自転車は効率的な乗り物です。小さな力で速く走れます。一般人には最強の町内移動システム、自転車乗りには身体の一部です。
個人的には長年の仕事道具ですらありました。
このべんりな万能マシーン、自転車の消費カロリーは徒歩の6分の1です。超省エネで超エコだ。
しかし、自転車の燃費の良さは地球や人間には優しいものですが、ダイエット、痩身、減量には逆効果です。
同じ距離を走っても、徒歩やランニングよりエネルギーを使わない。ブヨブヨのぜい肉には優しすぎる。
このエネルギーはクルマでは油や電気です。人間では糖や脂です。
一般的にダイエット=余分な脂肪を減らすことです。燃費の良い自転車の無駄肉消費量は燃費の悪い徒歩に劣ります。まさに長所は短所です。
そもそも『燃費の良い移動手段』と『ダイエット』がそもそも矛盾します。燃費の悪い徒歩やランニングの方が腹の肉には効果的です。
自転車は超効率=ぜい肉に優しい
自転車(ママチャリレベル)の消費カロリーは徒歩の1/6
この数値は空想の産物ではありません。自転車界ではわりと有名な研究レポートの引用です。
自転車産業振興協会という国内の自転車のことを取り扱う組織があります。ここがさまざまなレポートを公開します。
で、ここの実験で通常速度の自転車の二酸化炭素排出量は徒歩の1/6だという研究結果が出ました。PDFを検索すればふつうに読めます。→自転車走行時の消費エネルギーと効率
カロリーと二酸化炭素になんの関係があるか? 体内の脂肪は単体では燃えません。酸素が不可欠です。脂肪燃焼の鍵は有酸素運動です。
- 体内の二酸化炭素の数値が大=ハードな有酸素運動
- 数値が小=ソフトな有酸素運動
脂肪が燃えれば、酸素が消費され、二酸化炭素が発生します。逆説的に体内のCO2の値で脂肪の燃焼量が分かる。
自転車の消費カロリーは徒歩の1/6です。つまり、すばらしい燃費です。プリウスやテスラの比ではない。
一方の徒歩、ランニング、水泳、サッカー、テニスなどはガソリンをがんがん食うでっかいアメリカ車のようなものです。地球と人類にはよろしくありません。
でも、余分なぜい肉の滅亡にはそれらの方が有効です。マイルドな運動では酸素がなかなか消費されません。結果、脂肪も消費されない。
世の消費カロリーはマユツバ
「自転車でみるみる痩せる!」
「ロードバイクでこんなに痩せました!」
「チャリ通でかんたんに楽に痩せられます!」
これらは幻想です、キャッチコピーです、ファンタジーです。楽な手段では楽に痩せられません。
強度を上げるか、頻度を上げないと、体重の維持すらできません。
「自転車の消費カロリーは特大だ!」
そもそもダイエットブログやカロリー計算アプリの自転車の消費カロリーはほぼ水増しデータ&でたらめです。希望的観測値です。
実際の運動は絶対にこれを上回らない。
たしかに自転車でストイックにレーシーにばりばり走ったり、ジムのエアロバイクをガンガン漕いだりすれば、そのくらいの効果を得られます。
フィットネス系メディアや健康ライフ系キュレーションでは定型句のように「自転車で20km/1時間はらくちんだ!」みたいな文面がおどります。
これはフィクションです。
実際、20km/1時間の自転車は都会の交通事情では夢のまた夢です。自転車通勤は信号で途切れる。
都会では信号は1-2kmごとにあります。20kmサイクリングでは10回の休憩がはさまります。
貴重な有酸素運動がぶつぶつ途切れて、脂肪燃焼の効果が半減します。
日本の都市部は自転車フレンドリーではありません。自動車さまの天下です。
長い距離をそこそこ走れる大きなサイクリングロードさえが完全ではありません。都会の河川の遊歩道にはたいそうな車止めがあります。
旧世紀には河原でオートバイを乗り回す風習がありました。今やこれの予防のためのバリケードがあちこちにあります。
