ロードバイクの12速化の幕がついに開きました。王者シマノ、新鋭スラムを差し置いて、カンパニョーロが新型RecordとSuper Record 12spdをおひろめしました。
近年の12速の動向
現行のロードバイクの上位グレードのグループセットは2×11速です。前々から12速化のうわさはたえませんが、今日まで実現しません。
2016年にSRAMが12速のMTBドライブのEagleシリーズを発表しました。翌年には廉価版のGX EAGLEを出して、オフロードの12速化をうながします。
シマノは2020年まで持ち越し
2016年はシマノのロードバイク用の最上位コンポのデュラエースの一新の年です。事前のうわさ、ファンの期待で万が一の12速化がちらほらささやかれました。
結果、R9100は11速をキープしました。シマノのフルモデルチェンジは4年サイクルです。ロードの12速は2020年まで持ち越しになります。
シマノの12速化自体は近日のMTBコンポの新型XTR M9100で実現されましょう・・・いや、実現されます! おねがいだ!
本命のスラムはちんもく
SRAMのモットーは革新と先鋭です。1x、MTB 12spd、ロードの無線電動ドライブシステム、ロード用XDRフリー、28.99mmの新規格BBてつぎつぎ目新しいものを発表します。
ここの新型REDが12速の本命でした。機械式のものはしばらくさたなしです。最近のうわさはMTB EAGLEの電動無線版に尽きます。
大穴が来た!
で、カンパニョーロです。同社は2017年にはつのディスクブレーキを投入しました。展開が一段落したように見えましたが、どんでんがえしの12速が出ました。
カンパニョーロはMTB商品の展開をしません。ほかの二社のようにここからロードの動向を探れない。そして、モデルチェンジの時期がいまひとつあやふやです。
予想好きのぼくにさえ今回の発表は寝耳に水です。
11速、電動の元祖
しかし、カンパニョーロは歴史的にロードの変速数のパイオニアです。11速化、電動化、いずれがライバルのシマノのものより先に世に出ました。
むしろ、堺の釣具屋さんはマイペースに徹して、革新を急ぎません。横綱ずもう、重役出勤、後出しじゃんけんが得意です、キリン式。
「やっきに焦らなくてもシェアを取れるよ。ぼちぼち行こか」
て、自信のあらわれでしょう。また、注力の方向が電動ハイテク機器に向かいます。STEPS、パワーメーター、アクションカメラetcetc
カンパ12速の詳細
変速機の12速化の周辺事情はそんなところです。では、いよいよロード初の12速コンポの正体に迫りましょう。
英国の人気自転車通販ストアのCRCが詳細を動画付きで公開します。
Campagnolo reveal world’s first 12-speed road groupset -> https://t.co/qI8DXq7Y5n pic.twitter.com/3zZsJQYbq7
— ChainReactionCycles (@Chain__Reaction) 2018年4月9日
これを参照にして、意訳と私感を交えつつ、夢の12速を見ていきましょう。
RecordとSuper Recordが一新
今回12速化するのはRecordとSuper Recordです。これはカンパニョーロの上から二つの上位グレードです。このふたつのパーツ類は完全互換です。
CRCのニュースには『5月から発売開始』の文字が踊ります。ほんとに抜き打ちです。
12速カセットと12速チェーン
12速のかなめはカセットスプロケットとチェーンです。
新型レコード12速のノーマルバージョンの歯数は11-29&11-32になります。最初の7段の歯が1Tずつアップして、残りが2-4Tで変化します。
11-23Tみたいなフル1Tの超ナローレシオのユニットの可能性は否定されません。が、基本はミドルからワイドなギア比です。
スチールカセットの11-29Tの重量が266gです。カンパのおはこのチタン版(仮)はより軽くなります。お値段の行く末がおそろしくなります、ははは。
対応フリーボディは従来のカンパニョーロ用です。11速ホイールとコンパチブルです。ためにSRAM XD用のような11T以下のトップギアは付きません。最小の歯数は11~です。
