「趣味の自転車」てゆわれて、「え、乗る方? 弄る方?」て聞き返す人はだいたいパーツ交換や整備に前のめりで積極的でアグレッシブです。
ぼくはこの典型です。いろんなものをいじくりちらかし、ほじくりまわします。回せるところ回す、開けれるところを開ける。それがしろうとの強みでありおそろしさです。
まあ、だいたいバラシて、きれいにふきふきして、元に戻せば、ふつうに治せます。チャリの修理はむずかしいもんじゃない。自転車の不具合の大半はサビ、ダスト、ヨゴレです。
たまにちっこいバネやネジがぴょーんて飛び出て、元戻しがえらいことになりますけど、ははは。
で、しろうとは自分用に好き勝手にいじくりまわせます。チャリ屋やプロはそんなにざっくばらんに行きません。
いや、しろうとの以下のステキなプロ♡ショップやアンシンアンゼン自転車専門店wwwもちまたには五万とありますけど。
自転車修理や整備には特別な資格は不要です。しかし、業界のセオリー、暗黙の了解は存在します。
しろうとくささ、初心者の詰めの甘さを打ち消すプロ風の仕上げ、くろうとはだしの自転車整備の裏技を特集します。
プロっぽく仕上げる自転車整備のコツ
「プロに頼もう、店に頼もう、もちはもち屋」
このような甘い考えは自転車業界には通用しません。大型店のスタッフはバイトレベルの初心者DIYラー以下で、平均以下の知識、技術しか持ち合わせません。
一方の腕利きのプロ、名うてのメカニックはおうおうに奇人・変人・あまのじゃく・こだわり屋です。のむラボのブログが好例です。チャリキチさんぺいだ。
そもそもなにがしかの道を究極的に楽しもうとすれば、一般ピーポーの常識の枠内にはとどまれません。それが道楽者です。キチのキチはだてではない。
で、中くらいのふつうのレベルの自転車ショップ、スタッフてのはじつに貴重な存在です。趣味の世界は両極端のどっちかへ偏りますから。
結果、DIYがはかどります。そのときに役立つのがプロのセオリーです。アイデアを採用しないならバックボーンを、バックボーンを持たないならセオリーに従いましょう。
プロはバックボーンかセオリーからしかお客向けに作業できませんが、しろうとはアイディアやインスピレーションや自己満から作業できます。それがDIYの魅力です。
タイヤのロゴをバルブに合わせる
自転車整備の基本は空気入れ、パンク修理、タイヤ交換です。ロードの細タイヤと軽量チューブはパンクの王です。ほんとにちょっとのことでばかすかパンクします。
で、こんなことを店にたのむと、3000円と小一時間ばかしのコストを取られます。自分でぱぱってやってしまうのが得策です。
そのときのだいじなセオリーがタイヤのロゴをバルブに合わせることです。
ロゴのどこを合わせるかは自由です。絵、モデル名、メーカー名etcetc…しかし、一本をそこにしたら、もう一本をそちらに合わせます。
これはロゴとモデル名のまんなかです。
前後のタイヤを別々にするなら、全体のバランスを見ます。
ぴっちりイメージ通りに合わせるのはまあまあハードです。神経質な完璧主義者は数ミリのずれを看過できず、わざわざやりなおします。
バルブを長くしすぎない
空気バルブはセオリーの宝石箱です。やっぱし、ここはホイールのビジュアルの唯一の不均等なでっぱりです。もとが目立つから、CONSが際立ちます。
長すぎるバルブはしろうとくささを演出します。あ~、使いまわしだな~、て。
このエクステンダー付きのはこのリムにはあきらかに長すぎます。
こっちはふつうです。
これもふつうです。
これは逆に短すぎます。
長すぎは機能的に問題なしですが、短すぎは問題ありです。空気入れのポンプヘッドがきちんとはまりません。パッキンがバルブヘッドにかからない。
リム高+20mmくらいがバルブ長の適正です。バルブヘッドに樹脂の黒いキャップをつけるかつけないかはこのみです。ぼくは基本的に付ける派です。
