駆け出しのYouTberはまず1000人の登録者の獲得を目指します。10人や100人ではありません。1000人が第一の関門です。
が、正味1000人のリアルタイムな収益はゼロです。
2018年2月20日の規約変更で動画の収益化の条件がチャンネル登録者1000人以上になりました。1000人未満のチャンネルは基本的にボランティアです。
勿論、完全な趣味、人生の思い出、暇つぶしと割り切るなら、このような俗っぽい事情を無視できます。
世には清貧や嫌儲という考え方もありますし。私は切り離せませんが。
『趣味や得意分野で実益を得て、それで人生をより良くアップデートする』
一般人の平均的な皮算用はこんなところでしょう。YouTubeはそのためのツールです。
で、収益化の実績解除が『チャンネル登録者1000人』になります。晴れて登録者が1000人に達すると、YouTubeからお祝いメールが届きます。
ちなみに”BANANAS”は英語圏では驚嘆や熱狂のスラングです。初心者はこれを夢見て、猿のように動画投稿を頑張ります。
収益化チャンネルは全体の10%未満
一昔前まで動画投稿は特別なことでした。
初期のYouTubeには日本語版が存在せず、アップ主や生主は奇異の目で見られ、スマホの機能は貧弱で、編集ソフトは高価でした。
今や小学生がスマホ一つで撮影から編集までささっとこなして、ゲーム感覚で気軽に動画を投稿します。
それはもう特別な人間の奇抜な行為ではありません。
このように技術の神秘、サービスの普及、利用者の意識の変化でYouTubeの参加者の母数は爆発的に増えます。
でも、成功者の比率は大きく変化しません。
一般論で参加者は利用者の十分の一、中級者は初級者の十分の一、上級者は中級者の十分の一となります。
さきほどのバナナを獲得できる脱初心者は十人に一人です。
月収年収丸わかり! Sociale Blade
あるWebサービスを使うと、YouTuberの収益を算出できます。それがSocial Bladeです。
これはYouTube、Facebook、Twitter等々のアカウントのパワーを総合的に可視化できるサービスです。
YouTubeの収益予想には定番のソフトですね。詳しい解説はこちらです。→Social Bladeの使い方 拡張機能でYouTuberの年収から未来予知まで出来る神ツール
試しにメニューからYouTubeを選んで、私のチャンネル名をフォームに入力してみましょう。
そのチャンネルの基本データから成長変動、挙句の果てに月収や年収が一瞬で暴露されます。
上記のデータを少し解説しましょう。この13000人弱のチャンネルの世界順位は831666位、COUNTRY RANK=国内順位は13754位です。
私の上に13753のチャンネルがあります。
AUTOS RANKはジャンル内順位です。これはチャンネルのカテゴリ設定に寄ります。”AUTOS”は乗り物ですね。このジャンルではB4Cは14784位です。
さて、注目はESTIMATED MONTHLY EARNINGS=予想月別収益、 ESTIMATED YEARLY EARNINGS=予想年別収益です。
ESTIMATED=予想の文字の通りにこれはSocial Bladeのあてずっぽうです。実際、予想の範囲は$90-$1.4Kで、意外とバラバラです。この予想収益には信憑性がありません。
しかしながら、この予想収益額を少し弄ると、誤差をほとんど失くせます。計算式はシンプルです。
予想最大収益/2
YouTubeの広告単価は一定ではありません。時期や需要で上下する。決算月の12月、3月は高騰し、直後の1月、4月は激減します。
さらに為替や手数料でYouTubeからYouTuberへの入金額は微妙に変化します。
YouTubeの収益は基本的にUSDベースです。データ上のぴったりの額は銀行口座には振り込まれません。
ゆえに正確な収益の精査は不可能ですが、90%の予想は十二分に可能です。個人的な所感はこのSocial Bladeの数値を否定しません。
このような回りくどい表現するのは規約のためです。YouTube=Googleはチャンネルやサイトの収益データの公開をユーザーに許可しません。
分析ソフトの権限は当人のみの個人利用に限られます。ユーザーは最初の規約でそれに同意するから、無料でYouTubeやGoogleのデータを利用できます。
しかし、その数値がYouTubeやGoogleの限定データでなくなれば、外部への公開や提示は可能になります。
YouTuberやブロガーの給料日は毎月21-22日です。この日にGoogleから前月の収益が振り込まれます。通帳には『ク”ーク”ル)ト”』と記入されます。
この振込額はすでにGoogleの分析ソフト上のデータではありません。この公開は可能です。
ただ、YouTubeの収益もGoogleの収益も一括で『ク”ーク”ル)ト”』から振り込まれます。個別の正確な収益額は分かりません。
このような理由からYoutuberやブロガーは今月のリアルタイムな収益をうかつに語れません。で、以下のような比喩や隠語をよく使います。
「諭吉さん五人分」
「うまい棒十本」
「おやつ代」
「大卒初任給」
「五桁」
これも冒頭の”THIS IS BANANAS”のような一種のスラングです。アメリカ人は”UMAI-BO”と聞いても理解できませんしね。
様々なデータを可視化してくれるSocial Bladeは非常に便利なサービスです。特に同ジャンルのライバルや上位者の分析研究には最高のツールです。
収益のポイントは総再生時間
YouTubeのチャンネル登録者数は重要な指標です。収益化、ストーリー、ライブ配信等々の実績解除にはこれが大きく関わります。
登録者が10000人に達すれば、必要な機能はほぼ解放されます。
最近、30000人以上の貴族の特権だったメンバーシップの条件が一気に緩和されて、10000人以上の庶民に次々解放されました。
また企業案件や仕事依頼の報酬は主にチャンネル登録者数から決まります。登録者数の1~3倍が相場です。
登録者=収益ではない
こんなふうにチャンネル登録者数は様々な指標となりますが、それ自体は広告収入を生み出しません。
YouTubeの標準広告は個々の動画に付きます。それが視聴やクリックで消費されると、売り上げがYouTubeにチャリンチャリンと転がり込み、その一部がYouTuberにチャリンチャリンと降り注ぎます。→YouTubeの収益はいくら? YouTuberは儲かるか?
