月々の携帯の料金に頭を悩ませる人の目に飛び込んでくるのが格安SIMです。
- 安定した通信通話
- そこそこの割安感
- ブランド知名度
- ネットの情報量
この条件で出て来るのはmineoかUQ mobileかイオンモバイルでしょう。格安SIMの3強です。
ちなみに楽天モバイルはMVNOからMNOになりました。
で、今回の主役はau系のUQ mobileです。UQ WIMAXの方でなく、音声付きのUQ mobileの方です。
MNOとMVNO
国内の携帯キャリアは3社の独占です。docomo、au、ソフトバンクが実質的に談合して、料金の水準を不当に釣り上げます。二年縛りという謎形態も意味不明だ。寡占事業の闇です。
この体制を打破するために楽天モバイルがこの春からMNOに参戦します。2020年3月の先行予約からこの6月一杯でRakuten UN-LIMITの契約者が100万人に達しました。iPhone導入へのめどは立ったか?
これ以外の携帯会社は格安SIM系のMVNOになります。自前の通信帯や基地局をを持たず、docomo、au、ソフトバンクから回線を借りて、それをユーザーに又貸しします。
UQ mobileの基本情報
UQ mobileはWiMAXのUQコミュニケーション会社のMVNO格安SIMサービスです。マスコットキャラクターは色違いのガチャピンとムックです。CMでは深田恭子、多部未華子、永野芽郁の美人女優が三姉妹を演じます。宣伝費は潤沢のようです。
UQコミュニケーションの母体は通信キャリアのauのKDDIです。はて、なんでMNOがMVNOを運営するか? これはauの過去の不振にあります。
iPhoneを取り扱う以前のauの経営は絶不調でして、国内王者のdocomoの牙城を崩せず、新規契約者の獲得に行き詰りました。
そこでKDDIがMNOの普及と携帯契約数の増加を計画して2014年にUQ mobileを立ち上げます。つまり、これはUQ案件でなく、au案件です。
以降、運営がKDDIからUQに映ったり、社長が弱気な発言をしたりしましたが、地道な営業と大規模なPR作戦(青いガチャピン?)で契約数を伸ばして、auのセカンドレーベル的なポジションに落ち着きました。
さらに2020年10月にはUQコミュニケーションから再独立して、KDDI傘下に統合されます。秋にはUQ WIMAX(UQコミュニケーションズ)とUQ mobile(KDDI)が別物になります。ややこしい。
現在のUQ mobileの契約者は200万強です。で、格安SIMの最大手の楽天モバイルが2020年4月からMNOになりましたから、MVNOの最大手の栄冠がUQに転がり込みました。
その他の格安SIMサービス
UQ以外の格安SIMサービスを簡単に紹介しましょう。
- mineo
- BIGLOBEモバイル
- イオンモバイル
- LINEモバイル
格安SIMの元祖的なmineoにはデータシェアプランがあります。余分なパケットを友人や家族に上げたり売ったりできます。
BIGLOBEモバイルにはエンタメフリーオプション機能があります。YouTube、AbemaTV、U-NEXT等の動画配信サービスの閲覧が無制限になります。
イオンモバイルは国内小売り最大手のイオンの格安SIMです。イオンモールの携帯売り場などにSIMのパッケージ品があります。
LINEモバイルの運営元はSNSのLINEです。SNSフリープランがあります。
UQ mobileどこで買える?
