本格的なスポーツバイクは数十万円の高価なものです。クロスバイクは5万~、ロードやMTBは10万~です。サイクルロードや山に行けば、100万バイクをごろごろおがめます。
ホイール、メカ、クランク、サイコン、アクションカメラみたいな個々のパーツやアクセすらが数万円の高級品です。悪い人には文字通りの宝の山だ。
高級自転車を無造作に放置することは金銀財宝を道端に捨て置くに等しい行いです。行き場所が山奥や無人島や地方のどえらい田舎でなければ。
スポーツバイクのカギ事情
盗難対策のいちばんは施錠です。鍵をかける。一般的にはあたりまえのことですが、スポーツバイク的にはそうでありません。
ロードやMTBは根本的にスポーツ競技用機材であって、実用的な日常品ではありません。カゴ、スタンド、カギの取り付けは非推奨です。
これらの実用品をむりやり装着すると、軽快さと見た目をいちじるしく損ねます。
べんりはべんりです。たびたび鍵を失くす、落とす、忘れるずぼらなO型さんにはこういうキー不要のものをおすすめします。
しかし、固定カギはスポーツバイクのスタイルには全く反対します。
カギは別途
固定型のカギはことごとく日常品です。ママチャリ、一般車、通学用向けです。スタイリッシュなスポーティな据え付けロックは金輪際に存在しません。
スポーツバイク乗りは鍵を別途に持ち歩きます。ワイヤーロック、U字ロック、チェーンロックなどが定番です。
でも、これらのカギをたんに車体にポン掛けしてもぜんぜん安心できません。高級カーボンバイクは10kgの米袋より軽量です。ひょいと持ちさられます。
本気の窃盗団は車でがっさり行きます。幹線を巡行中のロードを追跡して、コンビニ休憩のすきにさくっとやります。
ポン掛けのロックはせいぜい気休めにしかなりません。ガチ勢の悪党には無力だ。
無敵の地球ロック
本気のカギのかけ方は地球ロックです。自転車を建造物やオブジェに括りつけて、持ち運びを阻止します。
対象はガードレール、柵、ポール、木、ラックなどです。
現場での破壊工作なしではチャリを持ち出せません。手ぶらのぬるいチャリパク屋さんはこれで諦めます。盗難対策の最低レベルがこの地球ロックです。
しかし、この奥の手にはつぎの問題がつきまといます。
公共物への地球ロックは違法?
自転車は道路交通法的には軽車両です。車道の左側を走ります。歩道走行は非推奨です。右折は原付方式の二段階右折です。踏切前の一時停止は必要です・・・原則的には。
乗車時の扱いは軽車両ですが、降車時の状態は歩行者になります。きちっと停車してもサドルにまたがりながらスマホをいじると、おまわりさんに怒られます。
で、手元から離れた自転車の単体は交通法では軽車両です。歩道や車道への駐停車はNGです。駐輪場、ラック、適切なスペースだけがセーフです。私有地はこの限りではありません。
公共物や他人の所有物の無断利用はNG
地球ロックの要のガードレール、柵、電柱、木などはことごとく公共物ないし他人の所有物です。これらの無断利用、無断借用はNGです。
自宅の軒先の門や柵に赤の他人が地球ロックするのを見かけて、「ちょ、待てよ」てぼやかずにいられます?
もちろん、原則と現実はしばしば乖離します。店員や自治体や地主はチャリダーが出先で地球ロックした瞬間に目の前にテレポートしてきません。
でも、原則的に公共の場の地球ロックはNGです。マナー違反・・・でもなく、ザ・違法駐輪です。悪党には有利ですが、当局には不利です。防犯意識の高さが裏目に出ます。
実際、歩道、車道、駅前、公共の場の地球ロックは問答無用で撤去の対象になります。違法駐輪ですから。盗難も撤去もされないのはただの幸運でしかありません。
権利者が細かく徹底的に突っつけば、スタンドなしの自転車を駐輪場の柵や金網にもたれさせることにさえイチャモンを付けられます。
「はい、うちの柵にかすり傷が入りました~、器物破損です~、修理代をもらいまっせ~」
いじわるか! グーでしばくぞ、グーで! でも、そんな可能性はゼロじゃありません。駐輪場所には気を付けましょう。
まあ、常識の範囲でだいたい「すいまへーん」て謝れば、「しゃーないな~」て見逃してもらえます。けど、こまかくネチネチ突っ込まれれば、非を認めざるを得ません。
さて、あなたの地球ロックはOKですか? 世知辛き現代社会のささいなことにばくぜんとした不安を覚えるせんさいな人や潔癖症のカンペキ主義者さんはU字ロックでほっとしましょう。