初めに申し上げましょう。YouTubeのチャンネル登録者数並びに再生数や評価を買うのは規約違反です。これはエンゲージメントの不正操作に当たります。
さらに相互登録の”SUB4SUB”もポリシー違反です。これは”Subscribe for Subscribe”の略で、日本語では『登録のための登録』となります。
それはスパムです
「あなたのチャンネルを登録しますから私のチャンネルを登録してください!」
このようなお願いメッセージはあちこちに散見します。無知な初心者は軽い気持ちでコピペして使い回してしまう。
が、これは「赤信号を無視しましょう。みんなで渡れば怖くない!」と同意です。万死には値しませんが、お巡りさんには怒られます。
何でこのSUB4SUBが禁止でしょう? 何で善意の助け合いがそんなに咎められる? Googleは何様のつもりだ? こんな仕打ちは弱い者いじめじゃないか?!
Googleアカウントの増産は簡単
Googleの仕様を考えましょう。Googleでは簡単に複数のアカウントを作成できます。
10個か20個の空アカウントを作って、お互いにチャンネル登録しまくれば、あっという間に登録者数を稼げます。
現にYouTubeの登録数や再生数の販売業者は大量の空アカを作って、
『登録者1000人1万円!』や『1万再生1000円です。キャンペーンで3000回をおまけします!』
などと通販グッズみたいに売ります。
このようなエンゲージメント業者から登録者数や再生数を買えば、表面上の数値をこそ増やせますが、熱心なファンを獲得できません。
何故ならその中身は空虚なアカウントだから。
結果、そんなチャンネルは多数の幽霊部員を抱える一人ぼっちの孤独なサークルのようになります。
その1000人はリピーターや信者にはなりえない。何故なら空垢だから。
しかも、YouTubeは定期的に未使用アカウントや不正アカウントを削除します。表面上の数値さえが永遠ではない。
登録者数はチャンネルの信用度
登録者数はそのチャンネルの端的なパワーを表します。特に企業案件の金額はこの数値から割り出されます。チャンネル登録者数x1~5倍が相場です。
つまり、登録者数の売買で表面上の数値を操作するのは粉飾決算のようなものです。究極的には信用の歪曲だ。
これが罷り通れば、YouTubeというサービスが崩壊します。
それゆえに再生、コメント、評価、登録などのエンゲージメントはナチュラルなものでなければなりません。この思想はWebサイトのバックリンクに通じます。
YouTubeは決して無知な初心者の善意を憎みません。悪質な業者やスパムを憎みます・・・さて、あなたはまだSUB4SUBをしますか?
YouTube広告で登録者を買うのはOK
上述のように見返りを約束して再生数、評価、登録者などのエンゲージメントを操作する行為は規約違反です。
業者からの幽霊部員の購入やSUB4SUBは黒に近いグレーです。
例外的にGoogle広告でのプロモーション活動はポリシーには違反しません。Googleにお金を払って、YouTubeでの露出を増やすのはポリシー違反ではありません。
こちらはうちのチャンネルのYouTube用の広告です。単価は1円、予算は300円です。この金額では日本の動画の枠を買えませんが、ベトナムやインドネシアの枠を買えます。
これはエンゲージメントの不正操作ではないか? いや、これは別腹です。Googleはこれを推奨して、初心者には7500円分のクーポンを配ります。
オフホワイトなプレゼント企画
2019年12月10日にこのような一文がYouTubeの利用規約に明示されました。
本来のユーザー エンゲージメントの測定結果を歪めること、またはそのように仕向けること。たとえば、ユーザーに金銭を支払ったりインセンティブを与えたりして、動画の視聴回数、高評価数、低評価数を増やす、チャンネル登録者を増やす、またはその他なんらかの方法で指標を操作することなどが含まれます。
YouTube 利用規約より https://www.youtube.com/t/terms?preview=20191210#main
インセンティブ=報酬です。これは金銭とは限りません。ゲーム機、アマゾンギフト券などはこのインセンティブに含まれます。
2019年12月10日にこの文章が利用規約に加わって、不案内なチャンネル運営者がおたおたしました。
しかし、このポリシー自体は以前からありまして、それがこのアップデートで明文化されました。
つまり、プレゼント企画は以前から完全なホワイトではありません。白に近いグレーです。
先日YouTuberにデビューした有名人の言葉を借りれば、『オフホワイト』と申せましょうか。
規約はグラデーション
規約違反は白黒の二択ではありません。グラデーションです。法律用語的には『酌量の余地』があります。
お巡りさんは信号無視を見かけても、滅多に切符を切りません。
著作権違反、ヘイトスピーチ、差別動画、アダルト、暴力動画等々はYouTube的には完全に黒です。
でも、これらのチャンネルはしぶとく生き延び、ゾンビのように復活します。
はたまた完全に白い内容の動画がAIの機嫌で子供向け判定を受けたり、コンテンツIDの標的になったりします。
さらにまた何かの切っ掛けで濃いグレーがピュアホワイトになります。最近では任天堂が自前の配信を諦めて、ゲーム実況をYouTuberに開放しました。
その逆もしかりです。2020年から順次に子供向け動画のパーソナライズドが全面的に禁止になります。
と、このように物事は流動的なグラデーションです。そして、同じオフホワイトの中にもグラデーションがあります。
プレゼント企画の濃淡
さて、インセンティブでエンゲージメントを操作するのは規約違反です。
動画の再生、評価、チャンネル登録をプレゼント応募の必須条件とするのは好ましい手法ではありません。
「チャンネル登録者の中から抽選者を選びます」
この応募方式では必然的に抽選者=登録者ですから、エンゲージメントが必須となります。
しかもチャンネル登録者は高位のエンゲージメントです。グレーの度合いが濃くなります。
「今回のプレゼントはこちらです。専用ページから応募してください。また見てね!」
この方式では登録は必須ではありません。この文面にエンゲージメントの強制がありますか? ありませんね。
文末の呼びかけは希望であって、強制ではない。
そもそもYouTubeの仕様ではチャンネル運営者は全部の登録者を個別に確認できません。
管理画面からチェックできるのは過去28日の登録チャンネルを公開中のユーザーだけです。
『登録者から抽選します』方式では応募者を完全に把握できません。チャンネル未開設の利用者を確認できないから。結果、抽選が公正でなくなります。
視聴者は不公平やえこひいきを嫌い、八百長や出来レースを激しく糾弾します。駆け出しYouTuberはこの点を過小に軽視します。
プレゼント企画をするなら、応募方式と抽選方法には細心の注意を払いましょう。
具体的な対策はこうです。
- 応募条件をYouTubeのエンゲージメントと切り離す
- 応募ページを別のプラットフォームに用意する
- YouTubeを告知にのみ使う
プレゼント企画をブログやTwitterのネタとして、専用のメールやフォームで応募を募り、それをYouTubeでプロモーションする・・・
つまり、この動画は別媒体の企画の補完でしかないという体で利用規約をロンダリングします。
無論、こんなことはオフィシャルな戦法ではありません。YouTuber界の暗黙知のようなものです。気休め?
