電車、バス、フェリー、飛行機などの公共交通機関に自転車を持ち込んで移動するのが輪行です。対義語は自走です。ちなみにぼくは自走派です。なぜなら強烈に乗り物酔いするから。
一般的な輪行のイメージは電車での輪行です。飛行機輪行はまんま『飛行機輪行』です。JALやANAでは追加料金は不要ですが、格安のLCCでは手荷物料金は別途です。
また、ほとんどの路線バスや高速バスは自転車や大型荷物の持ち込みを容認しません。バイクラック付きの車両は一部の地域でほそぼそと運行します。海外ではハワイのThe BUSは有名です。
反対にフェリーや定期船には自転車の乗り入れが可能です。これは和歌山の友が島への定期船の甲板上の一枚です。自転車持ち込みは別途800円なり~。
友が島は無人島です。加太港からの汽船が唯一の交通手段です。ほかには小豆島、淡路島、四国へのアクセスがフェリー輪行の好機ですね。
あと、自家用車での自転車の運搬は輪行ではありません。それは車載です。ハイエース系やワゴン系への車載はとくに『トランポ(トランスポーター)』とも呼ばれます。
ぼくは陸続きのところには基本的に自走で行きますが、行動範囲を広げるため、自転車動画のシリーズを増やすために輪行用の折り畳み自転車を組み立てて、ひさびさの電車輪行や飛行機輪行を計画します。
そんな折に電車輪行の花形の新幹線輪行に不穏な暗雲が漂い始めます。大型手荷物の予約制度です。
電車輪行の基本
JRが国鉄であったころ、電車輪行は競輪選手のみの特権でした。その後、JCA会員の有料サービスとなり、さらに一般向けの課金コンテンツとなって、1999年に完全無料・完全開放のフリーウェアになりました。現在、自転車の持ち込みに手荷物料金は掛かりません。
ぼくの直近の電車輪行はこのオープンフリーの草創期のものです。2000年代前半に何度か私鉄とJRにチャリを持ち込んで、京都や兵庫へ足を延ばしました。往時の愛車はドッペルギャンガーの折り畳みですね。
当時の輪行はわりとゆるゆるでした。自転車のタイヤをちょろっと出して、改札内で転がしてても、ぶうぶうがみがみ言われなかった。世知辛いこの時世ではこのような行為は炎上爆発四散です。現代人はSNSという道具を得て、おおらかさを失いました。
自転車輪行のルール JR編
鉄道業界標準のJRの輪行ルールを簡単に説明します。JR東日本の旅客営業規則の第2編 第10章の308条が手回り品の解説です。
旅客は、第309条に規定する以外の携帯できる物品であって、列車の状況により、運輸上支障を生ずるおそれがないと認められるときに限り、3辺の最大の和が、250センチメートル以内のもので、その重量が30キログラム以内のものを無料で車内に2個まで持ち込むことができる。ただし、長さ2メートルを超える物品は車内に持ち込むことができない。
JR東日本旅客営業規則 第2編 旅客営業 -第10章 手回り品より
2.旅客は、前項に規定する制限内であっても、自転車及びサーフボードについては、次の各号の1に該当する場合に限り、無料で車内に持ち込むことができる。
1.自転車にあっては、解体して専用の袋に収納したもの又は折りたたみ式自転車であって、折りたたんで専用の袋に収納したもの
2.サーフボードにあっては、専用の袋に収納したもの
縦横高さの三辺合計が250cm以内、重量が30kg以内のものの持ち込みは無料です。ロードバイクやMTB完成車一台は容積的にはきびしいところです。
ただし、自転車やサーフボードみたいなスポーツ用品や楽器類はこのルールには縛られず、一台/一枚を車両に持ち込めます。
袋必須
自転車含むスポーツ用品の駅構内及び車両への持ち込みの条件が専用の袋に収納したものです。理想は輪行袋や輪行ケースです。しかし、通常のシートやカバーも完全なアウトではありません。その辺のさじ加減は現場の状況や駅員の機嫌に寄ります。
これはどうだ?!
