ミニベロはフランス語です。”Mini velo”とつづります。ミニヴェロやんけ! 意味は『ちっこい自転車』です。こういうやつです。
これはげんみつには折り畳み自転車です。別名はフォールディングバイクです。でっかい折り畳みは存在しますが、メインはちいさなホイールの車体です。
これらの総称が小径車です。でも、ごろと耳覚えがよろしくありません。ミニベロのが語感的には優秀です。
てごわい小径車
ホームセンターやドン・キホーテ、アマゾン、楽天などをふらふらすれば、たくさんの小径車と出会えます。ママチャリのつぎに身近なチャリです。
そして、そのコンパクトさとかわいさから日本の街乗りでは最強の座にくんりんします。せまいスペースにすって止められる。
しかしながら、このちっこいバイクはザ・まものです。ブランド系のミニベロや折り畳みはなおさらです。
ミニベロや折り畳みは趣味や日常のバイクです。ホビーとライフが主眼です。スポーツやレースが目的ではありません。
ロードバイクやMTBは究極的には競技用機材、レーシングマシン、勝利のための道具です。指標があります。
反対に趣味のものには明確な指標がありません。ために設計者や創業者のアイデアや発想が色濃く出ます。
これは日本発のセミリカンベント小径車タルタルーガです。
前傾姿勢ならぬ後傾姿勢の乗車スタイルです。チョッパー風のハンドル、ながいフォークコラム、背中のサポーターが独特です。ポジションはハーレーみたいです、ははは。
こっちはフルカーボン折り畳み小径ロードのCaracle Cozです。
ブロンプトン、アレックスモールトン、ダホン、バイクフライデー、タイレル、バーディー、ストライダなどなどにはアイデンティティがあふれます。
これらのブランドの創業者はおおむね設計者です。チャリンコ好きをこじらせて、デザインから製造までやって、すんごいクールなミニベロを作りました! てのが典型パターンです。
そんなわけで個性と多様性がきわだちます。
うーん、トランスフォーマーの影響はゼロではない。変形メカ、合体ロボ、健全なる男子の永遠のロマンスです。
そんないとしき小径車はあるあるの宝庫です。
ミニベロと折り畳みがごっちゃに
先述のように小さいホイールの自転車のフォーマルな総称は『小径車』です。自転車系雑誌や当のユーザーはミニベロや折り畳みの総称にこれを用います。
でも、世間一般ピーポーの目にはミニベロと折り畳みの区別がつきません。『ミニベロ』か『折り畳み』でひとくくりにします。『小径車』て単語はでてこない。
これはどちらでしょう?
折り畳み自転車ですね。フォールディングバイクって呼び名の方がスポーティなTERNのブランドイメージに合います。
これはぼくのかつての愛車のペガサス号です。
うしろのサスペンション機構がいくばくかの折り畳み感をかもしますが、これは非折り畳みのミニベロです。
でも、ベース車両のもとのフロントフォークとハンドルは折り畳みでした。これは折り畳みベースのミニベロ化です。
て、乗り手はこんなふうにきちんと区別します。で、折り畳みをミニベロ、ミニベロを折り畳みてゆわれると、若干の胸のざわめきを覚えずにいられません。
もっとも、ロードバイクは競輪にまちがわれるとか、オートバイとおもわれるとかの誤認被害を全国的に受けつづけます。国内ではバイク=オートバイです。
軽く・・・ない
ミニベロや小径車はコンパクトです。そのルックスから軽量にみられます。しかし、その実態はそこそこの重量車両です。
フレームのかさはふつうのスポーツ自転車とどっこいです。そして、カーボンモデルがレアだ。アルミフレームが主流です。
Caracle Cozなどは例外です。
また、折り畳み自転車をカーボンで作っても、変形機構に足をひっぱられて、劇的には軽量化できません。価格だけがたかくなる。
てか、実用車系のアルミフレームさえがイメージより重量級ではありません。ママチャリフレームの重量です。
ママチャリフレーム
実用車をおもくするのはかご、スタンド、どろよけ、キャリア、チェーンカバーなどです。素のフレームはこんなものです。
独自の軽い折り畳み機構をもりこむと、むやみに価格をはねあげてしまいます。
やすい折り畳みの代名詞ハマーの完成車は15kgのヘビー級です。フレームやホイールの素材、おおまかな質量は左端の小径ホイールのママチャリとイーブンパーです。
