任天堂のゲーム機のNintendo Switchのコントローラーの正式名称がJoy-Con、ジョイコンです。標準がこちらで、旧来の十字キー付きのプロコンは別売りのオプションです。

この標準搭載のジョイコンは販売当初から以下の持病を抱えます。
ジョイコンが勝手に動く
販売以来、スイッチのジョイコンは左スティックの不具合に悩まされます。
最も多い案件は「キャラや画面が勝手に動く」問題です。ほかの不具合がかすむほどの頻発です。
実際、この「キャラや画面が勝手に動く」のQ&Aはお問い合わせの『特に見られているご質問』の上位の常連です。
キャラが勝手に動く原因
キャラや画面が勝手に動く症状はジョイコンだけの特異な症状ではありません。アナログスティック付きコントローラーの共通的な問題です。
アナログスティックの感度は物理ボタンや十字キーより繊細で神経質です。少しの力でスティックが傾いて、入力状態になります。
おかげで格闘ゲームのコマンド、サッカーゲームのドリブルやパス方向決定のような操作はアナログスティックにはやや不向きです。斜め入力がシビアだ。
さらにアナログスティックの根元の隙間にゴミや汚れが溜まって、動きが悪くなると、操作がニュートラルに戻らず、入力が解放されません。
結果、アナログスティックに対応するキャラや画面やカーソルが微妙な入力状態を維持し続けて、『勝手に動く』状態に陥ります。
まさにうちのゲームキューブのコントローラーの左スティックもこの症状です。まあ、後述のY字ドライバーで分解して掃除すれば、たぶん直せますが。

壊れるのはなぜか左
ジョイコンの不具合の報告は左のコントローラーに集中しますが、これは上述のアナログスティックの仕様に合致します。
2つのジョイコンを台座や本体に取り付けて、ゲームをプレーしましょう。大半のタイトルで左が移動、右がボタンです。
これはファミコン時代からの伝統です。左スティックは旧来の十字キーです。
おかげでスティックの使用頻度が左右で大幅に変わります。体感的には左8、右2でしょうか。右スティックを重点的に使うゲームタイトルはそう多くありません。
スイッチ以前の任天堂のゲーム機には十字キーがありますから、左スティックの一点集中主義は今ほどではありません。DSやWiiで『勝手に動く』のクレームは少数派です。
ちなみに後発機のSwitch Liteには十字キーがあります。
そして、ジョイコンの左右の入れ替えは不可能です。スイッチの基本カラーはアシンメトリックのブルーレッドです。
結果、文句を言われるのは左の青いジョイコンになります。
現に知り合いに「壊れたジョイコンはないか?」と聞くと、「あるよ」と冒頭の青いのをくれました。
公式の対処療法とジョイコンの修理代金
まず、ジョイコンの不具合の対処療法を任天堂公式ページより引用します。
- 本体のシステムのアプデ&ジョイコンのソフトをアプデ
- ジョイコンを本体から外して、シンクロボタンを短く押す
- スティック補正、ジャイロセンサー補正、ジョイコン再登録

これらをやって改善できないなら、任天堂やショップに修理に出すか、自分でリペアします。
ちなみに公式の修理代金は税込み2200円です。ただし、10日から2週間前後の待ち時間が発生しますし、保証期間を過ぎたものの送料はお客様負担になります。
ジョイコン修理に必要な工具と部品
ジョイコンが全世界で壊れまくったおかげでジョイコン修理の手法が全世界で確立しました。
コスト0円、分解なし、1分以内などのハック的なDIYもありますが、今回の方法は割とフォーマルな修理方法です。そのための手順と工具を紹介します。
とくに次項のY字ドライバーは任天堂のゲーム機の分解には必須の工具です。

Y字ドライバー
ゲーム機の本体、カセット、コントーローラーは精密機器です。分解修理はメーカーの非推奨であり、動作保証外のNG行為になります。
予防策は特殊ネジです。

はい、Y字ヘッドのネジです。日常生活ではなかなかレアなネジですが、任天堂修理生活ではおなじみのものです。
任天堂のゲームのガワにはこれと星型ネジがほぼ確実に出てきます。これはゲームボーイカセットのネジです。