機材の露出は厳密にはNGです。つまり、ブロンプトンなどにあるコロコロミニローラー機構は改札のあちら側ではご法度となります。しかし、現実世界ではハンドルチラ見せやタイヤチラ見せのチラリズムがちょくちょくあります。
私鉄の手回り品の規定もJRのものと似たり寄ったりです。というか、文面もほぼ同じです。無料の手回り品は30kg以下の250cm以内、自転車とサーフボードは例外、専用の袋等々…
縦置きにできる楽器、スポーツグッズ、かばんもほぼ無制限です。実際に別途で手回り品の料金を取られる対象は盲導犬以外の小動物くらいです。
新幹線の大型手回り品持ち込みが大改正!
JRの花形路線は東海道新幹線です。北大阪住まいのぼくはJR新大阪駅に20分くらいでアクセスできますから、東京や名古屋への旅にはこれを良く使います。線路の脇のフットサルコートは我がホームです。
今回の手荷物大改正アップデートは東海道、山陽、九州新幹線に入ります。で、新大阪は東海道と山陽の中間地点です。影響はもろにあります。
東京遠征、名古屋行脚、富士詣で(MTBゲレンデ)などなどは東海道、しまなみ海道は山陽、阿蘇は九州です。大阪から有名サイクリングスポットへの新幹線輪行はこの規約変更と無縁ではいられません。
新ルールは2020年5月20日から適用
この特大大型手荷物の予約制度は2020年5月20日から順次に始まります。ところで、このルール変更はもともとオリンピックのためのセキュリティ強化の一環です。時期がそうですから。でも、肝心の東京五輪は夢のまた夢になってしまった・・・
が、今のところ、JRのルール変更は予定の通りに行使されます。延期や中止の案内はありません。まあ、コロナのおかげで移動者も旅行者もいないか・・・なんかはなしが切なくなってきた。
この特大荷物の定義は三辺合計160cm以上250m以下の荷物です。となると、159cmの荷物はどうなる? 飛行機のように係員がいちいち測るか? 非現実的です。多少のオーバーサイズはスルーでしょう。
予約なしで持ち込むと、別途1000円を徴収されます。海外ではこれが車掌の貴重な収入源となりましょう。さいわい日本人はまじめです。
指定席の最後尾が特大荷物スペースつき座席
この特大荷物スペースつき座席は一部の車両の最後尾の指定席に設けられます。座席数は東海道新幹線で以下の通りです。
のぞみ号 42席(グリーン車12席、普通車30席)
ひかり号 32席(グリーン車12席、普通車20席)
こだま号 22席(グリーン車12席、普通車10席)
こだま号 17席(グリーン車12席、普通車5席)
この改正まで車両の最後尾の裏の空きスペースは早い者勝ちでしたが、5月20日から最後尾の座席のお客の優先空間となります。つまり、ここを使うには席を予約しないと行けない。
自由席の最後尾の裏のスペースは座席に紐づきませんが、原則的には最後尾の座席の客のものです。そこに荷物をぎっちり置かれると、リクライニングを倒せないし。
自転車は特大荷物にあたらない=無料!
ところで、楽器やサーフボードや自転車はこの特大荷物にはあたりません。これらを予約なしで持ち込んでも、1000円を徴収されません。
じゃあ、厚かましい客が普通の特大荷物を「コントラバスです」とか「自転車です」とか言い張ったら? などと考えるぼくは天邪鬼かカルロス・ゴーンでしょうか。
最後尾スペースを確保できなければ、デッキや端っこや隅っこに縮こまって、ほかの乗客の迷惑にならないようにしましょう。混雑時には白い目で見られます。まあ、しばらく車内はガランガランですが。
数か月前まで世界各国の観光客でごった返したJR京都駅前や錦市場がこんなありさまです。
うーむ、しばらく電車には乗れんなあ。それから、東海道、山陽、九州以外の新幹線や電車にはこの特大荷物の予約制度は適用されません。ひとおもいに夏まで待って、青春18きっぷを買って、鈍行でぶらり旅に行くか~。折り畳みの組み立てがまだ終わらんけど。