うちの地元の北大阪のヒルクライムの名所は箕面の勝尾寺です。週末にはたくさんの自転車乗りがこの必勝の寺に集います。
おとなりの五月山、奥の高山、摂津峡などもおおむね300-400mの手ごろな峠です。そして、ぼくはそんなに坂好きじゃありません。地元で十二分に満腹になります。
今ではマウンテンバイクで下るときにしか上りません。トレイルなしの山はただの苦行です。
が、たまには遠方の坂に挑戦しようかという気まぐれを起こします。六甲山には何度か行きました。尼崎、伊丹、川西、宝塚、西宮などは大阪のようなものです。阪急が通りますから。
反対に府内の東大阪、南大阪への足が遠のきます。なじみがない、土地勘がない、つてがない。思い出は暗峠のゲキサカばかりです。
グーグルマップの大阪-奈良の最短はこの308号線ルートでした。距離を見て、斜度を見ず。トラウマです。以降、コンクリ舗装とわっかの滑り止めを見ると、軽い胸やけを覚えます。
で、悪夢を振り払って、生駒のふもとの王道コースに向かいます。十三峠ヒルクライムです。
じゅうそう× じゅうさん〇
余談から入りましょう。『十三』をなんと読むか? 『じゅうさん』とふつうに読める人は阪急っ子ではない。われらはこれを反射的に『じゅうそう』と読みます。
『十三』は大阪市淀川区の地名です。阪急宝塚線十三駅、淀川の十三大橋は北大阪の交通のかなめです。ここが陥落すれば、大阪がマヒします。
十三峠を攻略しよう
で、この習慣からぼくのなかでは十三峠は『じゅうそうとうげ』ですが、正しい読みは『じゅうさんとうげ』です。違和感がばりばりします。これがアウェーの洗礼です。
ルートです。参考の距離は4km、斜度は9%、標高は375mです。
俯瞰図ではS字やヘアピンが目につきます。酷道一直線な暗峠とは雲泥の差です。
スタート地点の大竹7丁目交差点へ
十三峠のヒルクラのスタート地点は大竹7丁目交差点です。ここまでうちから約25kmのちょいポタです。
午後2時すぎに出発して、大竹のファミマに4時半につきました。すでに日がうすく色づき始めます。
ほんとのところはオフロードびよりです。でも、週末の午後に山に行くと、ハイカーとかち合います。
はやりのトレイルランニングさえが古参のハイカーには白い目で見られますから、MTBerはなおさらに人目を忍ばなければなりません、うえーん。
スタート地点の大竹7丁目交差点です。住宅街のなかにぽつんとあります。道案内はよろしくありません。
写真の背後側がスタートです。
序盤の坂道です。右手のサクラを写メるすきに第一ローディさんにぶっちぎられます。
この時点で気分はプレ花見&プチハイキングです。スタート前の自走二時間はなかだるみします。
傾斜は一定のペースでえんえん続きます。路面、道幅、いずれが絶好です。交通量がすこし気になりますか。
みずのみ地蔵の看板前から本番
分岐を上から望みます。手前が展望台へのルートです。正面はみずのみ地蔵への参道兼ハイキングコースです。自転車の乗り入れは不可のようです。
この分岐のあとから中央線がなくなって、道幅があからさまに狭まります。一方通行ではありません。通行車、対向車、いずれが旺盛に行き来します。
暗峠もそうです。この手狭な道に意外とふつうに車がバンバン行きかいます。ちなみにオートバイは門前払いです。でも、上から何台か来たけど・・・
このあとでやたらとクラクションの音が山中からぷーぷー聞こえます。理由はつぎのセクションです。
ヘアピンにつぐヘアピン
暗峠は地獄の一本坂であれば、十三峠の後半は蛇の道です。きついヘアピンがつぎつぎに出てきます。
これは一個目のヘアピンの光景です。傾斜は緩くなりますが、路面が荒くなります。排水溝側はまあまあガタガタです。
クラクションの理由はこの見通しの悪さのせいです。『警笛ならせ』の道路標識が各所にあります。自転車のベルの本来の使いどころはこういうところです。
ワンモアヘアピンです。
木々はバラエティに富みます。花粉発生装置ことジャパニーズ粘膜デストロイヤーことおスギさま&おヒノキさまがそんなに見当たりません。
じゃあ、花見のシーズンと紅葉のシーズンのヒルクライムはむりゲーでしょう。何気に今日が屈指のヒルクラびよりだったか?
さっきの分岐の終点はここです。奥にみずのみ地蔵と水くみ場があります。
府民がほとんど知らない府民の森
最後のヘアピンの脇に公園へのゲートがあります。
大阪府民の森です。おそらく大阪府民の大半はここの存在を知りません。
オートバイ、自転車は無情の門前払いです。そして、トレイルランナーへの注意書きがでーんと居座ります。看板の新しさが山遊びのトレンドの移り変わりを象徴します。
こういう市民の憩いの場的な空間のキーマンはだいたい地域の奉仕団体のお歴々です。ライオンズクラブとか、あのへんの。会員は地元の名士、有志の方々です。
おのずと年齢層は高め、傾向は保守的です・・・ようはがんこなおじいちゃんです。くだんの会長さんがライオンズクラブの会員でしたし、まさにそんなお方でしたから、ははは。
年配の方々の頭の中には山=登山=ハイキングの構図が完全にできあがります。激しいもの、目新しいものは歓迎されません。極論、景色を楽しみながらゆっくり歩く以外は悪です。
十中八九、つぎの目の敵はヒルクライムの自転車乗りでしょう。かいわいのローディのみなさまはくれぐれ古龍の逆鱗に触れぬように。
とうげ難民が暗峠で走ることになりかねません!
ヒルクラゴール&グラベルスタート
ゴールの展望台です。駐車場とトイレがあります。ここのトイレはネバーフォトジェニックです。わきの木陰のがせいけつだ。
ここから大阪を一望できます。夜景はロマンチックでしょう。
で、ほんとの峠のピークはこちらになります。府境のトンネルのわきのダートのさきです。
十三塚の石碑です。塚=おはかです。じゃあ、夜にはこれない。
このさきに上々のオフロードがありました。
山の稜線づたいのゆるいトレイルです。グラベルバイクに最高の道じゃないか! 今日のタイヤはシクロクロス用だし!
この道は『おおさか環状自然歩道』の一部です。同じ看板を箕面や高槻で見ました。コースはながらく未完成ですけど。そもそも全線の設定が定かじゃない。
十三峠ヒルクライムの感想
今回の初十三峠をふりかえりましょう。まず、中盤以降の道の狭さと見通しの悪さに苦戦しました。
車のプレッシャーは大です。1分1台のペースで来ます。トラックがよく通る。上方からのクラクションは初見にはどきどきです。
ヘアピンカーブとS字カーブも一見さんの心をくじきます。このカーブを曲がると・・・また坂だあ! これが5、6回です。
同じ理由でダウンヒルも爽快感に欠けます。ヘアピンからヘアピンの間隔が短すぎる。ぞんぶんに加速できません。
傾斜は一定です。大きなアップダウンはありません。トレーニングには格好のコースです。ペースづかみが容易です。
道の狭さ、車の多さ、斜度と距離から中級者向けのヒルクライムです。走り慣れるか道を知らないと楽しめません。
個人的にヒルクラのリピートはないな~。まあ、ぞくに『ほにゃららの聖地』てのはこんなもんでしょう。展望台のトイレの汚さは何とかならんか?
次回の予定はもう一つの定番ヒルクラの清滝峠です。