E-bike=Electric Bike、電動アシストスポーツ自転車の総称です。EとBikeのあいだにハイフンを入れるのが通例です。Ebike=△、E-Bike=〇です。
日本のE-Bike事情
日本の電動アシスト自転車の99%はママチャリ系、軽快車系の実用車です。近年、これが原付の販売台数をゆうに上回って、市民の日頃の足として定着します。
近年の電アシの販売台数は前年比10%オーバーで推移します。街中ではよく見かけます。
たまに高校生らしき学生さえが通学用に乗ります。リッチですね! ぼくは片道8kmをママチャリで通い詰めました。
たしかに電アシ通勤は原付通学よりセーフティで、満員電車より健全で、アナログ自転車よりスピーディです。かごなしのスポーツバイクには重い通学カバンが酷だ。
国内御三家ヤマハ、パナ、BS
日本の電動アシストの3大ブランドは発動機屋のヤマハ、電池屋のパナソニック、タイヤ屋のブリジストンです。看板モデルはそれぞれPAS、ViVi、アシスタです。
ほかにはサンスター、丸石、ミヤタなどがちょこちょこと販売します。
過去には本田やトヨタや三洋電機がしました。本田のラクーンや三洋のエナクルはまあまあヒットしました。三洋はパナに吸収されちゃいましたが。
BSはながらくヤマハの電動ユニットを使い、ちょろっとパナに浮気した挙句に2015年から待望の自社ユニットをアルベルトeなどに搭載しはじめました。
しかし、BSの自転車部門のはたいろが全体的によろしくありません。アシスタはヤマハのPAS、パナのVIVIにははっきりと押し負けます。
モーターを作れるところ=ヤマハ、バッテリーを作れるところ=パナです。モーターかバッテリー、どちらかの技術を持たないと、イニシアチブを取れません。
ややこしい電動アシスト規制
電動アシスト自転車のオリジンは実用車です。坂を楽に上る、重い荷物を運ぶ、ストップ&ゴーをスムーズにする、てのが当初の用途です。つまり、原付の代替品だ。
世界初の市販品はヤマハのPASシリーズです。ちなみにPAS=Power Assist Systemの略称です。
ちなみに電気自転車のアイデア自体は19世紀末ごろからあります。アメリカで特許が出ました。USA!
PASの当初の電アシはでっかいモーター&しょぼい電池で20kmしか走れませんが、その後の急速な技術発展でユニットの小型化・高性能化に成功します。
最新のPAS ナチュラ スーパーのエコモードの走行距離は100km!です。ただし、アシスト速度はアシスト規制法のおかげでそんなに劇的に変化しません。25km/1hです。
これも前まで20km/1hでした。25kmモデルはぞくに『新基準』です。この新基準も年月を経て、すこし古びます。
アシストの計算方法
日本のアシスト規制です。
- 9km/h以下では人力:電動の出力の割合が最大1:2
- 25km/h以上で電動アシストはなくなる
- 10-24km/hでの電動アシストの出力は走行速度をキロメートル毎時から10を減じて得た数値を7で除したものを2から減じた数値
この箇条書きでは意味がよく伝わりません。10-24kmまでのアシスト比率の計算式の例題を下に記しましょう。
時速20kmのアシスト値の計算です。上の???な項目の数値をあてはめてみましょう。
20-10=10
10/7≒1.43
2-1.43=0.57
20km/1hのときの人力と電動アシストの比率は1:0.57です。
10kmと24kmでやってみましょうか。
10-10=0
0/7=0
2-0=2=MAX
24-10=14
14/7=2
2-2=0=なし
アシスト力は10km時で最大、24km時でゼロです。速度が10kmから24kmに近づけば近づくほど、電動アシスト力は徐々に弱くなります。
『徐々に』てのがポイントです。デクレッシェンド。これがスポーツバイク型のEbikeの進出のボトムネックです。
規制は国別
電動アシストの速度と出力の規制は国別です。ざっくりとEU、北米、アジア、オセアニアです。アフリカはなぞです。
日本みたいにアシスト比まで規制するところはレアです。でも、なぜか出力の規定はなぜか明文化されません。
欧米ではアシスト比の規定はありませんが、速度と出力の規定はあります。EUでは25km以下の250W以下、アメリカでは32km以下の750Wです。
海外版Wikipediaの表ではニュージーランドが300W以下の速度制限なしてファンキーなルールです。60kmとか80kmとかのモンスターマシンはニュージーランド発だあ?
