Social BladeのESTIMATED EARNINGS÷2
これは何の式でしょう? 答えは『YouTuberの実際の収益を暴く公式』です。
Webアカウントの戦闘力スカウターの異名を持つSocial Bladeを使えば、あの人気配信者の月収や急上昇チャンネルの未来の姿を簡単に予測できます。
YouTubeの収益の公開は規約違反?
YouTuberの収益は秘密のデータです。一般的な配信者はそれを無闇に明かしません。
日本人はお金の話題には慎重です。他人の嫉妬は嫌なものです。税務署は怖いものです。
大っぴらに口にこそ出しませんが、世間は画面の中の愉快な人の儲けに興味津々です。
チャンネル運営者はしばしば「こんなに儲けたぜ!」という自慢の衝動に駆られます。
しかし、リアルタイムの収益データの開示はYouTubeの利用規約に引っ掛かります。ブログやサイトのAdsense収入も同じです。
YouTubeの収益は翌月に振り込まれます。
YouTubeはGoogleのサービスですから、振込元は一括でこの『ク”ーク”ル(ト”』になります。この日がYouTuberの給料日です。ちなみにアマゾンは29日です。
オフホワイトな収益公開
さて、これは規約違反でしょうか? いいえ、単なる銀行口座の情報の公開です・・・と、YouTubeの収益の開示にはこのようのロンダリングが必要です。
まあ、GoogleやYouTubeのアナリティクスの収益画面のキャプチャーは巷にはざらざら蔓延しますが。
アナリティクスのリアルタイムのデータは未確定のものです。あのページでは正確な金額は出ません。しかも内部データだ。その開示は厳密にはポリシー違反です。
でも、YouTubeもGoogleも世界中のユーザーの細かいイレギュラーにはいちいちリソースを避けません。タレコミか悪質な違反にしか積極的に対応しない。
一般的なブロガーやYouTuberはこの事情を加味して、収益の話には消極的です。
「儲かりました!」とアピールするのは主に情報商材屋さんやビジネス啓発屋さんですね。
一般的な配信者は稼ぎの話題に触れても、直接的な金額の明言を避けて、以下のような比喩を用います。
「うまい棒30本」
「ランチ代」
「諭吉さん」
「高校生のバイト」
「五桁」
ちなみに1うまい棒=10yen=0.1USD=0.75人民元です。※2020年2月の為替相場にて
YouTube戦闘力のスカウター Social Blade
このYouTubeチャンネルの収益という禁断のデータをさらっと暴くWebサービスこそがSocial Bladeです。
このサービスの本来の機能はYouTubeやSNSのアカウントのパワーの調査です。ドラゴンボールのスカウターのように対象の戦闘力を総合的に可視化します。
しかし、予想収益のインパクトがあまりに絶大で、他のツールの魅力がかすみます。あと、初心者には機能が多すぎる。そして、解説文が英語だ。
この面白いサービスの正攻法な使い方と邪道な用法を以下で解説します。
Social Bladeの使い方
Social BladeはWebサービスです。一応アプリ版はありますが、android版の最終更新日が2017/1106です。
基本的に分析・解析ツールは大量のデータを一画面に吐きます。スマホのディスプレーには重荷です。パソコン版でWeb版を利用しましょう。おすすめブラウザはChromeです。
トップページのULRはhttps://socialblade.com/ です。
デフォルトでは対象はYouTubeです。右上のメニューにロゴが見えますね。その他の調査対象は以下の通りです。
- Twitch
- Mixer
- DLive
と、主要なSNSと動画配信サイトが並びます。文章は英語です。現時点で日本語版はありません。”Social Blade Japan”の検索結果にはSocial Bladeの日本のランキングのページが出ます。
ここではYouTubeの調査にフォーカスして、便利な使い方を説明します。
Social Bladeの使い方 基本編
Social Bladeのトップページを開いたら、右上のメニューの対象サービスを確認して、真ん中のフォームにYouTubeのチャンネルURLかアカウント名を入力します。
うちのメインチャンネルで試してみましょう。
https://www.youtube.com/channel/UCxou-FLxiHbsL6C1FfXdZTAが正規のチャンネルURLです。青文字の部分が正規のユーザー名です。
これを入力して、虫メガネをクリックします。
チャンネルの基本的なステータスと最近の動向がずらっと出ます。そして、二つの赤い折れ線グラフの間に注目の予想収益のデータが現れます。
画面の要素を一つずつ説明しましょう。ゴリラのアイコンからスタートします。すぐ横の”B4C”はチャンネルの愛称です。
これは上記の正規チャンネルユーザー名とは別物です。
“UPLOADS”から右の数値はチャンネルの概要です。これはYouTubeのチャンネル概要とほぼリアルタイムで同期します。
大きな『B-』はSocial Bladeの独自グレードです。”SOCIAL BLADE RANK”も独自ランキングです。
その他はこうなります。
- SUBSCRIBER RANK=登録者のランク(1000人以上?)
