一般ピーポーがスポーツバイクに乗ります。あこがれの100万のロードバイクに試乗するぞ、うおー! 凄いんでしょ?! 速いんでしょ?!!
が、淡い期待は悲しい現実に打ち砕かれます。
「サドル、かたすぎ・・・」
『慣れ』という宗教
ママチャリ、シティサイクルのスプリング付きふかふかサドルしか知らない常人にはスポーツバイクのサドルのかたさは衝撃的です。百年の恋が冷める。
現実問題、過半数のライトユーザーはこのサドルのかたさ、のりごこちの悪さに絶句して、サイクリストへの道をとざされます。チャリダーの最初の関門です。
しかも、たのもしき先人たちは「じきに慣れるよ」という昭和スポ根脳筋式の古代のおまじないしか唱えません。
そして、慣れる慣れるとのたまう人々が尻の痛みに悩まされて、サドルえらびの迷宮に迷い込みます。ケツのトラブルは自転車乗りの職業病です。
おまじないの実態は、
「じきに慣れる。(完全には克服できへんけどな!)」
です。
後半()部分が大人の事情で脱落します。
これを根本的に解決できる手段はリカンベントばかりです。
自転車の尻の痛みの種類
自転車の体勢は三点支持です。手、足、尻の3つの点で身体を支える。
正確には両手、両足、両尻の6点支持です。必然的にこの三か所の負担が大です。つぎが目、肩、首です。
で、サイクリングは長丁場のアウトドアです。一時間や二時間では支障が出ずとも、半日一日では疲労が蓄積して、不調が表面化します。
またずれ、けつずれ
自転車の主要なモーションはペダリングです。これはちいさな動きの繰り返しです。ゆったりペースで午後のポタリングの総ペダリング数を算出しましょう。
- ペダリング80回/1分x60分x6時間=28800回
10kmランニングはせいぜい10000歩、ウォーキングは15000歩です。平均的なサイクリングの反復回数はこの倍です。
反面、1回の動作の身体への負荷はマイルドです。同様の長丁場アウトドアのハイキングやトレイルランより強度は低です。
しかしながら、ひとつの部位だけは必要以上に負荷を受けます。臀部の皮膚、ヒップスキン、尻の皮です。
ズボンやショーツは汗でむれます。で、ケツにべたっとへばりつきます。で、サドルにおしつけられます。
ぬれ布巾で何時間、何万回と肌をこするようなものです。おはだのライフはゼロになります。
実際、ぼくは平均3か月でジーパンを履き潰します。丈夫なデニムの股がすぐにぼろぼろに摩耗します。
- 生地がヘタる
- 穴が開く
- サドルが引っ掛かる
- 半ケツ丸出し
1からの劣化がマジで深刻です。
ズボンがこうですから、皮膚も無傷で済みません。
おでき
擦り傷や雑菌がきっかけでポツポツ、ブツブツが良くできます。だいたい特定の場所にブツって、ポツってできます。キノコか。で、こいつがよく化膿しやがる。
できもの、はれものの痛みはピンポイントでダイレクトです。
で、そこに体重をかけまいとすると、ほかの部分をブラックにこくししてしまいます。半身ですわりこぎはむりげーです。
対策はケツ毛の全ぞりです。風通しがよくなって、大と汗がつきにくくなります。で、雑菌がへります。
すねをつるつるにした剃刀でケツをつるつるにしましょう。むだ毛はサイクリストの敵です。てか、眉毛と睫毛と頭毛以外は現代人には不要でしょうよ。
しびれ
しびれの原因は血行不良です。血液の循環が悪くなると、その部分がしびれます。典型例が正座です。あれは一種の拷問だ。
で、自転車ではしびれは臀部より陰部によく出ます。男子ではケツホールとゴールデンボールのあいだ、女子ではケツホールとフェミニーナ軟膏ゾーンのあいだです。この部分には血管が集中します。
血行不良はとくにめずらしい症状ではありません。対策は血をめぐらせることです。たちこぎ、たちのり、下車、ストレッチが特効薬です。
根本的な解決策はサドルや姿勢です。人生でぴったりのシューズやチェアに出会うのはかんたんではありませんが、ぴったりのサドルに出会うのはさらに難題です。
フィッティングサービスやレンタルがそこそこ普及しますが、所詮スポーツサドルは既製品のレディメイドです。100点のものは存在しません。
シューズやポジション込みで80-90点をめざすのが現実的です。サドル一点張りで90点以上を求めない。
この80点を85点にするのに『慣れ』という発想は分かります。頭ごなしに慣れ慣れと言うのはパワハラか宗教です。
手軽な対策は穴あきサドルですね。
痔
痔は広義にはケツのできものの全般です。しかし、この定義には切れ痔が入りません。二強の一角が! 定番はいぼ痔と切れ痔です。
痔の原因は血行不良です。てことは、しびれは痔への第一歩です。自転車乗りはこれを避けれません。