うちのブログにはフォームやコメントの機能がありません。一瞬でスパムがあふれるから。
で、おおやけの連絡先はメールかTwitterかFacebookです。ここにはおたより、いやがらせ、いたずら、批判の声、スパム、ラブレター、いずれがめったに来ません。
うらはらにこういうDMが良く入ります。
「中国深センの金型業者です。高品質な金型を設計します」
「中国深センのウェア業者です。オリジナルデザインアパレルを製造します」
「中国深センのカーボン工場です。自転車パーツの取り扱いをしません?」
アイヤー!
て、中華系の業者からの熱心なおさそいが定期的に来ます。なぜだ?! うちは一介のパンピーのブログだのに!
多分、これは台北サイクルショーの運営ページへの関係者登録のしわざです。以前、台北サイクルショーに潜入しようと思って、このブログのメルアドでアカを取りしました。
あれは基本的にビジネス顧客向けの展示会です。そのつてで中華系業者にメルアドがもれた・・・そんなところでしょう。
ために中華系のウェアやカーボンパーツの見積もりをもらおうと思えばもらえます。原価や仕入れ値が分かる。自転車産業の裏側がまるはだかです。
ロードバイクのカーボンフレームの価格は
- 製造2万
- 塗装1万
- 国際送料5000円
- 関税もろもろ5000円
計4万てところです。じゃあ、5万で売れば元取れます。
ちょっと色気を出して代理店ごっこをしてみようかあ? てたまに考えますが、自転車屋やパーツ屋の内情をさらって調べて、手を出しかねます。
自転車は儲からない?
自転車屋は自転車操業
アナログな自転車はその名に反して、自分で転がりません。実態は人力車です。実際、人力車と自転車はおなじ軽車両に属します。車を転がすのは乗り手です。
で、つねに足を回して、出力を継ぎ足し続けないと、途中で止まってしまいます。そして、二輪は止まると倒れます、ぱたんきゅー。
このさまにあやかって、かつかつの経営スタイルを『自転車操業』と称します。今日の売り上げで食いつなぐ。同日の振り込みを支払いに回すことさえが策の内だ。
で、個人経営のちいさな自転車屋の大半はそんな経営スタイルです。「自転車屋は自転車操業」てのはジョークではない。
自転車の完成車のもうけは10-20%
町の自転車は個人経営です。で、たくさんの店長やオーナーがブログやSNSをします。たまに本音ぽいぐちがぽろって出ます。
あと、元関係者、元従業員、元スタッフみたいな人がネット上で自転車屋の内情をこっそりあかします。
その方々の情報から自転車の完成車のもうけは売値の10-20%です。1万円のチャリの利益が1500円、10万のスポーツバイクのもうけが15000円です。
月に30万を稼ごうと思えば、ママチャリ200台、ロードやMTB20台を売らないといけません。むりげーです。
都心の駅前の駐輪場ひとつ分てところでしょう。これを30日で売りさばけ? はい、むりゲーでーす。
自転車はかさばります。ちっこい店舗には20台くらいしか置けません。不人気機種は売れ残る。問屋は在庫を押し付ける。あー、スペースがない!
わりに個人の複数台所持者と個人経営のチャリ屋のなやみは共通します。チャリはかさばる。空間は有限である。真理です。
スタッフももうからない
自転車屋のスタッフは基本的にバイトです。正社員をかっちり雇うと、赤字に転落してしまいます。
理想の陣容は俺+嫁のツインドライブです。はたらきものの嫁さんが自転車屋、個人事業には欠かせません。
外部のスタッフを雇うにしても、かつかつのぎりぎりの賃金でしか雇えません。不足分は自転車屋の技術料や教授料です。独立の役に立ててね! て心意気です。
で、小売やサービス業の給料はかんばしいもんじゃありません。バイト代の時給も正社員の月給も低い方です。都市部は時給1000円、月給20万ぐらい、地方はもっと下がります。
そもそも小売やサービス業の現場スタッフの給料がウハウハであれば、こんなにしんこくな人手不足は起こりません。若者は来ない。
「やる気と責任感のある明るい自転車好きの仲間を大募集!」
はい、1000円、20万でそれはぜいたくなはなしです。かりに給料を1200円、25万にしても、そんな理想の人材を呼べません。そうゆう人は別業種へ行きます。
「年収500万以下で自転車を趣味にするのはたいへんだ」とはよくゆわれますが、世の自転車の店長やスタッフの大半はここに入ってしまう。
そもそも小売りは儲からない!
