先日、2022年秋冬の新車が完成しました。サイクリング、ツーリング用のフラットバーロードバイクです。
フレームは3000円、ホイールは3万円で、実際の走行性能はミドルクラスのエンデュランスロード系です。長距離、長時間、ロングライド向きだ。
こいつで2022年12月に大阪から東京までの500km強をぼちぼちチャリ旅しました。その内容をここにまとめます。
大阪-東京自転車ゆっくり弾丸ツアー
自転車界では大阪~東京or東京~大阪を24時間で完走するチャレンジは『キャノンボール』と称されます。キャノンボール=砲弾=弾丸ツアーです。
さすがにこの変態的偉人領域にはぼくの走力と気力と頭のおかしさは達しません。郊外の国道を夜間に自転車で走るのは楽しいものでも芳しいものでもない。
そもそもサイクリングやロングライドやブルベは意外と地味で退屈なものです。まあ、暇つぶしと話のネタですな。
で、二泊三日のノーマルな日程でぼちぼちキャノンボールを計画しました。ざっくり170kmサイクリング×3日ですね。
一般的にはこれさえも変態的チャレンジですが・・・世間では3桁km台の移動は自転車の領域ではありません、「新幹線を使いや、キモキモ!」と。
キャノンボールの概要
ベタな大阪東京キャノンボールの概要です。
- ルート:国道1号線
- 東京起点:日本橋
- 大阪起点:梅田新道交差点
- 距離:550km
- 獲得標高:4000m
- 編成:1名
キャノンボールは変態サイクリストやあたおかブルベ勢には人気のコンテンツです。猛者の攻略や解析が進んで、500km切りルートや箱根迂回ルートなどが開拓されます。
基本は日本橋から梅田新道まで国道1号線を経由するor東海道を横断するルートです。
ぼくはこれをベースにして、いくつかのショートカットを組み込んで、530kmくらいのコースにしました。
スタート地点は大阪市梅田新道交差点の道路元標前です。右側の金色のやつがそれです。
ちなみにロードバイクのステムが逆向きですが、ママチャリ風ポジション用のザ・特別仕様です。
いや、ジーパンですけど?リーバイスですけど? え、普通でしょう? たったの500kmのチャリさんぽですよ?
キャノンボールの行程
フォーマルなキャノンボールは24時間一本勝負です。「23時間58分で天満にいます!」とかどうなる?
他方、ぼちぼちキャノンボールはルール無用の無制限サバイバルです。唯一の縛りは予算です。1日の宿代は5000円、飯代は2500円まで!
また、緊急撤退用+帰りの長距離格安輪行のためにJRの青春18きっぷを買いました。お値段は梅地下のチケット屋で11800円でした。
国道1号線と東海道とJR東海道本線はほぼ並走します。全線で途中離脱や緊急避難が容易です。北海道一周ではこう行かない。
ぼくの実際の日程です。決め手は宿の取りやすさ。
- 大阪-名古屋 170km
- 名古屋-静岡 178km
- 静岡-東京 172km ※怪しい
夏の北海道サイクリングで宿探しに苦労したので、地方と土日を避けました。普通のビジホのシングルに1万を払うのはもう嫌だ。
宿の紹介です。価格は当日の時価です。
ほら、新幹線の大阪東京片道より安上がりやがな! 自転車キャノンボールの勝ちや!
500kmキャノンボール実走
では、大阪側の起点の梅田新道交差点からスタートしましょう。当日のコンディションです。
- 日時:2022年12月14日8:00
- 天気:晴れときどき曇り
- 気温:9.9~11.5度
- 風向き:西風 3~7m
大阪-東京のような一方通行のサイクリングでは風向きが超重要です。大阪側からスタートすると、おおむね西風のフォローを受けられます。
他方、2021年1月のしまなみ街道自走のようなロングライドはほぼ終日で逆風です。自然と中島みゆきの地上の星が頭の中でリフレインします。
無論、真夏と真冬の長時間のサイクリングないしアウトドアは快適ではありません。春秋? それはマウンテンバイクシーズンですから!
あと、山道は積雪や荒天や落石でしばしば閉鎖されます。登り終わりの通行止め看板の破壊力は並ではない。
1日目 大阪から名古屋まで
ぼちぼち俺式キャノンボールの初日は大阪から名古屋までです。このルートは過去の伊勢参りサイクリングや関ケ原越えツーリングですでにおなじみです。
- 距離:170km
- 獲得標高:1300m
- ポイント:伊賀越えが難所
※数値はGoogleマップの徒歩ルートによる。
近畿と東海の境目にある伊賀が文字通りの山場です。これは京都のはずれの笠置キャンプ場です。
道は国道1号線でなく、163号線です。この笠置の前後の道路がトラック多め、路肩狭め、歩道なしでややハードです。
で、この1号線-163号線ルートでの伊賀上野経由の名古屋行きがもっともイージーです。
- 滋賀周り307号線=登り、距離共に増加
- 国道1号線=同上
- 関ケ原経由=登り少なめ 超大回り
ルートの簡単な案内です。赤字はしんどいエリアです。
大阪梅田→四条畷→木津川→笠置→伊賀上野→鈴鹿→四日市→桑名→名古屋
で、名古屋駅前のビジネスホテル大吉で一泊しました。楽天ポイントを使って、実質1300円で泊まれました。やすうっ!
2日目 名古屋から静岡まで178km
個人的に名古屋からは未知のゾーンです。訪問の記憶や土地勘が全くない。注目点は登りの少なさです。それだけが心の慰さめです。
新幹線には負けんぞ!