この二種のネジ用のドライバーはかなりの特殊工具です。ダイソーや100円ショップにはありません。
さらにほぼ公式工具のエンジニアのDTC-20とDTC-27はまあまあ高価です。頻繁に修理しないと、元を取れません。
手持ちの任天堂機体をニつ三つ自分で弄るくらいの用途には通販のセット品がお得です。~1000円くらいであります。

厳密にはこの2.5mm用はジョイコンのY字ネジのジャストサイズではありません。しかし、コンマ数ミリは精密ネジの世界では誤差の範囲です。
というか、公式の公称値が不明ですから、ジャストサイズのドライバーも不明です。そもそも分解や改造はゲーム業界では昔からタブーです。
結果的にぼくはこの2.5mmのY字ドライバーでジョイコンとゲームボーイアドバンスとゲームキューブのコントローラーのネジを外して戻せました。

Y字ドライバーの役目はここまでです。あとはおなじみのプラスドライバーやピンセットの仕事です。
ガワをバラして、バッテリーを外す
ネジを外すと、ジョイコンのガワをぱかっと開けます。つなぎ目をヘラや爪でこじると、開けやすくなります。

ジョイコンはワイヤレスで稼働します。そのためのリチウムイオン電池です。蓋の裏側の鉛筆書きの「6」みたいな文字が気になる・・・
何本かペラペラのケーブルが見えます。これはフレキケーブルです。繊細なケーブルです。
バッテリーに直結するのは細い丸ケーブルです。フレキケーブルはこの下の基盤に繋がります。
バッテリーの固定は両面テープです。ケーブルに気を配りながら、ぺりっと剥がします。

新たな4つのネジが現れました。加えてバッテリーの影のちょうど+印の下にもう1個のネジがあります。
精密ドライバー
バッテリーの台座を固定するネジは5つのネジの3つだけです。金色のやつです。

銀色の2つは基盤のネジです。
このネジはおなじみの十字型のプラスネジです。大きさはかなり小さめ、溝は浅めです。しかし、このサイズの精密ネジはふつうに100均ショップにあります。
ぼくは手持ちの細いドライバーとカッターで回しました。

アナログスティックを外す
“7CEa”の銀色の部分がアナログスティックの裏側です。これの固定もさっきと同じ金色のプラスネジです。

1つは露出しますが、もう1つはフレキケーブルの影に隠れます。ということで、フレキケーブルを基板から外しましょう。
注意点はロックの解除方向です。上のロックのツメは右から左で解除、下のは左から右で解除です。ケーブルの抜き方向はともに右から左です。

ご想像の通りにフレキケーブルもロックのツメも非常に繊細です。おまけに表面がつるつる滑る。
指先を軽く押し当ててぴっと引きずり出すのが簡単です。
で、さっきの金色ネジを外せば、アナログスティックを基板から切り離せます。

フォーマルな修理ではこのアナログスティックを新品に交換します。そんな部品があるか? はい、なぜかふつうに流通します。
無論、純正品ではありません。中華の無印良品です。まあ、純正のバッテリーもMade in Chinaですから。
アナログスティックを新調したら、分解と逆の手順でジョイコンを組み立てます。ちなみに組み立ての方がハードです。
- フレキが嵌らない
- ネジが穴に乗らない
初心者はこれで手間取ります。

まあ、フレキケーブルを断線するとか、ねじ山を舐めるとかしなければ、じっくりやり直せます。はんだごてでゲームボーイカセットの電池を付け直すより簡単です。
アナログスティックの不具合は?
ところで、このアナログスティックには目ぼしい不具合が見当たりません。表面の汚れは並みです。手垢とか謎の汁の跡とかはない。

が、このスティックの裏のパッキンの下の部分が表から見えません。ここに汚れが溜まると、感度がおかしくなるかも?
あと、手前の銀色のツメを外せば、さらにバラせそうに見えますが、そこまでの分解清掃レポートが見つかりません。
ジョイコンの分解修理のまとめ
ジョイコンの不具合と分解修理のまとめです。
- キャラや画面が勝手に動く=アナログスティック不調が最多発案件
- 左の青いジョイコンが良く壊れる
- 原因は恐らく十字キーの撤廃
- 修理代は税込み2200円
- 必要な工具はY字ドライバー、プラスドライバー
- 部品は新品のアナログスティック 500円/1個くらい
- ※分解は保証外! 自己責任で!※





