリムーバーで引きはがします。

 

クランクリムーバーセット

 

奥のねじがクランクのみぞにはまって台座になって、手前のねじがシャフトをぐりぐり押し出します。小さなジャッキみたいな装置です。

 

クランク周りのパーツと使用工具

 

裏技と禁じ手

 

工具なしでクランクを外す方法はこつこつハンマーです。上述のようにスクエアクランクのソケットとBBのシャフトには返しやねじみぞがありません。どっちの表面もつるぺたです。

 

ためになんらかの衝撃を加え続けると、徐々に圧着を緩められます。ゴムハンマーで内側から外側にこつこつ叩くのがコッタレス工具の代打のおはこです。

 

さらなる禁じ手は固定ボルトを外して、自転車をふつうにこぐことです。だいたい町内一周でクランクがグラグラのユルユルになります。

 

しかし、このごり押しのやり方では力のかかり方にかたよりが出て、しばしばソケットやシャフトが歪むとか曲がるとかします。ちゃんと工具を使いましょう。

 

逆に取り付けのときに固定ボルトを締めても、走行中にグラグラやユルユルに見舞われるなら、ねじを増し締めしましょう。

 

クランクの交換・取り付け編

 

スクエアクランクの取り付けは取り外しよりかんたんです。ボルトでクランクを固定するだけです。使用工具は8mmアーレンキーのみです。

 

上記のコッタレスリムーバーはクランクを取り外すだけの工具です。取り付けには無用の長物です。ためにリムーバー=取り外すものです。着脱両用のマスターツールではない。

 

角度とサイドに注意

 

取り付けの注意点はクランクの角度と左右です。リング付きを右に、リングなしを左に付けます。悪ふざけをして、左右のアームを直角にするとか、別々の左クランクを両サイドに付けるとかしない。

 

クランク仮つけ

 

で、固定ボルトをしっかり締めます。塩ビパイプとかでアーレンキーの柄を延長すると、らくに力を加えられます。

 

アルムやスチールの金属フレームは競技用のカーボンフレームよりおおらかです。少々の締め過ぎは無問題です。くだんのように締めなさすぎは走行中のグラグラの遠因になりますし。

 

BB交換は別物

 

クランクの交換はこむずかしいものじゃありません。げんにぼくの個人的なつまづきは「工具の名前が分からない!」でしたし。『コッタレスクランクリムーバー』は日常生活では出てきません。

 

が、クランクの軸、ボトムブラケット、BBの交換はヒトクセです。別の専用工具が必要ですし、長期の屋外駐輪のチャリのBBはおうおうに黒歴史レベルのタブーです。

 

BB右わん取り外し完了

 

そして、スポーツバイクのBBは規格と仕様のジャングルです。しろうともくろうともこの全容を完全に把握しきれません。ポケモンのようにあとからあとから新型が増殖します。

 

そして、交換せずとも、お掃除するなら、コッタレスクランクリムーバーを。自転車いじりへの一歩がまちがいなく開けます。

 

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