折り畳みハンドルがまた重量級です。これをふつうのカーボンフォークにいれかえれば、一気に-1kgのダイエットをみこめます。
安く・・・ない
軽量なクロスバイクのおもさは10kg前後です。で、価格の目安は5万です。入門初心者号で10kgを実現できます。
一方のミニベロや折り畳みの10kgはすでに高級・スポーティなモデルです。5万のダホンルートが12.2kgです。同じグレードでクロスバイクの+1-2kgになってしまう。
128000円のVisc Evoが10.9kgです。おつぎは最上位モデルのMu SLXです。198000円、8.6kgです。
ミニベロはGIANT IDIOM 1は9.7kg、72500円です。
タイヤとホイールでかるさをかせぎます。でも、やっぱり、フレームのかさはうしろのクロスバイクとどっこいです。
で、小径車の軽量パーツの流通がクロスやロードより少数です。手間と費用が売買になります。重量当たりのコスパがよろしくありません。
折り畳みを折り畳まない
折り畳み自転車の折り畳み機構はおもに輪行のためのものです。車に積む、電車に載せる、それが目的です。
せまいスペースに収納するてのは本来的には二の次です。室内に一定の収納スペースを確保してしまうと、ほぼ折り畳みません。で、ミニベロ化がはかどります。
おなじ価格帯の折り畳み < ミニベロです。車載や輪行をしないなら、ミニベロをおすすめします。
金銭感覚がガバガバに
小径車は趣味の自転車です。自己満足がジャスティスだ。レースや競技には規定や限度がありますけど、趣味や道楽には際限がありません。そして、人間の欲望は無限の底なし沼です。
スタンダードなもの、初期の純正品、パッケージの一部はそんなですが、ちょっと良いやつ、ちょっとかっこいいやつ、ちょっと軽いやつはとたんにばばーんと跳ね上がります。
で、レースをしませんから、カリカリにシビアなセッティングを必要としません。
多少のイレギュラーに目をつぶって、ファッション感覚、着せ替え人形、カスタムのためのカスタムでいろんなものをおごってしまいます。
このリアホイールの写真になかには
- KMC DLCチェーン
- e*thirteen TRS+カセット
- ShimanoのYUMEYAケーブル
- チタンシャフトのクイックリリース
てマニアックなパーツ類がそろいます。タイヤも標準的な小径車用でなく、BMXレース用ですね。こんなふうな現物合わせと体重測定が大好物です。
客観的にチェーンをキッチンばかりにのっけて一喜一憂するのはやばい傾向です。
アダプターのヘビーユーザー
ミニベロや折り畳みはイレギュラーな規格の宝庫です。スポーツバイクの標準規格がたびたび門前払いをくらいます。
大物の代表はホイールです。
- 14インチ=ルノーライトなど
- 16インチ=ブロンプトン
- 17インチ=アレックスモールトン
- 18インチ=バーディー
- 20インチ小=スタンダード
- 20インチ大=スピードタイプ
- 24インチ=小径車の上限
たくさんです。
小物の代表はシートポストです。ロードやMTBの27.2mm、30.9mm、31.6mmとかはだいたい入りません。シムがたのみのつなです。
ダホン系は30.0mmですか。
シムを用意できないなら、アルミシートをかませます。ジュースやビールのアルミ缶のあつみがざっと0.1mmです。
ハンドルポジションチェンジャーは広義にはアダプターです。
折り畳みやミニベロのサイズ展開は多くてSMLです。Mの1モデル展開もめずらしくない。推奨身長150-190cm!とかはふつうです。
アダプターやワッシャをぜんぜん使わずにカスタマイズやポジショニングをするのはむりゲーです。
ハンドルが超クイック
ミニベロや折り畳みの特徴のさいたるものが小回りの良さです。せまいところでくるくる回れる。
で、その延長でふつうの自転車からミニベロにのりかえてまっさきに感じるのがハンドルのクイックさです。
フロントをカーボンフォーク、カーボンハンドル、軽量ホイール、ロードタイヤにすると、このクイックさを最大限にアップデートできます。ハンドルが小さな力でくいくい動く。フォークのトレイルの影響もありますが。
このために手放し運転、片手運転の直進が難です。ほんとにちょっとのことでタイヤが右へ左へそれる。高速域や坂道はすこし不安です。
逆に小径車の超クイックさになれて、ふつうのバイクに乗り換えると、ハンドルのもっさりさにおどろきます。