スポーツのなにがしかのモーションは左右対称のうごきと左右非対称のうごきのよせあつめです。ベースボールのピッチング、球けりのキックは非対称、ランニングや水泳は対称です。
で、スポーツバイク、自転車のペダリングは左右対称のうごきです。右と左の1セットが1ローテションです。『ギコギコギコギコ』は左右x2=2サイクルですね。
パンピーはアシンメトリック
左右対称のペダリングにパワーのかたよりはNGです。左足50:右足50が理想的です。しかし、乗り手の人体は機械みたいに完全な均衡をとれません。
足のながさ、筋肉量、器用さ、やわらかさ、モーションのくせ、いずれがぜんぜんちがいます。無意識に50:50の対象パワーを出せる人はすでに運動神経バツグンさんです。
ぼくは二十歳過ぎから球けりをはじめて、ランニング、自転車てきます。筋力やモーションの取得は感覚的ではありません、論理的です。
こどもは感覚的にたのしみながらやってもめきめき上達しますが、おとなは論理的にやらないとぜんぜん上達しません。で、気力と体力がさきにつきてしまう。おもんな。
で、球蹴りのキックのモーションは完全に左右対称になりました。両利きです。むしろ、左足の得点率のが上です。でも、利き足は右です。ふしぎ。
自転車のペダリングのモーションはキック動作やピッチング動作よりシンプルで単純でかんたんです。左右の均等化、左右対象化はそんなにむずかしいものではありません。
が、時間と根気はそこそこかかります。モーションの改善はトレーニングてよりリハビリテーションになりますから。
レッツ・シンメトリック!
利き足チェック
左右対称のてはじめは利きのチェックです。どっちの手で投げて、どっちの足で蹴るか。ジャンプの踏切り足は? 腕組みの右手は上に来るか下に来るか、あぐらで上にくる膝は? ・・・参考です。
自転車のペダリングはトルクとバランスです。立ち足、軸足の利きがすごく参考になります。ピストルスクワットがおすすめです。
この片足スクワットは体幹とバランスと筋力のハーモニーです。立ち足のかかとは地面にぺったんです。素足ですいすいできる人はそうとうな使い手です。靴履きのがやりやすいです。
で、これを左右の足で5-10回ひょいひょいできれば、及第点をもらえます。しやすい方の足が立ち足の利き足です。
- 右でしかできない、左でしかできない→バランス不足、足の長さがちがう
- ぜんぜんできない→筋力不足、運動音痴
- 両方できる→GOOD!!
です。はたまた、スケボーやスノボーでどっちの足を前にするか? 右足前、左足後ろのレギュラースタンスか、左足前、右足後ろのグーフィースタンスか?
はたまた、こけそうなときにとっさにどっちの足を前に出してふんばるか? 右? 左?
自転車のたちこぎ、ダンシングは片足立ちの連続のようなものです。利き軸足側のパワーがだいたい強く出ます。軸足をよく使うサッカーや幅跳び運動経験者はなおさらです。筋肉もアキレスもつおい。
サッカー漫画の金字塔、『シュート!』の主人公のトシは右利きのシュータータイプのストライカーですが、久保の助言で強烈な『幻の左』を開花させます。
で、軸足のバランスは下半身から上半身までの総合的な結果です。身体のくせだ。尻、腰、背中、首のゆがみさえがあやしくなります。
矯正の経験はないか?