バルブをスポークの広いところにする
またまたバルブがらみのセオリーです。ホイールを組むときにはリムのバルブ穴をスポークの広いところ=非交差部分に配置します。
これは失敗例です。バルブ穴がクロスのところに来ました。”DT SWISS”のところが政界のポジションです。
しろうと風味が全開です。ハトさんたちがあきれ顔だ、クルックー。
ホイールの手組ではだれもがこのあやまちを犯して、振れ取り後に「あーっ!」て叫びます。手組あるあるです、ははは。
バルブ穴にハブのロゴを合わせる
このセオリーはバルブ穴に関連します。手組のときにはハブのロゴや刻印をバルブ穴の直下にポジショニングします。
あと、リムブレーキ用の前輪のハブには前後左右があります。これはモデルや年式でちょくちょく変わります。
WhiteのT11はこうです。乗り手の視点でロゴとご対面します。半ドライブ側に”USA”とイモネジ機構、”T11″がドライブ側です。
リムブレーキのフロントホイールはほぼ左右対称です。左右を入れ替えてもふつうに走れます。しかし、ロゴには正しい方向があります。
左前、右後ろブレーキ
スポーツバイクのブレーキの取り回しのセオリーは左前、右後ろです。外装のアウターケーブル受けや内装のルーティングはこの慣習にしたがって、設計されます。
ママチャリやシティサイクルの右前、左後ろは国内基準のJIS式です。
日本は右利き至上主義です。左利きはながらく『ぎっちょ』てさげすまれて、矯正の対象でした。このために古い世代では諸外国より不自然に左利きが少数派です。
スポーツバイクのルーティングを右前、左後ろにしてしまうと、きれいにケーブルをまとめられません。致命的なやぼったさが発生し、しろうとくささがハンパなくなります。
まあ、最近のエアロロードのインテグラルデザインではHidden(非表示)ケーブルが主流ですけど。
ただし、ダサいところに目をつぶって、右前・左後ろの実用性を採用するのはぜんぜんOKです。
とくにキャリパーブレーキの効きはぽんこつです。右手でフロントをぎゅうぎゅうしないと、小柄なアジアの女子や小さい手の男子はまともに止まれません。
平均身長が10cmもちがうと、指の長さも手の大きさも1-2サイズ変わります。100万を上げますから、だれかぼくの指と足をながくしてください。
出べそを切り落とす
出べそ、医学用語では『臍ヘルニア』です、へーへー。自転車業界ではこれはステムの上の余分なコラムのことです。
下の画像のシルバーの部分が出べそです。
未カットのコラムはディモールト・デベッシモです。でべりまくり。
で、少々の出べそは実用的には問題がありません。むしろ、スーパーのふくろをひっかけられて、おかいものには重宝します。
かつかつに切ってしまうと、のちのちのポジション変更やパーツ交換で苦労します。
が、不治の病、軽量化熱とムダナモノヲソギオトシタシンプルナケイジョー症(エモンダシンドローム)に罹患すると、この出べそを目の敵にしはじめます。うつくしくない!
オペ!
見た目はかんぺきです。でも、使いまわしと剛性の面では多少の遊びを残して、スペーサーでステムをサンドイッチする方が安全です。
トップキャップをまっすぐに
タイヤのロゴの数ミリのずれは神経質な人にしか影響しません。一方、ここの数ミリのずれはずぼらなO型さんにさえ一抹のもやもやをあたえます。
はい、ステムのトップキャップですね。
タイヤやハブのロゴは走行中には目に入りません。しかし、このトップキャップは四六時中に視界に入ります。自転車乗りのUI、コンソールです。気持ち悪さがずっとつきまとう。
あと、色のちぐはぐもびみょうな気分です。
OK!
て、こういうこまかい部分の仕上がりの積み重ねがプロっぽさを生み出します。DIY初心者はタイヤのロゴ合わせから始めましょう。