※2020年3月にドッペルギャンガーは自転車から完全に撤退して、オートバイグッズのレーベルになりました。以下の記事はそれ以前のものです。
DOPPELGANGER、ドッペルギャンガー、このキャッチーなブランド名を聞きかじるあなたはアクティブなアウトドア派でしょう。
この名前の由来はドイツ語のDoppelgängerです。読みは『ドッペルゲンガー』です。äはゲルマン語形の特殊母音、umlaut aです。『エ』に近くなります。
Doppelgängerは二重存在を意味します。古風な表現では生霊、分身です。
で、冒頭のウムラウトなしのDOPPELGANGER、ドッペルギャンガーは神秘主義の怪奇現象やサブカルのネタでなく、株式会社ビーズのレーベルです。
通販専門で急成長したドッペル
ビーズは東大阪の企業です。本業はアウトドアや雑貨の輸入卸販売業です。ドッペルはここのレーベルの一つです。
しかし、アウトドア屋やスポーツショップの店頭にドッペルギャンガーのロゴは見当たりません。
同社は通販専門の会社です。主戦場はヤフー、楽天、そして、アマゾンです。
自転車をネットで買うのはNGだ! は昔のはなし
「自転車をネットで買う」
この行為は一昔前までタブーでした。服、靴も鬼門とされました。が、いまやお坊さんから企業までえらいものがネットで販売されます。
現代人は実店舗に行きません。とくに専門店には気後れします。気軽に行けるところはスーパー、モール、ホームセンター、ドンキ、コンビニ、ユニクロです。
ネットショップ世代の希望はひたすらにじっくりゆっくり見ることです。金を払うときにしっかり自分の中で納得しないと、のちのち損な気分になります。
実際、しろうとの一見さんがここに一人で冷やかしに入れますか?
日本企画、中国製造
さて、イマドキの通販屋さんのビーズ株式会社の自転車部門のブランド名がドッペルギャンガーです。もちろん、自転車は中国製です。
この価格帯の工業製品がフランス製やイタリア製や日本製でありましょうか? ましてや、ハンドメイドでありましょうか? ファンタジーです。
そして、安易な『欧米製』や『日本製』も一筋縄じゃありません。製造の現場、工場は昔からどろくさいところです。
イタリア、ドイツではトルコ系、東欧系の移民や出稼ぎの人が多く働きます。日本では東南アジア系や南米系が貴重な労働力です。
見た目命
ドペギャンのバイクの特徴は見た目です。そのルックスはキャッチーでフォトジェニックです。ネット通販ではこれは命です。
代表作は折り畳み20インチのBlackmaxシリーズです。
ブラック地にオレンジの差し色がヒジョーに琴線をくすぐります。フレームの肉抜きもワンポイントです。
ジャンル的にはストリート系の系譜です。BMXライクな折り畳み自転車ですか。このルックスで3万以下です。通販商材の理想系です。
「なんかママチャやブリジストンじゃないオシャレなちょい乗りのチャリンコを欲しいな~」
10年前のぼくはまさにそれです。こいつを買いましたね。決め手はカラー、ビジュアル、そして、折り畳みてゆうオモシロギミックです。
ダホンやTERNと比較すれば、機能や性能や重量やブランドステイタスではははとなりますが、これを選ぶ人はダホンやTERNと比べません。
比較対象はママチャリ、軽快車、そして、ネット上のほかの通販系おしゃれ自転車です。オオトモ系の海外自動車ブランド勢がライバルです。
現実、世間的には十二分なおしゃれ自転車です。「ださいね」とはとくに言われません。「かっこいいね」とふつうに言われます。じゃあ、もう御の字です。
ドッペルの走りや性能
ドッペルギャンガーの走りや性能を気にするのは本末転倒です。ルック車の本質は見た目です。だれもはなから100kmを走破するのにこれを買いません。
スニーカー感覚で2、3年で使い捨てる、が正しい使い方です。『たまに折り畳んで、車や電車に載せて、遠出する』です。
女子にはこっちのカラーです。
ビジュアル一流、価格二流です。性能はザ・ふつうです。往復50kmまで余裕で行けます。
カスタム的な観点から見ても、各部のおもしろいキャラクター性にぐいぐい惹かれます。いじりがいがありますわ。
ドッペルは一介のブランドの枠を越えて、もうドッペルてジャンルです。