ぼくの立ち足の利きは左で、つま先がやや外に開き、ひざ関節がでっぱります。で、それと連動してか、腰と肩が左にすこし手前にねじれ、頭が左にかたむきます。このボディは左寄り基調です。
わざわざこんなあたりまえのことを確認しなければならないのは日本文化の右利き至上主義のためです。
左利きは矯正の対象です。俗称の『ぎっちょ』は放送業界では自主規制用語です。JISのフロント右前ブレーキの源泉もこんなところでしょう。
そなわけで日本には後天的右利きのナチュラルレフティーがすくなくない。年配の人はなおさらです。ぼくの知りあいは投球やキックは左、おはしとえんぴつは右、はさみは左てめちゃめちゃぶりです。
左右差是正のトレーニング
自転車のペダリングの左右差是正の伝統的な処方箋は片足ペダリングです。どっちかの足をペダルから離して、一方の足のみでチャリをこぎます。
手軽にこれをやるなら、のきさきのママチャリのペダルを外して、スタンドを立てて、片方のみで強制的にぎこぎこします。
モーションが大きくなると、こまかいうごきのあらはかすみます。だめな部分がわからない。ごまかしが効く。
でも、こんなふうに片足しか使えないと、意識を細部に集中できます。へんなところが一気に表面化します。
- 足の置き方がへん
- ひざのうごきがへん
- もものはりがへん
こういうことがきめこまかくわかります。で、モーションはちいさなうごきの連続です。ひざのうごきは機械の歯車のようなものです。
これらのちいさなうごきの精度があがると、おおきなうごき=ペダリングの精度があがります。そして、気づきます、『片足ペダリングは左右の1セットの両足ペダリングとはすこし異なる』て。
結局、片足ペダリングは完成モーションを部分的な抽出にすぎません。連続動作と部分動作はそもそも別物です。が、この認識はむだにならない。
逆にこんな小手先の片足ぺダリングごときで長年のモーションのくせや筋肉量がすぱって治れば、フィッティングや整体はこんなにはやりません。
アシンメトリックは身体にしみついたしつこい油汚れのようなものです。くせ。くせを治すのは至難です。左あごでかむくせ、左目で見るくせが治らない~。
逆足シュート、逆腕ピッチング
球蹴りのキックや野球のピッチングはふくざつでおおきな動作です。小手先のピッチングはまんま『手投げ』てやゆされます。超人的フィジカルを持つ室伏は手投げで130kmを出せますが、ははは。
ダルビッシュや松坂は利き腕の逆の左手でキャッチボールを上手にします。試合では当然のように利き腕しか使いません。身体のくせがそっちにかたよります。たまの左投げはそのリハビリになります。
球蹴りでは逆足を利き足のように使えると、プレーの幅をすごくひろげられます。ぼくの最近のフットサルのあそびの得点4発はことごとく左足です。でも、利き足は右です。
これはべつにふしぎじゃありません。軸足、立ち足、踏み切りの利きが左ですと、とっさのときには左がさきに出ます。
おまけに日本の自転車のりは左降り、左乗りです。KEEP LEFTだ。左接地の機会がめったやたらです。
で、ダルビッシュや松坂にならって、しろうとが左投げや左蹴りを練習すると、動作のぎこちなさにがくぜんとします。局部的なうごきしかできない! あげくに手投げ、トゥーキックです。
手投げ、トゥーキックを改善するにはモーション全体を見直さなければなりません。
強烈なシュートのひざ下の振りはもも、しり、背中のしなりと上半身のひねりのたまものです。で、もともとの動作のとっかかりの始点は手の振りですね。
はんたいにピッチングの腕の振りの始点は足の引き付けです。利き腕ではこのトリガーモーションが自然と発動しますが、逆腕では出ません。身体がそれを覚えてない。
逆腕ピッチング練習1000本、逆足シュート練習1000本をやれば、逆側のモーションのコツをなんとなくつかめます。
逆足けんけん
自転車でてっとりばやく苦手モーションの練習をできるのは右側からのけんけん乗りです。左側からのけんけん乗りはかんたんですが、右側からのけんけん乗りはぎこちなくなります。
このぎこちなさの原因はバランスのかたよりです。十中八九、車体の左側へのかたむけが足りません。左わきが開かない。初心者は左けんけん乗りの重心で右けんけん乗りをしようとしますから。
河原か広場で右けんけん乗りを1000回ほどしましょう。車体のかたむけ方と左足のステップが身に付きます。片足ペダリングよりぜんぜん効果的です。
自転車なしのふつうのノーマルけんけんも効果的です。けんけん、連続脚跳びはわりにたいへんです。100回でふらふらします。定期的にやると、バランスと筋肉をめっきり鍛えられます。
自転車の逆足のペダリングのモーションはこれらよりぜんぜんシンプルで部分的です。踏み込みのトリーガーはもも、背中あたりの筋肉です。立ちこぎでは若干の上半身のひねりが加わります。