軽量クイックリリースのメリットとデメリット

クイックリリース、クイックレリース、クイックレリーズ、QR、クイックスキュワーうんぬんetcと呼ばれるパーツがチャリの世界にはあります。

それがこのメカメカしい構成体のどこかにあります。さあ、どこでしょう。

何系ともいいがたい仕様のマイ小径車
何系ともいいがたい仕様のマイ小径車のリアホイール

答えはまんなかのレバーです。

シャフト、レバー、キャップ、バネからなる地味なニッチなパーツです。役目はホイールをフレームのエンドに固定することです。

カンパニョーロさんが発明

QRの発明者はイタリア人のカンパニョーロさん、そう、あの高級変速屋のCampagnoloの創業者です。

これでレース中のホイールのメンテナンスの利便性が飛躍的に向上しました。まさにカンパさまさまです。ロードバイクラーは足をヴェネトに向けて眠れません。

ただし、本格MTBやディスクロードではホイールの固定器具はスルーアクスルタイプに切り替わりました。

スルー、ポンプ、パン
スルー、ポンプ、パン

固い棒です。これがフレームとホイールとシャフトを擬似的に一体化させて、溶接加工に近い強度を生み出します。

一方のクイックリリースの細いシャフトはフェイクです。ただの水先案内ガイドさんです。クイックリリースのシャフトは重量を支えません。

ホイールとフレームの仮留め

クイックリリースの役目はホイールとフレームの固定に限られます。実際に重量を支えるのはホイール側のハブ内の中空シャフトのエンドキャップです。

クイックリリースの細いシャフトは重みを支えきれません。現に素手でかんたんに曲がりますし。

デメリットは利便性の裏返しです。圧倒的な強度不足です。丈夫さがナット締めやスルーアクスルに劣ります。

ハブのシャフトの中身の写真です。さて、穴の向こうに見えるあれはなんでしょう?

What?
What?

答えは次章で!

クイックリリースをチタン化

今回のカスタマイズはクイックリリースの交換です。目的は軽量化です。しかし、パーツがパーツです。見込みはせいぜい数十グラムでしょう。改造の意味がありますか?

はい、通常の場合、軽量化目的のクイックリリースの交換は重要じゃありません。

しかし、最初の写真のようにうちのミニベロのリアホイールのクイックリリースはスタンド付きです。お買い物チャリ時代の名残です。

チタンシャフトのクイックリリースです。

AESTチタンシャフトクイックリリース
AESTチタンシャフトクイックリリース

リアのシャフトは長めです。ロード用の短いものはMTBやクロスバイクに足りたり足りなかったりします。

うちのミニベロのリアホイールの幅は135mmです。ディスクブレーキタイプのものはだいたいこちらです。

計測です。

50g
50g

通常のものは100g前後です。チタンと鉄の差がもろに出ます。それぞれの比重は4.5と7.8です。単純計算で鉄はチタンの1.73倍の重さです。

パーツ別にじっくり見ましょう。

クイックリリース
クイックリリース

レバー、シャフト、キャップ、バネです。注目はバネです。

このバネはぞくに『タケノコバネ』と呼ばれます。うーん、たけのこっぽく見えるう? ぼくはバベルタワーにしか見えませんが。

ブリューゲルのバベルの塔
ブリューゲルのバベルの塔

こいつの役目はフレームとホイールの緩衝材兼キャップとレバーの押し戻しです。

タケノコバネがないと、クイックの外への戻りが甘くなって、てきせつな隙間ができず、ホイールがエンドのツメから外れにくくなります。

ちなみにバネの狭いほうが内側に来ます。この写真のバネはNGです。

タケノコバネのだめな取り付け方
タケノコバネのだめな取り付け方

クイックリリース交換

クイックリリースのはずし方はシンプルです。レバーを起こして、キャップを押さえて、左回しで緩めます。

リムブレーキのチャリではさきにブレーキを開放します。ディスクブレーキはぽん外しOKです。

で、こちらはリアホイールのリリースですが、シャフトのまっすぐさが怪し気です。

リアのシャフト
リアのシャフト

うーん、ビミョーないがみがありますねー。リアはわりにトラブりましたからねー。チェーンがスプロケットの内側に落ちたりとか。心当たりがたくさんです。ちょうど交換時期だったかもね。

実測しましょう。スタンド付きで365gです。ワオ!!

スタンド型クイックは370g
スタンド型クイックは365g

スタンド的には軽い部類です。でも、クイックリリース的にはウルトラスーパーヘビー級です。

じゃあ、リリースの交換で315gも軽くなりますやん! 前のチタンシャフトのペダル交換との合わせ技で500gオーバーの軽量化です。やったぜ! しかも5000円しか使わへんし!

取り付けましょう。レバー側からシャフトをハブに通して、先端にバネを乗っけて、キャップで押さえながら仮締めします。

バネの狭い方を内側にしましょうね。

締め付けの強さの基準は親指

さて、最後にレバーをクローズします。このときに締め付けの強さをふと思い悩むのが初心者チャリダーの登竜門です。

締め付けは親指で
締め付けの力加減は?

何度か手探りでやるとじきに感覚を掴めます。一般的な目安は親指で倒せるくらいの強さです。

感覚的に親指で「ぐぅい」てくらいです。「くいっ」とか「ぐいっ」とかはトルク不足です。クイックリリースは親指で「ぐぅい」が合言葉です。

親指で倒しきれないような強さは締め付けすぎです。掌底とかを使わず、親指の腹を使います。レンチとかで無理にレバーを倒すのは厳禁です。細いシャフトが一発でいかれますよ。

ハブの玉当たりと同じくがちがちもゆるゆるもNG失格です。キャップ側であんばいを調整しましょう。レバー側をまわすと、クローズの位置を理想のポジションに出来ません。

かっこいいポジション
かっこいいポジションを考えよう

基本ポジションは2時・10時の方向、地面と水平、ステーやフォークのラインに沿わせる、45度とかです。あなただけのベストQRレバーポジションがあります、きっと。

アルマイト系のカラーものを選べば、おしゃれなワンポイント差し色にできます。