自転車のハンドルは多彩です。フラットバー、ライザーバー、ドロップハンドル、カマキリ、スワロー、バタフライ、ブルホーン、ひげetcetc・・・て羅列が呪文みたいになります。

とくにドロップハンドルはスポーツバイクの象徴的アイテムです。フラット、ライザー、カマキリ型のチョッパーはオートバイに使われますが、ドロハンは自転車にしか見られません。ザ・アイコン・オブ・バイクです。
このドロハン、ドロップハンドルは一筋縄のように思えますが、用途でビミョーに細かくタイプ分けされます。この中からドロハンの『フレアバー』をピックアップしましょう。
ハの字型のドロハン、Flared Bar フレアバー
フレアバー、英語ではFlared barです。ぼくみたいなゲーム脳にはもうFFの高位の黒魔法のフレアしか思い浮かびません。か、バハムートのメガフレア。
実際、このメガフレアのフレアもフレアバーのフレアもFlareです。『めらめら燃える炎』の意です。
じゃあ、キーワードを”Flare bar”にしちゃうと、ファイアパフォーマンスを売りにする飲食店のバーの方が出てきちゃいますね、ははは。過去形のFlared barで自転車ハンドルが検索に出てきます。
もちろん、自転車のフレアバーはめらめら燃えるバーでなくて、末広がりのハの字型のバーハンドルのことです。フレアスカート、フレアジーンズ(ブーツカット)と同義です。
工業の世界ではパイプの口をラッパ状に広げることを『フレア加工』と称します。画像作成ソフトのillustlatorにも『フレアツール』て放射型の図を書く機能があります。
じゃあ、二義的に放射型の~、末広がりの~て意味を成します。その過去形容詞がFlared barで、その和訳がフレアバーです。で、”フレアバー”の結果はファイアパフォーマンス系のバーになっちゃいますね、ははは。
自転車のフレアバーハンドルはまだまだマイナーなアイテムです。エアコンの配管とイケメン・美女勤務のスタイリッシュバーの後塵を拝します。
ロングライドやオールロードに
じゃあ、フレアバーの特徴は末広がりのハの字の形です。ハンドルの末=バーエンドのことです。ここがハの字方にフレアします。
アメリカの自転ブランドSALSAのページに格好のイメージ図があります。
サルサのモデル名では下からcowbell、Cowchipper、woodchipperてネーミングになります。いちばん下のCowbellがふつうのドロハンにもっとも近いイメージです。
対照的にいちばん上のwoodchipperは逆向きのチョッパーハンドルみたいに見えます。
で、この末広がりはなにに効果的でしょうか? はい、ハンドルコントロールに効果的です。一般的にハンドルは近く高く広くなれば扱いやすくなり、遠く低く狭くなれば扱いにくくなります。
ハンドリング命のMTBのダウンヒルバイクのハンドル幅は70-80cmです。ほかのオフロードで60-70cmです。

街乗りクロスバイクで50cmなかば、ロードのドロハンで肩幅目安の40-45cmです。それより狭いのはピストバイクの超ナローバーハンドルです。
この長さのフラットバーのグリップを横握りすると、実質30cmなかばのハンドルポジションになります。腕とひじが内に入ります。
この狭さは車をすり抜けるメッセンジャーには有用でしょうが、街乗りピストにはファッション・コスプレグッズです。
フレアバーの末広がりのフレアエンドはふつドロハンのストレートなふつエンドよりグッドハンドリングです。用途はグラベル・アドベンチャー系のマイルドな荒地です。
トレンドのオールロード系バイクはピュアオンロードバイクのようにきれいな路面ばかりを走りません。グラベルやダート、水辺にさえ入ります。

て、こんな場面でふつドロハンの狭い幅では制動力不足です。ぐらぐら、よれよれ、挙句に上のように川底の砂利と水の流れにハンドルが取られて、悲しみの惨劇が起こります。箕面川め!
ハンドリングはてこの原理です。力点をより広く取れば、作用点をより軽く制御できます。
自転車の場合、ハンドルのグリップ=力点、ステム=支点、ホイール=作用点です。ステムの近くを握ってホイールをコントロールするのはなんぎですが、ステムの遠くを握ってするのは楽ちんです。ザ・てこです。
また、荒地でのホイールの暴れを抑えるのに広いグリップが役立ちます。ピュアロードのエンドバーポジション=前傾モードですが、フレアバーのエンドバーポジ=コントロールモードです。
「ほーん。じゃあ、フラットバーにすれば?」
てヤボなぼやきがどこからか聞こえますが、フラットバーのバイクとドロハンのバイクはまた別物です。
きれいな路面やイージー悪路では上ハン、ブラケットを使って、ここぞの悪路・障害にバーエンドで対応する。これがオールロードドロハン、フレアーバーの理想的スタイルです。
フレアバーの市販品はまだまだレアです。グラベル・アドバイクのトレンドに合わせて、有名どころがぼちぼち新型を投入します。
アメリカの金属加工屋のトムソンがドロハンを一新します。フレアバーが新登場です。
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— Bike Thomson (@bikethomson) 2017年8月25日
見事なハの字ぷりが丸分かりです。マルジェラがかくやです