折れた! 曲がった! ディレイラーハンガーの直し方と選び方 


自転車の外装変速機は『ディレイラー』て呼ばれます。アルファベットは”derailleur”です。フランス語系のコトバです。

 

この語源は『脱線』や『脱輪』です。de=否定や反対の接頭辞、rail=レール、eur=するもの、する人の接尾辞、derailleur=脱線機、脱輪機≒変速機てなります。

 

“derailleur”のつづりがなかなかのむずかしさです。フランス人め! で、英語圏ではこれがシンプルに”mech”になります、フロントメカ、リアメカ。

 

 

Derailleur Hanger

 

で、このリアメカもといリアディレイラーの取り付け金具がディレイラーハンガーです。これはメカハンガーとは呼ばれません。略称はハンガーです。一部ではテールフックです。

 

ハンガー表

ハンガー表

 

フロントディレイラーの取り付け金具はこのように称されません。ハンガー、ディレイラーハンガー、テールフック=リアディレイラーの取り付け金具です。

 

ママチャリ11速化

ママチャリ11速化

 

ハンガーはフレームの付属品

 

最近のスポーツバイクのディレイラーハンガーは別個のアタッチメント式の1ピースのパーツです。そして、基本的に専用品で、フレームの付属品です。

 

ミニベロのハンガー。

 

リアエンド

リアエンド

 

ロードのハンガー。

 

リアディレイラーのハンガー裏

リアディレイラーのハンガー裏

 

MTBのハンガー。

 

フレームエンド

フレームエンド

 

フレームのエンド部分の形状は車体ごとに異なりますから、ディレイラーハンガーの形状も同様に変化します。ねじの数、大きさ、位置、ばらばらです。

 

一応、共通規格や汎用タイプはありますけど、基本的にハンガーはフレームの付属品で専用品です。

 

フレームエンドのおまもり

 

大昔にはこのハンガー部分はフレームの一部でした。この場合、そこが破損すると、フレームが終了します。しかも、ハンガーの強度は車体の中では最悪です。

 

で、耐久性の観点から現在の取り外し式のアタッチメントタイプのハンガーが主流になりました。部位の貧弱さはしっかり受け継がれます。

 

むしろ、これがトカゲのしっぽ切りのようにたやすく折れて、ねじれて、ひんまがって、フレームへのダメージを最小限にとどめます。

 

つまり、ディレイラーハンガーはメカの取り付け金具兼フレームエンドのおまもりです。そして、折れるときにはいさぎよくバキ!って折れます。

 

折れたデイレイラーハンガー

折れたデイレイラーハンガー

 

修理は不可

 

こうゆうアルミのスモールパーツは修復には不向きです。ためしに溶接工のともだちに頼んだら、三行半で「アルミ、むり、むずい」て断られました。

 

もちろん、このハンガーは専用品です。旋盤でインゴットを削ってハンガーを自作できる職人肌の人は少数派です。販売元、代理店、メーカーへの問い合わせが一般人の解決策です。

 

費用2000円~、納期2週間~てのが調達の目安です。レアなモデル、古いモデルのディレイラーハンガーの再入手はさらにめんどくさくなります。

 

その変速不調はハンガーの変形?

 

こんなふうに「折れた! 砕けた! もげた!」は珍しいことではありません。が、より日常的に多発するのがディレイラーハンガーのまがりやゆがみです。

 

そして、これは完全破断のように表面化せず、こそこそと水面下で自転車の機能を低下させます。

 

曲がったディレイラーハンガー

曲がったディレイラーハンガー

 

赤い線がトップギアの縦軸です。みごとにプーリーとケージが内側へずれます。チェーンは2速にありますが、シフターは1速です。そして、テンションプーリーは3速です。

 

ディレイラーは指定の変速領域でしか動きません。で、もともとの取り付け位置=ハンガー=座標がずれると、その上のメカのインデックスもおなじ間隔でずれます。

 

で、このメカをぱちぱちてローギアへシフトダウンすると、最終的に11速の歯を越えて、ホイールとスプロケのあいだに落ちちゃいます。

 

さいわいにこの不具合はクイック取付式の簡易型ハンガーのずれでした。金具の変形はありません。

 

駐輪場という名の魔窟

 

ちなみにこの曲がりの原因はスーパーの駐輪場での転倒です。そんな日常のささいな出来事でハンガーはたやすくダメージを受けます。

 

そして、わりにこの駐輪場てエリアはトラブルの巣窟です。不意の雨風みたいな天災やとなりのママチャリダーの荒っぽい出し入れみたいな人災がひよわなハンガーに襲い掛かります。

 

ディープママチャリでお買い物

ディープママチャリでお買い物

 

日本のチャリは左側通行です。KEEP LEFTの意識は走行中から停車時まで付きまといます。実際、ぼくは意識しなければ、左寄せで止めます。キックスタンドは左側にある。

 

で、必然的に無防備な右側=ドライブ側への転倒やダメージが多くなります。結果、ディレイラーハンガーはほぼ内側に変形して、左寄りになります。

 

反対にハンガーが右寄りに変形するケースは超レアです。この部位に内から外へのピンポイントの力はほとんど掛かりません。

 

オフロードでチェーンやメカを木や岩にひっかける、そんなもんでしょう。

 

ハンガーの直し方

 

ディレイラーハンガーの破損や変形の99%はノーマルタイプの物理攻撃です。カーボンリムのような熱変形、ゴムグリップのような加水分解ではありません。

 

で、まがったハンガー、ゆがんだケージの直し方は変形の逆の手順となります。シンプルにぐいぐいやります。おくゆかしい言葉を使えば、「矯める」て表現できます。

 

専用工具はこんなです、ディレイラーハンガー調整ツール!

 

 

メカを外して、これをハンガーに取り付けて、変形を測定し、ゆがみやまがりを直します。目視や直観より正確な数値が出ます。

 

が、結局、矯めは手作業になります。そして、商品説明のただし書きに「誤差が大きい場合、交換式のディレーラーハンガーであれば交換して下さい」て一文があります。

 

とどのつまり、交換がベターです。この工具は業務用か完璧主義者用でしょう。おなじ費用で予備のハンガーを買えますし。

 

あと、矯める前にあらためてエンドの各部をよくチェックしましょう。ディレイラーハンガー、メカのケージ、フレームのエンド、いずれもトラブルの常習犯、変形破損の御三家です。

 

まがる、まがるよ、ハンガーはまがる

 

こんな替え歌が思いつくほどにディレイラーハンガーはいともたやすくまがります。事例をさらっと列挙しましょう。

 

  • 落車で曲がる
  • 転倒で曲がる
  • 整備中の1ミスで曲がる
  • 壁ドンで曲がる
  • 立てかけ中に自重で曲がる
  • となりのチャリの重みで曲がる
  • 輪行袋の内圧で曲がる
  • 車のゆれで曲がる
  • 船のゆれで曲がる
  • 固定のひもで曲がる
  • 養生のテープで曲がる

 

はい、これはもう宿命です。ペダルは回すもの、ハンガーは曲がるものです。虚弱体質もやしっ子ぷりが逆にほほえましく思えます。

 

緊急時にはエマージェンシーハンガー

 

予備ハンガー待ち、型番不明、専用品の終売、ライド中の応急処置、そんな場面にはエマージェンシーハンガーがべんりです。

 

1000円ちょっとで買えて、クイックリリース式のフレームにはおおむね使えます。強度や精度は純正品に劣りましょうが、その純正品がぽんこつだからな~。

 

 

しかし、なんでこうゆう小物が統一規格じゃないか? チャリ界のふしぎのひとつです。

 

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