スポーツ自転車はジャンル的にはマイナーなものです。「5歳からスポーツバイク乗りです!」て人は少数派です。
そして、大半のちびっこはMTBやBMXからスポーツバイクに触れます。これはとうぜんです。
ロードは耐久長距離です。チャリのマラソンだ。子供にはたいくつです。競技者レベのマラソンランナーさえが「マラソンはたいくつだ」てはばかりません。
遊びながら技を磨ける、これがちびっこにはたいせつです。そして、大人はスキル面ではなっかなか上達しません。
で、やっぱし、MTBやBMXに乗る子は少数派です。ふつうの家庭のふつうのこどもは球蹴り、バスケ、バレー、やきうとかをします。雪国の子はスキー、スノボをします。
自転車愛好者の9割は成人以降に乗りはじめます。チャリには経済的余裕が不可欠です。スタート時期はゴルフに通じます。
きっかけはお誘い、メディア、ブーム、何となくetcetc…です。メジャー競技みたいに自然とその環境には至りません。ぼくのきっかけもともだちのお誘いです。
で、スポーツバイク初心者=良いオトナです。良いオトナは「ぼくは、わたしは初心者である」てはっきり自覚します。たまに痛感します。実走でバニーホップできねー! とか。
ザ・壁です。オフロードではリアルな障害物です。初心者は物理的に進めません。急な下り、段差、ごろごろの岩、するどい折れ枝、崖、おそろしいものです。
個人的な経験からスポーツバイクの、とくにロードバイクの初心者の壁を考えます。
ロードバイクの初心者の壁
MTBの初心者の壁はわりとはっきりします。テクニカルな初級向けのスキルが存在します。
- スタンディング
- フロントアップ
- リアアップ
- ホッピング
初級スキルの四天王です。この4つをすぱってできれば、街中や野良でそこそこ遊べます。このつぎがマニュアル、バニーホップ、ジャックナイフです。
子供はこれを遊びながら習得します。大人は習得できずに挫折します。「できんでも走れますわ~」て自分をだましつつ、高級機材に走ります。課金で解決しよう!
一方のロードバイクはMTBやBMXやトライアルバイクほどにスキルフルな乗り物ではありません。キモは走り込み、スタミナ、量です。
体重をへらして、トレインを使えば、そこそこ行けます。バイクコントロール、ペダリングテクニック、そのほかの細かいスキル、ぜんぜん不要です。
ゆえにロードバイクの初心者の壁は無味乾燥の数値的な閾値的なものになります。
100km走
ロードバイクと相通じるジョギングの初心者の壁は10kmです。完全な未経験者はせいぜい3kmしか走れません。3、5、10kmがジョガーの最初の壁です。
ロードバイクの壁はその10倍の100kmです。この数値を口にすると、一般人のひんしゅくを買います。チャリンコ=町内移動システムです。それでとなりの県まで行くって!
しかし、自転車は圧倒的に効率的な乗り物です。空気入りタイヤとフリーホイールは偉大な発明です。
ルートを選んで、天候をぎんみして、じっくり時間をかければ、ママチャリでぜんぜん行けます。
ロードバイクはなおさらに効率的です。ロード100km=ジョグ10kmのしんどさはおおむねイーブンパーです。むしろ、休憩ありのロードはらくです。
問題は片道50kmの快適コースのすくなさです。日本の本州の横幅は100-200kmです。まんなかのところは山です。平坦地はでっかい川沿いに限られます。
おなじみの光景です。
30km/1h
ロード初心者脱却のもう一つの指標が30km/1h、時速30kmで60分を走り切ることです。
条件は
- 平地
- 無風ないし向かい風
- 単独
ですね。追い風、下り、トレインの30km/1hはかんたんです、ママチャリでもトロッコでも。
で、平地で30kmもえんえん走れるところはおのずと限定されます。はい、サイクルロードです。
しかしながら、『サイクルロード』て銘打たれたところはふつうに遊歩道です。ランナー、歩行者、ちびっこ、犬の散歩はふつうに来ます。
都心部の河川敷の暗黙の速度制限は20kmです。30kmはあきらかにスピードオーバーです。
チャンスは郊外の平日の昼間の不人気なサイクルロードです。
はたまた、田舎の非幹線道路です。
て、こういうコンディションに独力でたどりつけるなら、いっぱしのチャリダーをなのれます。初心者はここまでひとりでこれません。
手信号
ロードバイクの真価は集団走行で活きます。先行者を風よけにして、空気抵抗を減らせます。げにロードはチーム競技です。
で、集団行動には統率やルールが不可欠です。屋外での掛け声は意外と通らない。たのみは手信号です。
道路交通法の基本の手信号は三つです。右手でするのが正式です。
- パー=ストップ
- ひじ垂直=左折
- ひじ水平=右折
しかしながら、自転車界では独自の手信号が普及します。さらにローカル手信号、チーム手信号が無数にあります。
とにかく、手信号をするには片手をハンドルから離して、片手運転しなければなりません。ロードバイクの速度域での片手運転はたいへんなものです。
これをすいすいできると、ロード乗りから一目を置かれます。
パンク修理orタイヤ交換
ロードバイクの足回りはタイヤ+空気入りのチューブです。ぞくにクリンチャーシステムです。
で、ロードのタイヤは細タイヤで、チューブは薄チューブです。すべての乗り物のなかでパンク率が最強クラスです。
空気入れをぬかるとか、段差にのりあげるとか、硬いものを踏むとか、パンク神のいかりを買うとかすると、とたんにパンパンパーン!とやってしまいます。
クリンチャーシステムの根本的な欠陥です。で、パンク修理ないしタイヤ交換はロードバイク乗りの必須スキルとなります。
自転車はアウトドアです。アウトドアの基本は自力救済、よそさまの力を借りずに自力でぶじに帰還することです。
他人まかせ、人頼みはアウトドアユーザーとして一人前ではありません。自転車乗りはくれぐれ予備チューブを入れ忘れず、指を鍛えませ。