新車のロードバイクのパーツがちゃくちゃくと集まります。レイノルズのカーボンチューブラーホイールと合体したSunrace RX1は今回の大物のおまけにすぎなかった。
本命はこちらです。
EASTONの武骨な黒い箱です。装飾がない。男気ロックンロールです。ヒントは表記の”EC90 SL”のみです。
ECの秘密
詳しい人はこの文字列から予測をできます。EC90はEastonのハイエンドカーボンパーツのグレードで、SLはSuper Lightの略です。
GIROの高級ビンディングシューズのカーボンソールはEaston製です。グレードでEC70、EC90とかの番号を振り分けられます。EC=Easton Carbonのイニシャルです。
EAはEaston Aluminumです。EA印のハンドルバーはおなじみです。
Eastonはそもそもアルミチューブメーカーです。ヒット商品は金属バット、アーチェリーの矢のシャフト、そして、ハンドルバーやシートポストです。
クロモリからアルミフレームへの過渡期にはEastonが軽量、頑丈、安価なパイプを開発して、自転車メーカーを陰から支えました。まさに縁の下の力持ちです。
で、自転車部門のEaston Cyclingは数年前に北米のパーツ屋のRace Faceに買収されて、さらにサスメーカーのFOXの傘下へ加わります。
その後の詳細はさだかじゃありませんが、この3社の仲が今日まで健在であれば、FOX=RAC FACE=EASTONです。海外自転車ブランドの右往左往は珍しいことではありません。
この関係性があとで効きます。
カーボンクランク登場
さてさて、EC90の中身はなんでしょうか? ハンドル、ステム、ポストかな?
はい、クランクでした。
EC90印のカーボンクランクです。現行モデルです。日本での販売はおはつみたいです。EC90 Crankで画像検索すると、旧型の5本アームのものをおがめます。
EC90 SLクランクの概要です。
- カーボンアーム
- ロード用=86mm?
- made in Taiwan
- スチールシャフト
- 30mm径
- Qファクターは149mm
- 左アームにアソビ調節のリング
- 32500円のセール品
- Cinchマウント
オフロード系の技術がふんだんに盛り込まれます。注目はスパイダーのマウント方式です。これがCinch、シンチです。
このCinchはRace Faceのオリジナルテクノロジーです。ごらんのようにスパイダーやチェーンリングをロックリングでじかに固定します。ダイレクトマウントです。
こちらは本家のRace FaceのCinchクランクです。
まったくおんなじです。スクエアBBのカップの取り外し工具で取り外しします。
このCinchシャフト用のパワーメーターもRacefaceとEastonからほぼ同時期にデビューしました。
さらにRacefaceにはNEXT SLて超軽量カーボンクランクのラインアップがあります。
きわめつけはドロッパーシートポストです。EastonのドロッパーはHeaven Dropperのみです。ドロッパー愛好家のなかではこいつはとみに有名です。
おもにはんざつなケーブルのインストール方法で。
上の奇怪なコネクト部分をシートポストの尻の穴にねじこみます。こんな独創的なメンドクサイ方式はまたとありません・・・Race face Turbine ドロッパーを除いて。
リモート部分の形状も完全に一致します。これは完全にロゴ違いの同等品です。
「で、それがなんだ?」
ごもっともです。でも、ぼくのなかのもやもやはすっきりしました。Raceface=Eastonです。
カーボンクランクの重量を計る
両社の横のつながりをがっちり把握して、このRacefaceないしEastonのカーボンクランクを計りに乗っけましょう。
630gです。これはシャフト、53ー39のダブルのリング、ボルト、スパイダー、ペダルワッシャー込みの重量です。
アームとシャフトのみの重量は380-390g前後になります。400gを切ります。フロントシングルのダイレクトマウントリングを使えば、約450gにセットアップできます。
上のRace Face Atlusのアームとシャフトが630gです。+リングで700gに達します。カーボンクランクの軽さがきわだちます。
シャフトは30mmの圧入BB用の大径、圧入BB用の幅広タイプです。SRAM GXPやShimano 24mmみたいなフニャフニャさはぜんぜんしません。がっちりどっしりです。
うれしいおまけが付いて来た!
クランクセットのおまけがCinchユーザーを歓喜させます。
Cinchのアームのロックリングの六角ソケットは16mmです。そんなにでかいアーレンキーは工具箱にありません。イレギュラーサイズです。
で、このナットみたいな工具は8-16mmの六角アダプターです。8mmアーレンをまんなかにさせば、Cinchの左アームの固定リングを取り外しできます。
ATLASクランクのセットにはこのアダプターがなかった。これで左アームを完全にシャフトからばらせます。うれしい誤算です。
互換性をチェック
しめに互換性を実際にチェックしましょう。RacefaceのCinch クランクの右アームを外して、EC90 SLのドライブ側をポン付けします。
かんたんです。ロードに飽きたら、こっちに換装できます。PF30系はじつにコンパチブルです。ほかにFSAのBB386、ROTOR、HOPEなどを使えます。
例外はピュアBB30とスペシャライズのOSBBです。シャフト径は合いますが、シャフト幅が足りません。これはフレームに準拠します。
最近のSRAM BB30用はOKぽいです。旧式のSRAMのBB30クランクはピュアBB30ですが、最近のSRAM BB30はBB30AやBB386向けに長くなりました。
ちなみにうちの新車(仮)はBBrightです。でも、Cerveloではありません。詳細はあとのお楽しみです。
ダブルの変速性能がいまいちであれば、1xシングル化がはかどります。ヒルクラ特化&ホビーロード号です。RacefaceのCinchリングはよりどりみどりですし。
・・・て、BB絡みのはなしはマニアックになりすぎますねえ。オタクぽさがひしひし漂いますねえ、おほほほ。
単純に4アームのクランクのなかではこのEC90のルックスはなかなか男前じゃありません? あ、いや、ほかのビジュアルがことごとくビミョーだ?