自転車扱いのPedelecsと単車扱いのS-Pedelecs
電動自転車のタイプは二種類に大別されます。ひとつはペダルアシスト型、アルファベッツではPedelecsです。日本人がふつうに思い浮かべる電アシです。
もうひとつがスロットル・ボタン型、S-Pedelecsです。これはオートバイみたいにグリップぐりぐりないしボタンでポチポチでモーターを動かします。ぞくにフルアシスト自転車です。
大半の国でペダリングを要さないフル電動型の電動自転車は歩行者・自転車扱いでなく、単車・オートバイ扱いになります。免許、車体登録、ナンバープレートなんかが必要です。
当然のごとく日本ではフルアシストはオートバイ扱いです。ペダル付きの電動原付です。セグウェイとかもそうだ。ナンバーを着けないと、道路交通法に抵触します。ミラーやウィンカーも入るかな?
たまに繁華街でノンペダリングですいーって進むちっこいミニベロみたいなチャリがいますが、あれはフル電動タイプです。実質はペダル付き電動オートバイです、モペッド。
欧州の電動ユニット事情
モーターとバッテリーの小型化で電動アシスト自転車が実用一辺倒の無骨な業務用機材でなく、ちょっとおしゃれなホビーやフィットネスのガジェットに多角化します。
E-Bikeのホットエリアは欧州です。とくにドイツとオランダがE-Bikeブームのけん引役です。オランダは欧州屈指の自転車フレンドリー国です。
王者Bosch
ドイツはE-Bikeの心臓部の電動ユニットの大手企業を抱えます。日本ではヤマハとパナソニックの電動ユニットが支配的ですが、欧州では独シュトゥットガルトのBoschが盤石の地位を築きます。
Boschのユニットを使うブランドはBianchi、Cannondale、Centurion、Corratec、Cube、Focus、Fuji、GHOST、KOGA、KTM、Lapierre、Mondraker、Orbea、Raleigh、TERN、SCOTT、TREKなどの人気名門自転車ブランドです。
2017年からこの欧州の電動ユニットのマーケットリーダーが日本市場へ進出します。ヤマハ、パナソニックはママチャリ系電アシで強みを持ちますが、スポーツバイク系のE-Bikeではぜんぜん出遅れます。
2017モデルのYAMAHA YPJや2018モデルのPanasonic XM1が国内本格E-Bikeのはじめの第一歩です。よちよち歩きです。
この二社は電動ユニット屋兼完成車メーカーですが、Boschは電動ユニット専門です。BoschブランドのE-Bikeてのはありません。あくまで電動ユニットの供給元です。欧米人のおはこの分業体制です。
そのほかのメーカー
国内二強のヤマハとパナは諸外国で電動ユニットを売り出しますが、Boschの後塵を拝して、そのほかブランドの地位にとどまります。げに先頭とトップ集団との差が大です。
GIANTの2019モデルの最新ユニット”SyncDrive”はby YAMAHAです。
国内ではユニットを販売しないシマノが欧州向けにSTEPSて電動ユニットを先行投入します。逆輸入の形で2018年2月にミヤタ自転車からシマノのSTEPS搭載の電動クロスバイクが出ます。
これは欧州仕様のSCOTT E-SPARKです。ユニットはSTEPSです。もちろん、国内の公道走行は不可です。ぼくはサイクルモード大阪で試乗しました
ペダルをちょろっとこぐと、ギュギュギュイン!て30kmまで一気に加速します。『一気に』てのがポイントです。日本版みたいにアシストがデクレッシェンドしません。ミニ・モトクロスだ!
Boschの電動ユニット搭載機の国内初号機はTERN VEKTRONになります。
見た目のロボロボしさがスマッシュヒットを確約します。折り畳み機構とバッテリーとユニットが絶妙にマッチして、やぼたく見えません。
おなじくサイクルモードで試乗しました。が、欧州版のパワーの前では日本仕様のアシストは完全にかすみます。規制緩和しろ!