12速チェーンはR12 Narrow Chainと称されます。5.5mmの11速のR11からコンパクト化を果たして、5.15mm(Bikerumorの記事中の実測は5.08mm)になります。超細いです。
SRAM EAGLEの12速チェーンの幅が5.25mmです。従来の11速用から5%のナロー化にとどまります。R12の耐久度が心配です。
一応、メーカーは強度と耐久性の維持をうたいますけど、内実はなぞです。てか、質量の減少とボリュームのダウンはあきらかに不利です。
R12チェーンの公称値は約220gです。重量も11速の軽量タイプから-10%前後です。KMC DLCの公称が240gですし。
11速チェーンのおいしい時間が~3000km、寿命が~5000kmです。単純に-10%でそれぞれ2700km、4500kmです。ほんとにチェーンの摩耗のはやさは頭痛の種です。
ディスクブレーキとキャリパーブレーキに対応
新型レコード&スパレコはディスクブレーキとキャリパーブレーキに対応します。130mmエンドのロードを12速化できます。
結果、2×12=24spd! が爆誕します。3×8=24のフロントトリプルにダブルが追いつきました。変速調整がいまから心配になります、ははは。シャリシャリ地獄!
クランク、メカも新設計になります。クランクは4アームのまっくろいかついエアロ系です。右アームの中央のシャフト穴が見えなくなった。
新型BBはとくに出ません。安定の25mmシャフトのウルトラトルクです。
新しいクランクの印象は現行よりすこしシュッとしました。ぼくは新型のルックスをおします。遠目には・・・ん、デュラエースだ?
今回のローンチには電動EPS12速は出てきません。デビューは機械式12速のみです。が、EPS 12spd Recordは時間の問題でしょう。
価格はスーパーレコード一式が40万~、レコード一式が27万~です。はい、庶民の手はまったく届きません。われわれは105が12速化する2022年まで待ちましょう。
新型BORAもおめみえ
12速の爆誕と同時に2019シーズンのカンパニョーロのホイールの一番手が登場しました。しかも、完全新作です。
2つのエアロが追加
ロードバイクのホイールのトレンドは急速にカーボンクリンチャーへ移行します。安いカボクリ、高いカボクリがぞくぞく現れます。選別がたいへんです。
カンパの新作ホイールもカボクリです。BORA WTO60とWTO77です。
BORAは同社のハイエンドホイールの代名詞です。末尾の型番はリム高を表します。つまり、ディープホイールです。
これでBORAシリーズは35、50、60、77、80まで増加します。ちなみにWTO 77はフロントのみの展開です。
77mmの中途半端な数字でベストな結果が出たそうな。ぼくはたんにぞろめのラッキナンバーと『セブンティーセブン』て語呂のためじゃないかと疑います、ははは。
2Way-Fitチューブレスのみ
ディスクブレーキ、スルーアクスル、ワイドリム、ワイドタイヤ、そして、チューブレスがこれからのスポーツバイクのスタンダードです。
2018シーズンに大々的に投入されたMAVIC USTホイールはおおむね好評です。最大のネックだった着脱の手間が解消されて、ユーザーフレンドリーになりました。
二つのBORA WTOはこのトレンドに準じて、2Way-Fit=チューブレスレディのみです。ふつうのチューブドクリンチャー、チューブラーモデルはありません。
重量はWTO 60フロント670g、リア880g、ペア1550gです。WTO 77が745gです。
リムの有効内径はC19です。オールラウンドのC17よりさらにワイドです。推奨タイヤサイズは28mm~となります。
ローンチはキャリパーブレーキモデルのみです。リムフェイスはAC3です。チューブレスとの相性の良さから近日のDBモデルの追加が期待されます。
12速レコード、油圧ディスクブレーキ、そして、このBORA WTOを揃えれば、まさに時代を先取りして、ドヤドヤできます。
はやくもPBKでプレオーダーがはじまります。