- VIDEO VIEWS RANK=総再生回数のランク
- COUNTRY RANK=国別のランク
- AUTOS RANK=カテゴリのランク(運営者の選択に寄る。この”AUTOS”は乗り物)
直近の登録者と再生数を調べる
ゴリラの下の段の黒帯のメニューは表示項目の入れ替えです。左端の”User Summary”をクリックしてみましょう。
直近二週間の動画の再生数とチャンネル登録者数のスタッツが出ます。チャンネルの勢いが一目瞭然です。
ただし、日別のカウントは完全に正確ではありません。恐らくデータ取得のタイミングで上下に変動します。
あと、チャンネル登録者数の項目は少し前まで1人単位でしたが、2019年後半のYouTube側の仕様の変更でざっくりになりました。
現在のYouTubeの仕様ではチャンネル登録者数は上三桁しか公開されません。それ以下の歯数は切り捨てられます。
こういうことです。
- 3048人→3040人
- 11055人→11000人
- 234922人→234000人
例外的に1000人未満のチャンネルは一人単位で公開されます。が、Social Bladeの調査対象は1000人以上のYouTubeチャンネルです。
Social Bladeのデータの大本はYouTubeのAPIのデータです。公開元が仕様を変更すれば、外部サービスもそれに準じます。
予想収益を調べる
で、この”User Summary”にも得意技の”ESTIMATED EARNINGS”が出てきます。esitimated=予想、earnings=収益。足して『予想収益』です。
この予想収益はドルベースです。そして、数値は”$3 – $55″のようにまあまあ大雑把です。YouTuberの失笑と安堵の声が聞こえます。
しかしながら、このでたらめな数値は簡単な計算でほぼ実数に近づきます。それが記事の冒頭のSocial Bladeの最大予想収益÷2です。
この式を頭に入れて、一つ前の基本ステータス画面に戻りましょう。
赤い折れ線グラフの間の緑字がこのチャンネルの予想月収と予想年収です。”ESTIMATED MONTHLY EARNINGS”=月収の方がサンプル向きです。これは直近30日の再生数から予測されます。
で、この予想月収の上限の1.5Kドルを2で割って110円を掛けましょう。このゴリラの直近30日のYouTubeの広告収入は82500円です。
これをベースとして、追加の係数を掛けると、より現実的な金額をはじき出せます。
- 8分以上の長い動画を主に配信するチャンネル=1.2-1.3倍
- 5分以下の短い動画を主に配信するチャンネル=0.7-0.8倍
8分以上の長い動画はミッドロール広告のおかげで高収益になります。反対に短い動画の広告はセミオートです。配信者が任意で広告を追加できません。収益は下がります。
私はYouTubeとGoogleの利用規約に準拠して、具体的な詳細には答えかねますが、この計算方法で大半のYouTuberの失笑を凍り付かせられると思います。
チャンネルの未来を予知する
“User Summary”が現在のチャンネルのパワーであれば、”Future Projectios”のは未来の姿です。
現在の勢いから数年先のチャンネル登録者数や総再生回数を予測します。このデータでは私のチャンネルのファンは二年後に140000人に達します。
経験上、この予想値はやや上振れます。グルーバルと国内では土壌が違います。そもそもこのジャンル(スポーツ自転車)の熱心な国内ユーザーは恐らく10万人もいません。
が、小規模チャンネルの活動初期から一、二年目の予想値はほぼ正確です。現に私の一年目の登録者数は概ねこの”Future Projectios”の通りに増えました。12ヶ月弱で1万人です。
どんなニッチなジャンルにも1万人のファンはいます。駆け出しYouTuberにはこのFuture Projectiosのスタッツは良い指標になりますよ。
“Subsucribers Milestone”と”Views Milestone”では登録者や再生数のキリ番までの予想日数が出ます。
その他のスタッツです。
- Detailed Statistics=詳細なチャンネル分析
- Featured Box=データなし。要調査
- SImilar Channels=近い登録者数のチャンネル一覧
- User Videos=最近の動画の一覧
- Live Subscriber Count=最新の登録者数(上記の仕様変更で価値半減)
- Achivements=進捗及び実績の一覧
Chromeの拡張機能でSocial Bladeプラグインを実装
YouTubeはGoogleのサービスです。動画の閲覧や解析には同社のWebブラウザのChromeがおすすめです。
素のChromeはシンプルなブラウザですが、拡張機能で驚異の万能ツールと化します。Chromeウェブストアに行くと、様々なプラグインやテーマを入手できます。
そう、ここにSocial Bladeのプラグインがあります。これをブラウザの拡張機能に追加してみましょう。ダウンロード先→ Social Bladeプラグイン
リンク先を開いて、『Chromeに追加』を押し、ポップアップのアラートをチェックして、『拡張機能を追加』をクリックします。
これでYouTube含むSNSや配信サイトにSocial Bladeのアクセス権限が許可されます。
Social Bladeの会員登録画面をしましょう。アカウント作成は定番のメール+パスワード入力→返信から本登録用のリンク先へジャンプ→入会のパターンです。
でも、登録なし・ログインなしでYouTubeの動画のスタッツを見れます。めんどうな人はスルーしましょう。
動画のタグが見える
プラグインがきちんとインストールされれば、YouTubeの動画ページにSocial Bladeのスタッツが出ます。
この部分は初期のレイアウトでは広告枠ですね。上部は例の収益予想等々で、下部のキーワード群はこの動画のタグです。
通常の閲覧画面ではこれは非表示ですが、拡張機能のおかげでこの隠し要素が丸見えです。
これで同ジャンルのライバルや近い人、有名配信者のタグ付けを簡単にチェックできます。ソースコードとの睨めっこはここに終了します。
更に別記事のValidIQのプラグインが加われば、Chromeがそのまま最強のYouTube解析ツールになります。
Social Bladeのまとめ
この恐ろしいツールの特徴をまとめましょう。
- YouTubeチャンネルの最近の勢いを可視化できる
- YouTuberの収益を推測できる
- 未来の姿まで予知できる
- プラグインでうざい広告を画面外に飛ばせる
- 人気動画のタグ付けをパクれる
単純に人気YouTuberや注目のチャンネルの予想収益や成長曲線を調べるのも楽しいものです。
Estimated Earningsの最大値を2で割って、わいわい楽しみましょう。