- 距離:178km
- 獲得標高:912m
- 天気:晴れ
- 気温:2~9.5度
- 風:西風 3~5m
- ポイント:1号線上で自転車進入禁止が頻発
名古屋から静岡までの移動ルートは非常にシンプルです。目ぼしい迂回路がとくにありません。国道1号線が正解です。
しかし、ところどころに自転車進入禁止ポイントがあって、直進快走を阻みます。とくに名古屋から岡崎まで走りにくさが顕著です。景色も単調だし。
退屈なロングライドの道中の楽しみはグルメです。静岡=さわやか=ハンバーグです。
肉々しいどっしりしたハンバーグです。正直、二日目の記憶はこれのみです。ちなみにライスは別途です。
ただし、さわやかは超人気店で朝から晩までけっこう混みます。ぼくは浜松近辺でランチを求めて、さわやかをはしごしました。
- さわやか細江本店 14:00 15組45分待ち
- さわやか浜松有玉店 14:30 7組30分待ち
- さわやか袋井本店 16:00 待ちなし
午後2時過ぎで7組待ちは文句なしの超人気店です。ファミレスのレべルじゃねー。危うくハンバーグ難民になり掛けました。
さわやかに寄るなら、余裕を見ましょう。もちろん、フォーマルキャノンボーラーはこんな人気店には寄れませんが。
さわやか巡りのせいで少し遅れて、20:30に静岡パークホテルに到着しました。
名古屋→岡崎→浜名湖北側→袋井→藤枝→静岡
終日の追い風は非常なサポートですが、日没後には身体を冷やします。背中がめっちゃ硬くなる~。
3日目 東京にゴール!
ゆっくり弾丸ツアーの最終日は東京日本橋までの172kmです。単純な距離のデータは短く出ますが、静岡と神奈川の県境に最大の難所の箱根峠が待ち構えます。
- 距離:172km
- 獲得標高:1361m
- 天気:晴れ
- 気温:1.8~14.7度
- 風向き:西風 3~5m
- ポイント:箱根越え
朝から寒さとヒルクライムでテンションが上がりません。
最終日の静岡~東京はバラエティに富みます。スタートから早々に富士山が見えました。
清水から箱根までこのニホンイチ・マウンテンがしばしば見えます。気が紛れます。
この後、二日目のハンバーグ難民の経験を活かして、沼津で早い昼飯を食べました。箱根でランチ? あそこは観光地です。飲食店の混雑と行列は必定です。
で、箱根です。三島側の登りは小田原側よりなだらかです。
- 距離:13.2km
- 獲得標高:736m
- 平均勾配:5.5%
北海道一周の難所、知床峠を変速なしの折り畳みで登ったこの私にはこんなヒルクライムはラジオ体操第二みたいなものです。
しかし、なぜかGoogleマップがやらかして、謎の寄り道をアテンドしてくれました。
名古屋~静岡の自動車ルートでたびたび自転車進入禁止のエリアに遭遇したので、この付近では徒歩ルートと自転車ルートを併用しました。結果がこれです。
もしやMTBとロードの区別がない?!
おかげで箱根旧街道を走ら(担ぎ歩き)されて、余分な体力と時間を消費しました。
箱根ヒルクライムのベタなルートは国道1号線と県道732号線です。この箱根旧街道及びGoogleマップの徒歩&自転車ルートは不正解です。
三島側登りの途中で『箱根サバイバルゲームフィールド山中合戦場』の横のコンクリのゲキサカって通らんよねえ?
こんなふうに徒歩ルートはハイキングコースとか田んぼのあぜ道とか階段とか普通にナビしてくれます。箱根では自動車ルートが正解のようです。
冬の峠の登りはほかほか、下りはひえひえです。マウンテンバイクのダウンヒルはサイコーですが、ロードバイクのダウンヒルはビミョーです。
道の駅箱根峠でおやつを食べて、小田原まで下って、平塚で国道246号線に入りました。マップのナビではこっちの方が短く出たから。
しかし、こっちのルートは微妙なアップダウンで、ややハードでした。素直に1号線べったりが楽なようです。
なんやかんやで東京日本橋には22:00に到着しました。
172kmに15時間は異常です。平均時速が11.5kmになってしまう。Googleマップでは箱根周辺のデータがイレギュラーです。実走は200km弱あったかも?
東京の安宿はここから北の上野、浅草、三ノ輪に集中します。新宿、渋谷のような繁華街エリアの安宿はだいたいカプセルホテルですね。あれは個人的に無理だ。
静岡→沼津→箱根→小田原→平塚→海老名→渋谷→日本橋
大阪から東京までのサイクリングのまとめ
キャノンボールの実走距離は500~580kmで、平均は540kmです。猛者の研究では500km切りが可能ぽいです。北海道一周の5分の1しかありません。
大阪側のスタートは梅田新道交差点、東京側のゴールは東京日本橋です。双方に国道1号線の道路元標があります。
獲得標高は4000~6000mです。伊賀、箱根が難所です。回避ルートは大回りになります。
単調な二日目の名古屋-静岡東海大横断の方がメンタル的にハードです。さわやかのハンバーグで心と胃をリカバーしましょう。
一方通行のロングライドで風向きと天候をミスると完全に詰みます。なるべく追い風か無風の日を選ぶように心がけてください、マジで。
道中には自転車屋がけっこうありますし、鉄道もいっぱい並走します。緊急離脱や機材トラブルへの対応はイージーです。でも、輪行袋とパンクセットは必須ですね。