UQ mobileの契約受付は家電量販店やゲオ、PCデポやイオンの携帯コーナー及びUQスポットにあります。
しかしながら、店頭訪問・対面販売がコロナのせいでネガティブなものになってしまいました。しかも、携帯屋の店内はなかなかの密度です。
この状況では通販がベターでしょう。一昔前のような店頭複数台契約の高額キャッシュバック案件はもうありませんしね。
通販の格安SIMの配送日数はおおむね1週間前後です。書類審査に数日、発送に数日です。申し込みに不備があれば、配達が遅れます。そして、到着日=契約開始日です
店頭契約は1~2時間です。これには待ち時間は含まれません。スタッフの説明を聞いて、書類を書いて、審査を待ちます。
契約に必要なもの
格安SIMの購入は通信回線契約です。契約には書類が必須です。
- 運転免許証やパスポートなどの身分証明書
- クレジットカード、銀行口座
店頭契約ではこれらの書類を持参し、通販契約ではこれらの写真をアップロードします。
docomoやauの電話番号を継続的に使用するならば、契約キャリアのサポートに連絡して、MNP予約番号を発行します。新規契約にはこれは不要です。
UQ mobileのプランや月額料金
UQ mobileのプランは2つです。2020年5月までS,M,Lの3つでしたが、6月にSとRの2つに絞り込まれました。Sが3GB/1月、Rが10G/1月です。
動画などを多く利用する人は新プランのRを選びましょう。こちらは速度制限になっても、最大1Mbpsの通信が可能です。Sの最大速度は300Kbpsです。
料金はこの通りです。
プランS=1,980円、家族割で1480円
プランR=2,980円、家族割で2480円
通話料金
上記のプランはデータ+音声の料金です。オプションなしの通話の料金は20円/30秒です。
通話オプションは3つです。
- 国内通話月60分/500円
- 国内通話10分/回:700円
- 国内通話かけ放題(24時間いつでも):1,700円
ぼくは契約時には何となく『月60分/500円』の通話オプション申込みしましたが、全く電話をしない(メールやLINEで済ます)ので、このオプションを解除しました。
外回りの営業マンみたいにバリバリ電話をする人はかけ放題の1700円オプションを申し込みましょう。
UQ mobileの解約金
キャリアの悪しき代名詞が2年縛りです。更新月以外の解約や転出には約10000円の違約金が掛かります。このおかげで国内の携帯回線の自由化は大幅に遅れます。
UQ mobileの新スマホプランの解除料は不要です。2年縛りのような理不尽な仕組みはありません。これが健全でしょう。格安シムのベーシックなスマホプランは主にこちらです。三大キャリアの2年縛りが異常です。
ただし、おしゃべりプランやぴったりプラン、旧プランには12ヶ月の縛りが発生します。12か月未満の解約手数料は税別9500円です。
そして、番号乗り換えのMNPの転出には3000円の手数料が一律で掛かります。転入先のサービスでも3000円の事務手数料が掛かります。乗り換える人は注意しましょう。
UQ mobileの使用感
ここからUQ mobileの実際の使用感を紹介します。ポイントはエリア、速度、安定度です。とくにぼくは動画視聴のために契約しましたから、速度と安定度は非常に重要です。
格安SIMはなぜ遅くなる?
格安SIMの顕著なデメリットは混雑時間の遅延や停滞です。
- 7-8時=通勤通学
- 12-13時=昼休み
- 17-18時=帰宅
- 23-24時=就寝前
皆が一斉にスマホを弄り始めると、データの転送量が活発になります。あと、繁華街の人口密集地やイベント会場での遅延は日常茶飯事です。ポケモンGOやドラクエウォークがめっきり遅くなる。
格安SIMの回線はキャリアのものです。auとUQの通信の品質や技術は変わりません。しかし、同時に扱えるデータの転送量が限られます。
水源と蛇口
仮にUQがauから100パワーの転送量を割り振られるとしましょう。水源のようなものです。で、ユーザーが1人しかいなければ、その回線速度はほぼ無制限になります。一人で100パワーを使える。データの源泉の貸し切りです。
ユーザーが2人になれば、各々の振り分けは50パワーになります。4人で25、5人で10、10人で10、100人で1パワーです。
で、昼休みには皆が一斉にスマホを弄り始めますから、この100パワーが0.1や0.01に細ります。激混みのプールのようなものだ。結果、個々のスマホの通信速度が遅くなって、ポケモンが動かなくなる。
これは通信業界ではベストエフォートと呼ばれます。格安SIMの通信の安定度や速度はこのデータの転送量の多さに掛かります。UQの源泉は豊富です。使用者の評判がその裏返しだ。
UQ mobiletとWIMAXの昼の速度計測
こちらは実際の速度の計測結果です。最も重い12-13時にfast.comで計測しました。
左がUQ mobileの速度、右がUQ Wimaxの速度です。ギガMAX月割りで二回線持ちです。肝心の速度は2Mbpsしか変わりません。
1Mbpsは125KB/1秒ですから、18Mbpsは2.25MB/1秒です。10分のFHD動画がだいたい1GBです。1000/600=1.66MB/1秒。つまり、YouTubeの1080画質の動画はスムーズに再生されます。その逆も然りで、FHD画質のライブ配信も可です。
世間では4Kや8Kが話題になりますが、スマホのベストはもうしばらくFHDでしょう。むしろ、20~50Mbpsの4G回線はそれを前提に設定されたように見えます。それ以上は5Gの役目でしょうね。
iPhoneで使える?
