「わたしの趣味は自転車です」
こう公言する人々は3つのカテゴリに分かれます。自転車に乗ることを主目的にするライド派、機材をいじることをメインにするカスタム派、その両方にのめりこむビョーキの人です。
ぼくは本格自転車に乗る以前から自転車っ子です。ひどい乗り物酔いをするから、日常的な自動車や電車にさえ気後れします。実際、年に一回か二回しか車には乗りません。
で、はじめてのミニベロを購入して、ライド一辺倒の生活から卒業して、カスタムのおもしろさに目覚めました。
折り畳みとミニベロはロードやMTBみたいな競技用機材じゃありません。趣味、酔狂、道楽の度合いは大きい自転車より強くなります。いじれる・乗れるおもちゃだ。
感覚的にはミニ四駆、ラジコンにシンパします。ゴムタイヤをスポンジタイヤに変えて、モーターを強力なやつに変えて、シャーシを肉抜きして、電池を強力にして・・・みたいに。
自転車カスタム派のあるある
ライド派のあるあるは世に五万とあふれかえりますが、カスタム派のあるあるはぜんぜんレアケースです。作業の所感、苦労、感動は共通しましょう。
ロードやMTBの仕様変更が舐めプ
前段のように小径車は自転車の中で趣味的なジャンルです。競技用機材でもなく、業務用機材でもない。理想の姿がそれぞれにちがいます。
ゆえにミニベロブランドの創立者は熱狂的な異色の人ばかりです。モールトン、ブロンプトン、BD、ダホン、ターン、タイレル、バイフラ、カラクル・・・いずれが個性的です。
ためにフレームやパーツの規格や仕様がごっちゃんごっちゃんです。スタンダードな20インチホイールには大きい20インチと小さい20インチがあります。意味不明。
スイングアームタイプの折り畳みフロントフォークの下玉押しはフォークの下側に入らず、ステム一体型コラムの上側に入ります。もう上玉押しやないけ?
うちの初代ミニベロのシートポストはなぞの30.4mmです。純正以外を使うなら、シートポストアダプターをかませます。
万事がこうです。てことで、ミニベロいじりから入ると、ロードのBBの乱立とかMTBのタイヤの返還とかをほほえましく眺められます。
ボルトとワッシャがわしゃわしゃ
おりおりにカスタム派はパーツを取り寄せます。自転車店、オークション、フリマに目がありません。
で、新品のパーツにはおおむねボルトやワッシャが同梱します。また、純正のねじ系の質はかんばしくありません。ボルト、ワッシャの別途購入はふつうです。
結果、スモールパーツがわしゃわしゃ溜まります。
径は合うが長さは足らん、長さは足りるが径は合わん、予備、ついで買い、うんぬんかんでボルトとワッシャがあふれかえります。
プラス・マイナスドライバーが開店休業
自転車のねじやボルト類は六角ソケットです。
ふつうのプラス・マイナスねじはほとんど出てきません。メイン工具は六角レンチ=アーレンキーです。これしか使わない。
マイナスドライバーは本来の用途から離れます。ディスクブレーキのピストン戻し。
て、こんなこじりグッズに堕落します。
これらよりヘックスローブのが出張ります。
計りがともだち
車体やパーツの軽量化はカスタムのだいごみです。DIY派のいずれがこの道を避けて通れません。熱病のようなものです。
非公表、シークレットは辛気臭いものですが、自転車パーツのカタログ値やメーカー公称があてにならないのは周知の事実です。
重さの実測は必須です。アタリ、ハズレで一喜一憂します。
もはや、うちのタニタの計りは自転車パーツ専用です。
なんでアナログだあ?! なんでビニル袋を外さない?!! て、ミリグラム単位を争う軽量化ラーには狂気の沙汰に見えましょう。性格です。
これの購入者の数パーセントはまちがいなく自転車カスタム派です。
計りにチェーンをのっけて、キャッキャてはしゃぐとか、がくーんてするとかします。はた目には完全にアブナイ人です。身内の視線さえがひややかです。
ノギスは相棒
長さは重さよりあてになりません。ことさらにタイヤ幅の公称値はぐちゃぐちゃです。シマノのホイールの型番のリムハイトらしき数値は意味をなさない。
実測はすべてに勝ります。デジタルノギスは心強い味方です。
24mmのシュワルベワンチューブラーの実測は23.87mmです。看板にいつわりなしです。誤差、不正確が日常的にあるタイヤ界ではレアケースです。
圧入部の誤差は命とりです。
1インチノーマルコラムの下玉押しの圧入部のISOの公称値は26.4mmです。0.05mmは誤差の範囲です。0.2mm以上のギャップは厳しくなります。
70mm=ITA? ブー! です。ママチャリ専用のJIS 70mmのBBシェルです。右のスレッドは逆ねじです。
でも、イタリアのBBを入れちゃいました。
BBとヘッドセット周りに思い込みは禁物です。
シマニョーロ、シマグラ、シマスラ
アカデミックな自転車乗りの価値観ではパーツ、ドライブが統一であることがのぞましい状態です。シマノにはシマノ、カンパにはカンパです、1xにはSRAMです。
しかし、非推奨なことをしたがるのがカスタム派の自転車乗りです。無根拠な自信とその場のいきおいでありとあらゆるNGなことをしちゃいます。
シマノとカンパニョーロのMIXのシマニョーロ、シマノレバーとマグラキャリパーのシマグラは昔から有名です。
アメリカのSRAMが台頭して、オフロードやオールロードのシマスラはわりとふつうになりました。ロードのシマスラ、カンスラは定かじゃありません。
3社ミックスのシマニョラムは妄想を掻き立てます。カンパ油圧、シマノメカ、スラムカセットはおもしろそうです。
走りながらカスタムを考える
ライド、カスタムにのめりこむ人は四六時中に自転車のことばかりを考えます。で、いじるときには走るときのことを考えて、走るときにはいじることを考えます。
坂をヒイヒイ上りながら「これこれの軽量タイヤとラテックスでもう少し楽になるか?」とか「E-bikeやろ」とかちょっと荒れた道や段差を走りながら「サスはありやなあ」とか。
じゃあ、こんな状況に直面すると?
もちろん、3.0インチ以上のファットタイヤかシュワルベのスパイク付きタイヤが真っ先に思い浮かびますよね?