とにかく私はこの方式で何度かプレゼント企画をして、ペナルティや注意勧告を受けません。
広告やプレゼント企画のコスパ
プレゼント企画の魅力は即効性です。初期の無名のチャンネルは全く伸びません。数時間の労作は10に届きません。登録者は一日に数人しか増えません。
2018年2月にYouTubeの収益化は厳しくなりました。登録者1000人未満のチャンネルには広告が付きません。
一日に五人の登録者があっても、200日間はボランティアです。
チャンネル登録は利用者には高コストなアクションです。その比率は評価の10分の1、再生数の100分の1だ。目安は10万再生、1000再生/1dayで100日です。
実際問題、この100日の毎日投稿はチャンネル運営の基礎となります。
チートでショートカットしても、その先のゾーンで苦労します。配信者のレベルが追い付かない。
しかし、0人から1000人までの道のりはたしかに茨の道です。大多数がそこで挫折してしまいます。個人的には最初の1000人を金で買うのはありですね。
登録者1人を何円の広告で買えるか?
ピュアホワイトな方式はGoogle広告です。予算をどしどし掛けて、単価をばんばん上げれば、リーチを一気に増やせます。見積りは30-100万ですね。
前段のサンプルの1円広告は日本国内ではほぼ消化されません。単価が低すぎるし、ライバルが多すぎる。
うちのジャンルでは2円がそこそこ、3円がベターです。おおまかに書きましょう。
100再生=登録者1人、3円x100再生=300円
300円x1000人=300000円
100再生=1人は希望的観測です。実際の登録率はこれより下振れます。3倍の100万を上限としましょう。ホワイトな正攻法は非常に割高です。
以下の画像はうちのチャンネルのYouTube向けの広告データです。
広告の種類はTruViewディスカバリー、上限単価は3円、期間中の総費用は36997円、広告視聴後の登録者は341人です。
1人のコストは107円となります。無論、設定の最適化は必須です。
プレゼント企画の1人当たりの費用
プレゼント企画のやり方や詳細なデータはこちらの記事にあります。→YouTubeのプレゼント企画のやり方 規約に違反しない方法や抽選の注意点
プレゼント内容は自転車関連商品です。ゲーム機やアマゾンギフト券ではありません。価格は1万円から20万円です。
最高額は年末スペシャルの完成車一台ですね。
金額の大きさが幸いして、このシリーズはバズりました。応募が殺到し、登録者が急増します。発表日のデータがあからさまに青天井です。
最終的な数値は1000人強でしょうか。発表日から抽選日までのチャンネル登録者数は非常に好評でした。
単純計算でこのプレゼント企画の登録者の獲得コストは200円/1人になります。
しかし、再生数などのエンゲージメントやTwitterのフォローがありますから、総合的な費用対効果はもっと上がります。
しかも、この企画の応募条件は割とハードです。
住所、名前、電話番号の入力は必須ですし、チャンネル登録やフォローは強制ではありません。おまけにプレゼント内容がジャンル特化型です。
プレゼント企画の効果を最大化するなら
プレゼント企画のエンゲージメントを最大限に伸ばすにはこの方式は非効率的です。条件が厳格で、対象が限定的だ。
仮に20万円の予算でエンゲージメントの最大化のみを狙うなら、このようなスタイルにします。
- プレゼント内容:アマゾンギフト券メールタイプ5万円x4名
- 応募条件:チャンネル登録とコメント、Twitterのフォローとリツイート
- 抽選方法:登録者の中から
- 期間:二週間
条件を緩くして、対象を広げ、エンゲージメントを強制します。
リスクは少し上がりますし、モラルはややルーズになりますが、1人=100円が現実に近づきます。
YouTubeの登録者を買うということ
ホワイトな正攻法はGoogle広告のみです。業者からのエンゲージメントの購入や相互登録のSUB4SUBはダークグレーな行為です。
プレゼント企画の規約違反容疑は完全には晴れませんが、現場の現状ではYouTubeの対応は比較的におだやかです。
広告やプレゼント企画には即効性があります。でも、その対価はチャンネル運営者の本当の実力ではありません。
ソーシャルゲームの課金武器のようなものです。
初心者が課金でショートカットしても、そのさきのエリアで早晩に行き詰ります。ナチュラルに登録者を集められるようにレベルアップしましょう。