つまり、20km/1時間は机上の空論にすぎません。そんな好都合なチャリ通ルート、自転車通勤コースはまれです。
そして、チャリ通の片道は~15km前後に留まります。往復30kmだ。上述の運動量の換算ではランニング5-6kmの負荷にしか値しません。
ラン5kmの運動ではなかなか痩せません。体重の維持が限度です。
信号や車止めで寸断される正味の自転車通勤30kmはこれよりゆるい運動です。行きと帰りに分かれるし。
ぼくの実感も自転車産業振興協会のデータとかけ離れません。自転車のしんどさはジョギングの6分の1か5分の1です。
つまり、自転車通勤ダイエットはぜんぜんお手軽じゃありません。片道10kmをきびきび走って、ようやく適当な運動効果を得られます。
でも、この条件は日本の交通環境的にタイトです。
メリットは半強制的に体を動かせること、通勤ラッシュを回避できることです。後者は冗談抜きで特大のメリットです。
おまけにコロナが拍車を掛けます。
肉体の負荷がマイルド
自転車はダイエットには向きません。効率的な有酸素運動ではない。が、運動的には非常に優秀です。
肉体の各部の局所的な負荷がランニングやジョギングよりマイルドです。
以前、ぼくは不注意で右足の薬指を三角コーンにぶつけました。にぶい痛みと内出血、ザ・骨折です。サンダル履きがあだとなったか・・・
ランニングや球蹴りはしばらくむりでしたが、ゆるい自転車は一週間後からOKでした。
足は地面とダイレクトに接地すると、強い反発力を受けます。指、ひざ、関節には予想以上の負荷がかかります。
自転車では身体の末端は地面とダイレクトに接しません。
ペダルとフリーホイールのおかげで余分な反発が抜けますし、体重はサドルとハンドルで分散されます。下半身の負荷がマイルドです。
ロードは目と肩と首に来る
現在の日本の自転車トレンドではスポーツ自転車=ロードバイクです。そして、ロードバイク乗りはひょろひょろのやせ型です。
弱虫ペダルのキャラ造詣が好例でしょう。
このイメージからロードバイクに過剰な痩身効果の夢がかかります。でも、現実はままなりません。結局、強度と頻度がだいじですから。
一般人が思い浮かべる『ダイエット感覚』で自転車に乗っても、そうがりがり痩せません。『スポーツ感覚』や『部活感覚』でやれば痩せられます。
しかも、ロードバイクの前傾姿勢は上半身にひしひし来ます。目、首、肩ですね。一説ではそれらの負担はパソコン作業の数倍になります。
たしかにぼくの個人的経験もこれを否定できません。左肩が30分でしくしくしはじめます。首もすんごく疲れる。
そもそもロードバイクは一般自転車より速く楽に走るための機材です。ママチャリやシティサイクルより燃費が良い。
つまり、ダイエットには向きません。より重いクロスバイクやママチャリの方が効率的です。
スピード感、爽快感はまたべつのはなしです。
自転車ダイエットのまとめ
チャリ通やサイクリングはダイエットには少し力不足です。同じ負荷を掛け続けるのが至難の業だ。都会の交通事情は自転車ダイエットの敵です。
個人的に自由に飲み食いしても太らない目安は週五回の10kmジョギングです。自転車換算で週300kmになります。部活か!
自転車で最も効率的なダイエット方法はインドア走行です。外を走るより交通事情や天候の影響を受けない室内でトレーナーを回す方が効果的で安全です。
一昔前まで自転車のインドアトレーニングは退屈な苦行でしたが、Ziwftのようなバーチャルアプリのおかげで刺激的な体感ゲームに進化しました。
さらにコロナで需要が増えて、手頃な静音タイプのスマートトレーナーの新作が続々と登場します。ヨドバシの自転車コーナーにすらありますよ。
海外通販で海外仕様のトレーナーを買う時にはプラグの形に注意しましょう。英国向け製品の電源は三本のやつですから、Wahooとか。
まあ、返品や補償の点から国内ストアで買うのがおすすめです。