日本の自転車遊びの先駆けはランドナーでの長期ツーリングです。夏休みや長期休暇にどこそこ一周、なになに横断をします。
このあとにMTBブーム、小径車ブーム、ピストブーム、ロードブームが来て、オールロードやE-bikeブームが活況です。
最新の電動アシストスポーツ自転車はローテクとハイテクのかたまりです。
自転車ギアやツールが進化
機材の進化は車体だけに留まりません。ウェアやアクセサリーは着実に進化します。
キャンパス地や皮細工の重い鞄はヴィンテージになり、化繊の軽いバッグが主流になりました。
天然素材の風合いは魅力的ですが、雨と湿気にめっきりやられます。ことさらに天然皮に水分は厳禁です。速攻でしわしわ、カビカビが出ます。
これは長期の屋外旅行にはミスマッチです。それでも、昔のチャリンコ乗りや登山家は重い鞄を詰んで背負って、あちこちへ出かけました。スマホやGPSなしで!
むしろ、これは旅行というより旅、ツーリングよりアドベンチャー、ホビーよりチャレンジです。挑戦感が強くなります。
これが現代ではずっとスマートにマイルドにコンパクトになりました。イマドキの高性能バイクでの軽装の短期旅行、それがバイクパッキングです。
手持ちのバイクを活用する
旧来の自転車旅行=ランドナーの長期旅行です。このタイプの自転車は丈夫で重厚なクロモリです。ザ・鉄フレームです。
鉄フレームは旅行中に壊れても、そのへんの町工場にもちこめば、アーク溶接で復活します。
また、ホイールは26インチです。そのへんの町の自転車屋に持ち込めば、汎用品でぱーんと復活します。仏式バルブの空気入れさえが町中ではなかなかレアですし。
とにかく、トラブルからの復帰、メンテの汎用性がランドナーの特色です。ある意味、旅行用の実用車です。スマートさ、コンパクトさとは無縁です。
自転車旅行にはこういうやぼったいイメージが付きまといますが、2000年代以降にヨーロッパと北米から新しいスタイルが生まれます。
「旅行用のランドナーや積載用のキャリアを使わないで、手持ちのロードやクロスやミニベロやMTBに荷物をしゅっとパッケージできないか?」
こういう発想からバイクパッキングが生まれました。旅行のための自転車でなく、自転車のための旅行です。
- 旅行のためにランドナーを買う=×
- 乗り慣れた手持ちのバイクの活用を宿泊旅行まで広げる=○
競技用のスポーツバイクには荷台やかごの取り付け穴はありません。小径車やクロスバイクはまちまちです。
一方、最近のトレンドのオールロード、グラベル、アドベンチャーなどはバイクパッキングの用途を最初から盛り込んで、実用系機能をふんだんに持ちます。
キャリアなしでコンパクトに積載
「キャリアなしで荷物を積めないからキャリアを付けよう」
凡人はそう思います。が、かしこい人ないし奇人は違います。
「キャリアなしで荷物を積む! ここにもそこにもバッグを付けよう!」
これで大型のサドルバッグやフレームバッグが生まれます。イギリス発の蜂のマークのApiduraなどは大型サドルバックの代名詞です。
大型サドルバッグの容量は10-20Lです。ここに詰め込めるのは着替え、歯磨き、タオルなどです。一人用のツーリングテントのフルセットはぎりぎりです。
インナーシートや骨組みをフレームバッグに入れて、アウターシートをサドルバッグに入れるとか、パッケージを工夫します。
重さはそんなですが、嵩がそこそこです。ぱんぱんのギンギンのサドルバッグはちょっとヤラしく見えます。
そして、重いものをサドルバッグに入れると、乗り心地を損ねます。立ち漕ぎガシガシで荷物がてきめんにぶんぶん暴れます。やっぱし、テントのシート類や着替えの収納が定番です。
ホテル、旅館、ゲストハウスやライダーハウスを利用するなら、大型サドルバッグひとつで数日の旅に出られます。
これでアワイチやビワイチ、和歌山の友が島などにバイクパッキングしました。
バイクパッキングのバッグ類はアタッチメント式です。着脱がかんたんです。で、荷をおろせば、普段の性能を取り戻して、野営地の探索や冒険に行けます。
旧来のランドナーではこの+αの遊びが難です。
キーワードはウルトラライト
UL、ウルトラライト系アイテムはほかのアウトドア由来のツールです。
テント、調理器具、ガスバーナー、ランタン、カバンなどなどの野営グッズが軽く安く高性能になりました。
ノーブランドのコンパクトバーナーを1000円でポチれます。ガスは600円です。
初心者はサドルバッグにこれとコーヒーやラーメンを詰め込んで、日帰り散策から始めてみましょう。