実は多彩なフラットバーの握り方 基本グリップから究極TTモードまで


クロスバイク、MTB、ミニベロ、折り畳み自転車のハンドルはフラットバーやライザーバーです。↓の写真の上から二本がそうです。

 

自転車ハンドル

自転車ハンドル

 

3本目の銀色はスワローハンドル、4本目はおなじみの昭和カマキリハンドルです。この二本はママチャリ、シティサイクルのハンドルです。

 

 

フラットバーのポジションのうそ

 

チャリ業界の一部では「フラットバーには握りのポジションがひとつしかない」て説がまことしやかにささやかれます。

 

で、これを枕詞にして、「ドロップハンドルには複数の握り方がある。マルチポジションで疲れない!」てつらつらと持ち上げます。

 

はい、へそで茶が沸きます。ドロハンのマルチポジションの利点は一理ですが、「フラットバーにはポジションがひとつしかない」てのはどこの国の伝説です?

 

フラットバーやライザーバーには複数の握り方、手の置き所、ポジションがあります。実際問題、多くのフラットバー乗りは自然とこれを使い分けます。ただ、自覚と体系がない。

 

多彩なフラットバーやライザーバーの握り方を特集しましょう。

 

フラットバーやライザーバーの握り方

 

「フラットバーにはポジションがひとつしかない」

 

このあさはかな愚説がなんとなくまかりとおるのはグリップのせいです。

 

改造ママチャリハンドル周り

ハンドル周り

 

たしかにゴムグリップやロックオングリップは手の置きどころの目安です。でも、「グリップだけを正確に握らなければならない」て掟はありません。

 

ドロップハンドルの上ハン、ステム横はふつうにノングリップにされますし。

 

AEROAD ハンドル回り

AEROAD ハンドル回り

 

「とっさにブレーキできない」

「立ちこぎできない」

「うまくハンドルを切れない」

 

て欠点は共通しますし、握りの位置の移動距離はにたりよったりです。こぶし一つ分ですか。肘が狭まって、頭が起きて、視野が広がります。

 

「こんなものは2、3cmの変化でしかない」

 

でも、ロード乗りの方々はしきりに「フィーリングは1cmで劇的に変わる!」て豪語します。これがポジションチェンジでなければ、なにがポジションチェンジでしょう。

 

この時点で「フラットバーのポジションはひとつしかない」は完全に崩壊します。グリップやテープは位置の目安にすぎません。

 

握れるところ、手を置けるところ、指を掛けるところはもっともっと存在します。ここからイメージ図で解説します。両手のグリップを保ちながらきれいな写真を撮れないので。

 

ザ・グリップ

 

グリップ・オブ・グリップがこんなです。

 

グリップその1

グリップその1

 

LV1のこどもからLV99のDH世界選手権のチャンピオンまでこの握り方を愛用します。グリップのなかのグリップです。まさしく原点にして頂点です。

 

この握り方は基本の基本ですが、用途的には本気モードで、最強の安定度を発揮します。きつい坂を直滑降する、がれがれの岩場を上る、大ジャンプ、そんな場面で活躍します。

 

逆にふつうの平たい舗装路やゆるい路面で握りのたしかさが裏目に出ます。握力が続きません。手首がつかれる。

 

そんなときには親指を抜いて、バーの上に平置きにします。歴戦のクロスバイク乗りは自然とこうします。で、どっちかのブレーキレバーにひとさし指をちょんがけする。

 

グリップその1 亜種

グリップその1 亜種

 

うーん、既視感がデジャヴュです、ははは。

 

Vブレーキはがつんて効きます。街乗り、ちょい乗りの大方の場面に間に合います。実用的な握り方です。むしろ、左右のフルブレーキを使う場面はレアです。

 

この平置きは多彩です。ステム横、レバークランプ上、周囲の状況、自分の具合に応じて、好みの場所に手を置きましょう。

 

エンド握り

 

人間の自然な手の向きは体側に沿います。「前にならえ!」の手の向きは縦向きです。横向きはキョンシーやゾンビです。もはや妖怪です。

 

つまり、キョンシーやゾンビのあのだらーんとした手の向きは人間でなくなったもの、非人間性のメタファーです、たぶん。

 

で、横握りより縦握りのが人間的でエルゴノミックスです。ドロップハンドルのおはこです。ドロハンの正体は縦握りハンドルです。

 

また、意外なところで実用車系のカマキリハンドルやスワローハンドルのグリップも縦握りです。レバー類は縦に付きます。

 

鬼ハン

鬼ハン

 

おい、縦に付けろ!

