ドイツブランドのキーワードは質実剛健です。アパレルファッションはリモワ、ビルケンシュトック、ジルサンダー、ヒューゴボス、アディダスです。ちゃらちゃらしない。
自転車もこの例にもれません。FELT、FOCUS、CANYON、Corratecです。CANYONの快進撃はイケイケに見えて、バイク作りは非常に堅実です。クレバーではありますが、革新的ではありません。
やはり、ロードレーサーのイノベーションはアメリカ系、ブランドとステータスはイタリア系です。この両国のブランドがけん引役です。
ドイツの立ち位置は第三極的です。ポジション的には絶好の位置取りです。2トップのすきをつけば、CANYONみたいにばっと行けます。非常に手堅い戦略です。
そんなクレバーなドイツブランドに機体の新手が加わりました。CUBEです。ヨーロッパではすでに相応の知名度を持ちますが、日本国内ではほぼ知られません。
このニューカマーをさらっと特集します。
家具屋の倉庫から世界へ
CUBEのブランドヒストリーはユニークです。若きMarcus Pürnerは実家の家具屋の倉庫の一角でアジア製のスポーツバイクの輸入販売をはじめました。
おそらくCUBEの名称はこの倉庫の形に由来します。居酒屋のつぼ八的なやつです。箱形のちいさな建物が目に浮かぶびます、きっと。
同社は後発の自転車販売業者らしく通販に積極的です。世界最大手のWiggle=CRCには通期でCUBEの在庫があります。まちがいなく急成長の原動力のひとつです。
塩野自転車が2016年から取り扱い
で、海外通販ではCUBEはもう常連ですが、国内ではほやほやの新米です。代理店がころころ変わるor取り扱いを辞める。
が、2016年から堺市の塩野自転車株式会社が新しい代理店になって、メディアや展示会や試乗会でCUBEの名前がちらほら出始めます。
特段のキャッチコピーはありません。『ドイツデザイン、アジアンメイド、良コスパバイクが日本再デビュー』です。多少のつめのあまさはします。CANYONに見劣りする。
プロコンチームはWanty-Groupe Gobert
CUBEの機材供給先はWanty-Groupe Gobertです。ここはベルギー籍のプロコンチームですが、ツールドフランス2017に出場しました。
2018の参加券もすでに決定です。でかいレースのどこかのステージで優勝しようなら、知名度は爆発的にアップしましょう。
潜在能力はCANYONやFOCUSに匹敵します。ドイツブランドは外しません。
ジャンルはオールマイティ
Cubeのラインナップは後発ドイツブランドらしく全般です。ロード、MTB、キッズバイク、Ebikeまで幅広い車種があります。総合自転車ブランドです。
ロードバイクのデータです。
- チーム:Wanty Groupe Gobert
- スタンダードモデル: Lightning
- エアロモデル: N/A
- エンデュランスモデル: AGREE
- TTモデル: AERIUM
- 通販:○
チームはスタンダードモデルのLightningで戦います。最上位グレードはC:68です。売れ筋はセカンドグレードのC:62や手ごろなディスクロードのATTAINです。
made in Asia,design by Germany
このご時世に自転車製造をいちから始めるところはまれです。しにせ、名門、大手ブランドさえが外注化をいといません。自社工場がわりに合わない。
結果、ほとんどの自転車企業が設計、組み立て、デザイン専門にシフトします。製造から販売まで一貫できるのはGIANTくらいです。
そもそもCUBEの原点が個人輸入の販売代理店です。創業者はフレームビルダーやパーツ開発者やエンジニアじゃありません。
ためにCUBEの自転車はドイツデザイン、アジアンメイドになります。ドイツの自転車ブランドはほぼこの黄金パターンです。
むりに自前でやると、完全にコスト負けします。品質5%アップ、価格200%アップでは売り上げが壊滅します。そんな自社製にビジネス的な意味はありません。