UQ mobileはiPhoneを取り扱います。ただし、モデルは旧式のiPhone 7です。32GBモデルが18000円、128GBモデルが28800円です。
が、UQ mobileのSIMはauのSIMです。大本の仕様は変わりせん。なので、auのiPhoneはUQ mobileのSIMを普通に認識します。
一方、DocomoとSoftbankのiPhoneにはキャリアのSIMロックが掛かりますから、UQのシムは無条件では認識されません。SIMロック解除が必要です。
SIMフリーのiPhoneではこの問題はありません。SIMフリーのandroidも同様です。
テザリングは無料
auのスマホプランのテザリングはオプションです。別途料金は月々500円、24か月の合計は12000円になります。
UQ mobileのテザリングはプランの料金に含まれます。USBテザリングもWifiテザリングも無料です。格安SIMではこれが常識です。
UQ mobileのAPN
UQ mobileの対応スマホを使わないなら、このAPNを手動かツールで設定しなければなりません。
UQ mobileのAPN設定は以下の通りです。
代表的な設定項目名 | 設定値 |
---|---|
APN名、アクセスポイント名 | uqmobile.jp |
APN、APN設定 | uqmobile.jp |
ID、ユーザーID、ユーザー名 | uq@uqmobile.jp |
Password、パスワード | uq |
認証タイプ、PPP認証タイプ、暗号タイプ | CHAP |
APNプロトコル | IPv4v6、IPv4/IPv6 |
APNタイプ | default,mms,supl,hipri,dun |
UQのマイナーな端末を買う人は少数派でしょうから、このAPS設定が最大の難関でしょう。こちらはレアなUQのOPPO R17 NEOです。
UQ mobileの長所と短所
乗り換えから二ヶ月が経って、UQ mobileの長所と短所が分かりました。
長所
当月のデータ残量を翌月に繰越せます。繰り越しの期限は翌月までです。追加チャージ分は繰り越し対象にはなりません。
UQ mobile専用アプリで節約モードと高速モードを任意に切り替えられます。節約モードの通信では当月のデータ量が減りません。節約モードの最大速度はプランSでは300Kbps、プランRでは1Mbpsです。
従来の128Kbpsは使い物になりませんが、1Mbpsはぎりぎり許容範囲です。Googleマップ、メール確認、SNS、ネット閲覧は〇、動画視聴は△、ライブ配信は×です。
売りの速度は前述の通りです。
短所
この二ヶ月の短期間では短所らしい短所は見当たりません。今回のキャリアからの乗り換えは個人的には大成功でした。
UQのスマホプランの少なさは超ライトユーザーにはデメリットに成り得ますか。ほかの格安SIMには1GBの音声付きのコースがありますし。
それから、UQ mobile専用アプリのプラン変更の受付時間が9:30-20:30です。なぜか24時間受付ではありません。その時間にオペレーターがいないか?
短所はこの二点くらいです。
UQ mobileまとめ
UQ mobileはauの2ndレーベル的な格安SIMです。紆余曲折を経て、UQコミュニケーションから単体で独立し、本営のKDDIに統合されます。
UQ mobileを契約できる場所は家電量販店やショッピングセンターやUQスポットです。地方では路面店があまりありません。店頭訪問・対面販売がコロナで黄信号ですから、通販契約がベターです。
スマホプランの料金は2つに絞られました。プランSが1980円、プランRが2980円です。後者の速度制限時の速度は1Mbpsです。これはRakuten Un-Limitと同様です。
オプションなしの通話料は20秒30円です。月60分通話放題が500円、1回10分通話し放題が700円、24時間通話し放題が1700円です。
新規のスマホプランの解除料は無料です。1年縛りも2年縛りもありません。
混雑時の回線速度は20Mbps前後です。UQ Wimaxと同レベルです。二つを同時に契約すると、ギガMAX割でよりお得に節約できます。
本家auのテザリングは500円ですが、UQ mobileのテザリングは無料です。
UQのSIMはau端末やSIMフリーiPhoneではすぐに使用可能です。APN設定は公式サイトにあります。
ぼくの総合評価は5段階の5です。キャリアからの乗り換えで大幅に携帯料金を引き下げつつ、快適快速な動画視聴環境を入手できました。プランRの通信制限の最高速度が1Mbpsになったのも好評価です。