 

フラットバーやライザーバーでこれを再現しましょう。バーエンドをくるむようにグリップします。

 

グリップその2 エンド握り

グリップその2 エンド握り

 

これはコンフォート系の握り方です。平置きと共にロングライドやゆるポタでよく使います。

 

また、左右の手の距離が最大になります。結果、ハンドリングがらくちんになりますし、立ちこぎの車体の振りがかんたんになります。

 

バーエンドバーをセットすれば、さらに快適性をUPできます。疑似的なブルホーンです。

 

このポジションの欠点はブレーキやシフターをとっさに操作できないことです。くだりや高速域では使えません。徐行、のぼり、広い道、サイクルロードで使いましょう。

 

小指抜き

 

グリップ1の横握りの変則技が小指抜きです。こんなうに小指をバーの内側に入れて、根元の甲側をグリップに当てます。

 

グリップその3 小指抜き

グリップその3 小指抜き

 

「こんなへんてこな握り方に意味がある? むりやりの水増しじゃない?」

 

一見の印象はそんなところでしょう。しかし、この握り方にはちゃんと意味があります。

 

横握りであれ、縦握りであれ、ストレスは手の平のはらの部分、ぞくに掌底の部分に集中します。小指側の小指球はとくに疲れます。

 

で、そんなときに上図のように小指をかませれば、この掌底へのストレスを緩和できます。実際、街中でたまにいますよ、この小指抜きグリップのチャリダー。

 

あと、手首の角度がすこし変わって、リーチが伸びて、上半身に余裕が出ます。

 

長丁場のロングライドではこうゆうじみなごまかしテクニックがばかになりません。いかにストレスを散らすかはサイクリストの永遠の課題です。

 

平置き親指掛け

 

ロングライドはたいくつなものです。きれいな海、さわやかな山、おしゃれな街並み。。。でも、それが何時間と続けば、新鮮味が失せ、思考が内省的になります。

 

自走バイクパッキングの帰路の頭の中は「いかにこのしんどさから逃れるか?」にほぼほぼ支配されます。

 

ことさらにケツの乗せ方、手の置き方、足の踏み方、車体とコンタクトする部位の創意工夫がはかどります。必要は発明の母です。

 

そこからこんな握り方が出てきました。

 

グリップその3 親指掛け

グリップその4 親指ちょん掛け

 

親指ちょん掛けです。手の配置はエンド縦握りと横平置きの中間で、ドロハンのブラケットを握る形に近くなります。エアーブラケットグリップて称せましょうか。

 

オフロードの油圧ディスクブレーキはちょっとの力でストップします。親指でレバーをちょいて引いても、十ニ分にブレーキできます。

 

エンド縦握りのセーフティ版です。VブレーキではOKですが、キャリパーブレーキやバンドブレーキではちとデンジャラスです。

 

ステムかぶさり

 

いなかの広い道や川沿いのサイクルロードを走ると、行きか帰りのどちらかで強烈な向かい風を食らいます。

 

フラットバーやライザーバーのポジションはアップライトです。上半身が舟の帆のように風を受けまくります。胴長さんはなおさらです。

 

風速2-3mのアゲインストはそこそこですが、4-5mは緞帳のようにまとわりつき、6m以上は体感的には隊長級の霊圧です。チャドの霊圧のようには消えません。

 

見た目と機能性から閑散なサイクルロードでしか使えませんが、そんな世知辛い逆風の最中にはステムかぶさりをしましょう。

 

グリップその4

グリップその5 なんちゃってTTモード

 

はい、なんちゃってTTモードです。わるふざけ? たしかに見た目はアホなおっさんのわるふざけですが、空気抵抗があきらかに減ります。

 

ぼくはひとおもいにアホになりきって、「トランスフォーム!」て叫びながら、このモードに変形します。

 

難点は見た目のアレさ、背中の疲れ、視野の狭さ、そして、雨上がりやウェットなシーンの泥跳ねです。顔面がえらいことになります。

 

このロードバイク以上の超前傾モードの速さを知ると、ほんとのエアロバーやアームレストを付けたくなります。すべてはいまいましき逆風のせいです。

 

フラットバーのポジションまとめ

 

作画の都合で五種類の例しか紹介できませんが、挙げようと思えばまだまだ挙げられます。『ザ・逆手』とか『きつね』とか『チョキ!』とか。

 

が、とりあえず、フラットバーのポジションの過小評価的俗説は上述の例で完全に瓦解しました。フラットバーやライザーバーの可能性はそんなにあさくありません。

 

 

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