BESVは自社製と他社製を使い分けます。ちなみにBESVの大本は台湾のディスプレーの大手のBENQです。
クランク型、ホイール型、電動ユニットの種類
電動ユニットの種類はセンターユニットと前後ホイールユニットに分かれます。センター=クランク一体型、ホイール=ハブ一体型です。
ホイールに後付するアタッチメント型の電動ユニットもあります。この分野は少数生産か試作品です。
すこし前までハブ型、クランク型の比率は半々でした。最近のE-Bikeはほぼセンター・クランク型ユニットになります。
ハブ型ユニットにすると、ホイールの交換やメンテをほぼ封印されます。ついでに足回りが重くなりますし、前後の重心バランスが悪くなります。どっちかが極端に重くなっちゃいます。
クランク型はこの欠点を解消します。BOCSHはもちろんですが、最近のシマノはホローテック2タイプのセンター電動ユニットを販売します。クランク型が主流です。
ところでセンターxハブのハイブリッド型てのはぼくの調べでは見当たりません。速度と出力が限定されますから、ダブルエンジンのパワーはむだになっちゃいます。
2018-2019現在の電動アシストユニットのメーカーです。
Bosch:ゲルマン電動工具大手
Yamaha:磐田のモーター屋
Panasonic:門真の電池屋
Shimano:サカイの釣具屋
Fazua:軽量型ユニット
Bafang:中華格安ユニット
BS:タイヤ屋
Xiaomi:スマホ屋
一般人が目にするところです。ちなみに互換性はなさげです。
アワイチの行きの船に乗り合わせたツーリンググループのバイクはことごとくYAMAHAの電アシでした。クロスタイプ、小径タイプ、ドロハンタイプでした。こんなのも珍しい光景です。
国内E-bike 2019モデル
2018シーズンは日本のE-bikeの夜明け、2019シーズンは普及への第一歩です。上記の各社がぞくぞくと新型モデルを投入します。
YAMAHAのYPHシリーズは6モデルまで増えました。
- YPJ XC=クロカンハードテイル
- YPJ-ER=Eロード第二世代
- YPJ-EC=フラットバーロード
- YPJ-TC=ツーリング系
- YPJ-R=Eロード第一世代
- YPJ-C=クロスバイクタイプ
です。ヤマハのEbikeはオートバイ引退のおじさん世代にそこそこヒットします。自転車乗り的にはアナログのチャリの部分がびみょうでs。
パナソニックのXMシリーズは3モデルです。
- XM1=第一世代E-MTB
- XM2=第二世代E-MTB
- XU=アーバン(チャリ通)タイプ
MTBタイプの後継機がはやばや登場します。売りは内装2段で2×10=20s!です。うーん、そうじゃない。
- リアのクイックリリースの135mmエンドをスルーアクスルに
- ハードテイルをフルサスに
- シートポストをドロッパーに
MTBer的にはここらが必須の改善ポイントでしょう。すなわち、バイク部分の仕様が10年前のふるくさいものです。現代のオフローディがおっとならない。
ミヤタ自転車は2モデルです。
- Cruise=クロスバイク
- Ridge Runner=ハードテイル
Rigde Runnnerは前後BOOSTのイマドキのハードテイルです。そして、ミヤタ=メリダ=Specializedです。E-MTBの最有力候補です。
GIANTが2019モデルのE-Bikeを発表しました。ESCAPE RX-E+です。クロスバイクの人気シリーズESCAPEの国内Ebikeバージョンです。
- ESCAPE RX-E+
モータがヤマハ、バッテリーがパナです。おじさんホイホイの一台でしょう。クロスバイクモデルですが、ディスクブレーキで、スルーアクスルで、イマドキです。
全国のGIANTストアやしまなみ海道に配置されれば、いちばん人気のレンタルバイクにおどりでましょう。
高級独自路線のBESVはルックスで群を抜きます。しかし、カーボンフレームのBESV TSRの50万はちょっと非現実的です。
あと、国内E-MTBはことごとくハードテイルです。そうじゃない~。フルサスをください。てか、NZ仕様のモンスターと私有地をぼくにください。
このねがいが天に通じたか、2018年11月のサイクルモードインターナショナルでついに各社のフルサスバイクの試作品がおひろめされました。グッジョブ!
ゲレンデコース持ちの冨士見パノラマやウィングヒルズ白鳥が海外の本気モデルをレンタル用に仕入れてくれれば、ライダーが規制に泣かずに済みますね。
国内のEbikeの夜明けはそこに迫ります。このおもしろさはニュースポーツor刺激的なアクティビティとして完全に成立します。