パンク修理はもうかる
ふつうの店は月にママチャリ200台も売れません。完成車販売の利益はたかだかです。ぼろもうけできるのはなんでしょう?
はい、パンク修理です。
大阪市内のパンク修理の工賃は300-1000円です。道具はゴムのり、パッチ、タイヤレバー、洗面器のみです。原価はほぼゼロです。利益率は90%オーバーだ。
現実問題、町の自転車屋さんはパンク修理屋さんです。
こういうホームセンターのサイクルコーナーに軽い気持ちでパンク修理とタイヤ交換を依頼すると、「5000円です」とかゆわれてぎょっとします。
ホームセンターの完成車の価格は割安ですけど、工賃はふつうです。で、相対的に後者が異常に高く見えます。
でも、大人一人を30-60分に拘束しますから、その程度の費用は発生します。人はただでは動きません。かたもみもおつかいも有料です。
『プレミアムパンクディーラー』とか儲かるかも?!
ウェアももうかる
アパレルは自転車よりはるかにもうかります。ほんとに自転車は利益的にはおまけみたいなものです。酒屋のビール、米屋の米です。でかい、おもい、はやい。
ジャージはかさばりません。グローブはさびません。メットとシューズはちょっと場所をとりますが、自転車ほどには圧迫しない。
最近、ちっさなこどもがいっちょまえに自転車メットをかぶります。現代的光景です。各地でけいもう活動がおこなわれる。
安全面での意味合いもありますが、年々落ち込む自転車の単価を上げるための商業的な意味合いもおおいにあります。苦肉の策だ。子や孫には財布が緩む。
かりにメットが義務化されれば、メット屋がもうかります。そのあかつきにはOGKカブトの株を買いましょう。
フィッティングはぼろもうけ
有形のアナログ機材は頭打ちです。金をがぼがぼ取れるのは無形の付加価値です。キーワードはプレミアムです。
- スタンダードフィッティング
- プレミアムフィッティング
- プロフェッショナルフィッティング
この三つのグレードを用意しましょう。105、アルテグラ、デュラエースみたいなものです。大半の客は最安を最高を避けて、中間の『プレミアム』を選びます。
実際のところ、簡易フィッティングも本格フィッティングも大差なしです。いちばんの違いは時間です。
スタンダードは15分、プロは60分です。金額の差はクオリティの差ではありません。時間です。時は金なり。
コンセプトストアやベース型の店舗はこぞってフィッティングやフィットネスのサービスを取り入れます。そっちのがもうかるから。
パッケージソフトよりDLCやガチャや課金コンテンツのがもうかります。ソシャゲのゲーム本編はおまけだ。
理想のビジネススタイルはバイクレススタイルです。未来の自転車屋はチャリを客にわたしません。店であずかります。
客は家でその日のライドの予約を入れます。車種、用途、パーツ構成なんかを事前に入力して、店に行くor自宅配送すると、完璧な状態のバイクをわたされます。
「お客様、おはようございます。今日のバイクがこちらになります。こちらのサイクルコンピューターへ今日のコースのナビを入れてあります。では、いってらっしゃいませー」
それさえがめんどうな人にはお店のおすすめのプランがございますよ。最新電動コンポ式の最新エアロディスクロードはいかがでしょうか? 店長のおすすめでございますよ~。
つまり、自転車活動、ライフスタイルのパッケージ配信サービスですね。クラウド型。実際、GIANTストアはこの形態に近づきつつあります。製造からアフターケアまで。
GIANTの自転車を売る×
あなたのライフスタイルにGIANTをお届けする 〇
です。スタイル提案型、コンサル事業はもうかります。フィッティングはその序の口です。月額課金でロード乗り放題サービスは遠い未来の話ではない。GIANTはきっとやる。
結論
て、どの観点から見ても、ちいさな自転車の商売にはうまみを感じられません。ぼくが中華パーツを仕入れて売っても、手間ばかりを取られましょう。
ブログでパーツのレビューして紹介料をもらう方がぜんぜん気楽です。