古いチューブの再利用について考えを巡らせるのは自転車乗りの使命です。
「なんかに使えそう」
おかんがチラシや広告やビニル袋をしこたま取り置きするようにようにチャリダーはこの古いチューブを靴箱の中やジャンクボックスの中に保存します。
「パンク修理したら使えるわ~」
これはみんなの合言葉です。たいてい、そのまま修理せずに忘れて、年末の大掃除や年度末の整理整頓で「やっぱ、要らんか」てポイされます。
チューブ的には一度ならず二度までの不要宣告、不合格通知です。蛇の生殺しじゃないか! この恨みが巡り巡って、パンク神へと変貌します。
また、エコを常日頃から自称する地球にやさしい自転車乗りがモノを右から左へ使い捨てするのは母なるガイアへの反逆でありましょう。
そんなわけで古チューブの再利用法を特集します。
自転車の古チューブの再利用法
スポーツバイクのトラブルの最多勝はパンクです。パンク修理を覚えるのがサイクリングの基礎の基礎です。
ロードバイクの軽量のブチルチューブはほんとにちょっとやそっとでパンクします。むちゃが効かない。修理セット、予備タイヤはロングライドに不可欠です。
ぼく的にはダイソーのパッチが最優秀です。このオレンジのふち周りのやつです。
で、なんやかんやでチャリ生活が長くなると、ぼろぼろのチューブがいつのまにか溜まります。
前段の理由からチャリダーはこれをなかなか捨てられません。古チューブのばくぜんとしたなにかに使えそう感はえげつないレベです。
現実問題、用途は多彩です。
パンク修理のパッチ
古いチューブの再利用法の定番中の定番中の定番がパンク修理のパッチです。無傷の部分からパッチをチョキチョキ切り出します。
一昔前まで町の自転車屋さんはこの方法でパンク修理方法をしました。いまや100円ショップで自転車パンク修理キットを買えますが。
取り扱いは上記の修理専用パッチには劣ります。へたな人がざつにやると、端っこをうまく貼り付けられません。角がぺろぺろ剥がれる。
パッチの角を落とす、やすりがけ、糊付け、乾燥、圧着、ていねいにやれば、ふつうに常用できます。パンク修理の練習にもってこいです。
これを覚えれば、パンクしまくれます。
かませ
自転車パーツの規格はカオスです。0.1mmの差でこれとこれがくっ付かない! てのは朝飯前です。シートポストは典型です。
こんなところではチューブのゴムの弾力が活きます。
29mmの中華カーボンハンドルバーのクランプに31.8mmのステムです。2mmオーバーのアルミ箔みたいなものはありません。そもそも丸まらない。
てことで、苦肉の策でチューブを切り出して、ハンドルにくるくる巻いて、ぐいぐい締め付けます。じゃあ、きっちり固定できました。
しかも、ゴムの弾力がいい感じに振動を散らします。なんちゃって内蔵ショック! ウィリーの練習で前側をばんばんしても、階段を下りても、不安を覚えません。結果オーライです。
ライトやサイコンの緩衝材にもOKです。
ストレッチ
700cのチューブの弾力とサイズ感はエルゴノミックスです。手足のストレッチングやトレーニングに使えます。
とくに自転車乗りの持病の肩こりには肩甲骨のほぐしが有用です。
- 背中に回してぐいぐいして肩関節を伸ばす
- ばんざいして左右に伸ばして脇を広げる
- 両端を握ってひじを伸ばしして前後にぐりぐり
三つ目をできない人はかくじつに柔軟性不足です。
あと、チューブの中のベビーパウダーみたいな粉がちょっと匂います。常用するなら、粉を出し切るか、ざっと洗って、水抜きしましょう。
バルブをチューブレスに使う
上級者向けの再利用が古チューブの仏式バルブを切り出して、チューブレスリムに使うことです。チューブレスバルブの代用です。
専用品です。土台のゴムの部分がしっかりです。
バルブの構造は仏式のチューブのものとおんなじです。
このチューブレス用バルブは500円~です。スモールパーツの個別品は割高になります。あいにく、100円ショップにはありません。
これを古チューブで代用しましょう。バルブの再利用方法はこのくらいです。
ちなみにVittoriaのチューブみたいなねじなしタイプのバルブは代用になりません。ゴムの土台がルーズですから、空気がバルブの付け根からもれます。
個人的にこのタイプは好みじゃありません。走行中にバルブ周りがずれて、カタカタ鳴ります。
で、ねじありのバルブをこんなふうに切り出します。
左の一式が切り出しバルブです。ちっこいゴムパッチはOリングの代わりです。右はチューブレスバルブ一式です。キャップがプラスチックです。
チューブレスのここはまあまあの高負荷トルクスです。金属のキャップでぐいぐい締め付けると、リムを痛めちゃいます。カーボンリムはなおさらです。まあ、ぼくは気にしません。
さて、稽古相手はこちらのチューブレスホイールです。
バルブ、パッキン、キャップをセットします。
で、ビード上げします。GIYOのエアタンク付きチューブレス用空気入れはほんとにべんりです。こういうチューブレスがらみの思い付きが楽しくなります、おすすめ。
一発でできなかったら、パッキンを増強しようかと思いましたが、あまりのチョロさに肩透かしを食らいました。
しかし、Oリング代わりのパッキンがおいたをします。密封がルーズで、せいだいに空気が漏れます。
パッキンなしでかっちり締めたら、あっさり解消できました。
一時間後に空気圧をチェックします。タイヤはぺこぺこしません。おふろの残り湯にバルブ付近をどぶ付けしても、あわぶくを目視できません。
これと気密テープを使えば、安くチューブレス化できます。