10分以上の長い動画にはミッドロール広告を追加して、広告消費の機会を増やせます。ユーザビリティに配慮しないと視聴者のヘイトを買ってしまいますが。→YouTubeの動画の長さの決め方 長い動画が儲かるのは本当
要するに100万人の登録者がいても、動画の再生数がなければ、収益は発生しません。平日の郊外の大型家電量販店のようなものです。
Vtuberのたそがれ
最近の顕著なチャンネルがVtuber系全般です。2018年頃に爆発的に流行して、多数の登録者を掻き集めましたが、その後の一年で強烈な反動に見舞われます。
その証拠にVtuberトップのキズナアイは200万オーバーの登録者を抱えますが、最近のアップロードは全く伸びません。
まあ、運営の不手際やスキャンダラスな事件はありますが。
それから、業者やツールを利用すれば、チャンネル登録者を買えてしまいます。無論、このようなエンゲージメントの操作はポリシーに違反します。
結局、YouTubeで収益を上げようとするなら、コンスタントな動画投稿に努めなければなりません。
チャンネル運営は店舗経営と同じです。店頭に品物を出さずに何で儲けを増やせます?
1000人時点の広告収益はゼロ
さて、YouTubeのチャンネル登録数1000人は初心者の関門ですが、全体的には一個の通過点に過ぎません。
登録者数はリアルタイムで推移します。1000人の時間はそう長く続かない。
基本的に登録者の減少はイレギュラーな事象です。 配信者がコンスタントに動画を投稿すれば、急激なファン離れはまず起こりません。
また現在のYouTubeの環境でヒット動画がぽんと出れば、登録者1000人はほぼ確約されます。
実際にうちのチャンネルはこのパターンで二か月目に一気に成長しました。
この部分が上半期のピークです。ヒット要因はリーチの瞬間沸騰です。たまたま一本の動画がYouTubeのおすすめに出ました。
パチンコの確変一回のようなものですね。
収益化の審査期間は約十日
で、上図のグラフのピークが2月4日で、冒頭のBANANASのメールが2月8日、2月13日に収益化審査の合否通知が来ました。
“Congratulations — you’ve been approved to join the YouTube Partner Program!”
ここからようやく広告の分け前が配信者の懐に入ります。
でも、確変は数日で終わりますから、ピーク付近の膨大な再生数は収益になりません。
このように1000人達成→BANANASメール→パートナーシップ承認の間には数日のラグがあります。
で、広告収益は遡り適応されません。結果的に正味1000人時点の儲けはゼロになります。
確変パターンはこればかりではありません。
- 有名配信者に取り上げられる
- SNSでバズる
- TVや雑誌で特集
やはり、数日中の1000人越えが確定します。で、パートナーシップの合格通知はピークの後でやってきます。審査の平均日数は一週間ですから。
1人10円
最後に非常に下世話な公式を紹介しましょう。上記のような確変やイレギュラーなラッキーがなければ、1人のチャンネル登録者は約10円になります。
つまり、1000人のチャンネルの月収は10000円です。1万人の月収は100000円です。前提は『コンスタントな動画投稿』です。
この構図を見れば、YouTubeの収益化の条件を何となく理解できます。
Googleの広告収入の振込の最低金額が8000円からです。登録者1000人未満のチャンネルではこの金額の到達が怪しくなります。
仮にYouTubeの収益化の条件が緩くなっても、毎月の売り上げが4000円や5000円であれば、当月中の支払いは不可です。収入は来月再来月に繰り越されます。
YouTubeもGoogleも企業ですから、だらだらした運営者にはリソースを掛けられません。
1000人の壁は「月8000円くらい稼いでくれ!」という切実な叫びにすら見えます。