スポーツ自転車のタイヤのタイプは3種類に大別されます。チューブラー、クリンチャー、チューブレスです。
左・チューブラー 中・クリンチャー 右・チューブレス断面図
下の土台がホイールリム、上の濃いグレーがタイヤ、薄いグレーがチューブ、水色が空気です。ホイールのはめ込み部の形状が違います。
この三種に互換性はありません・・・とメーカーは言いますが、クリンチャーリムをキットでチューブレス化するとか、チューブレスリムにパンクの応急処置でチューブを入れるとかはふつうです。
このなかでチューブラーが最古参です。自転車の草創期、空気入りゴムタイヤの草創期からのオールドタイプです。オンロードの競技系のバイクのタイヤはチューブラーです。
長所は軽さと乗り心地とアカデミックさ、短所はメンテナンスと運用と価格です。パンク=終了です。業務用機材、プロ用の消耗品です。
プロはサポートチームに頼れますが、市井のしろうとは違います。パンクに備えて予備のチューブラータイヤをバッグやサックに詰め込まねばなりません。
そして、これがコンパクトにならない! 運用面のわずらわしさがチューブラータイヤの最大の欠点です。活躍の場はレースやイベントに限られます。
クリンチャータイヤはおなじみのものです。ママチャリからロード、クロスバイクからミニベロまでタイヤは仲良くクリンチャーです。

MAXXIS DOLOMITE 23c KENDA Tube 23c
クリンチャーの長所は手軽さと価格です。短所は重さと性能です。クリンチャーはチューブラーやチューブレスのようなチューブなしタイヤの性能には及びません。
しかし、各タイヤメーカーががんばって、チューブラーやチューブレスに近づけます。チューブラーは完成形でもう進化しませんから、性能差は日毎に縮まります。
チューブレスはクリンチャーの進化系です。オフロードのホイールはチューブレスです。構造的にはオートバイや自動車のタイヤと同じです。
ビードやサイドの精度を上げて、リムとタイヤで擬似的な密封状態をつくって、そこに空気を封じます。クリンチャーよりタイヤとホイールの加工が重要です。
細かい隙間やピンホールの封印にはシーラント=パンク防止剤をタイヤの内側に投入します。

シーラントをぶちまけろ!
これはチューブラーのパンク防止にも使われます。チューブラーxクリンチャー=チューブレスです。
長所は軽さと乗り心地です。緊急時にはチューブを入れて、クリンチャー化できます。パンク修理もかんたんです。内側にパンク修理キットのパッチを貼るだけです。
短所は国内の使用例の少なさです。日本のスポバイのトレンドはロードバイクです。チューブレスのメイン会場はオフロード系です。
じゃあ、チューブレスは海外ではとうにメジャーですが、国内ではまだまだマイナーです。そして、ロードバイク乗りは意外とコンサバです。
「クリンチャーの23Cでええねん、うちは」
て人は少なくありません、ははは。現実問題、ロードブームの始まりが2010年前後です。その頃のちまたのロードタイヤはクリンチャー一辺倒です。この固定観念を上書きするのは難題です。
でも、
「10速でええねん、うちは」
「26インチでええねん、うちは」
「ガラケーでええねん、うちは」
「ブラウン管でええねん、うちは」
て人もいよいよ見ません。チューブレスを試す、常用しないでもすぐに使えるように準備するのは悪いもんじゃありません。
で、この旧態依然のタイヤ御三家に一石を投じる一派がTUFOのチューブラークリンチャーです。チューブラーでクリンチャーだあ?
これはまんまチューブラー+クリンチャーです。チュークリ、はて、こいつはハイブリッドか、はたまた鬼子か異端児か?
クリンチャーの耳にチューブラーを付けたぜ!
このチューブラークリンチャーを販売するのはTUFOです。東欧チェコの首都プラハよりスロバキアやオーストリアに近いオトロコヴィツェの自転車タイヤブランドです。
チェコはビールの発祥の地のひとつです。この地方のブドヴァイゼルがバドワイザーのオリジンです。国民一人当たりのビール消費量は日本の3倍で世界一です。
著名な作家はカフカ、クンデラ、作曲家はドヴォルザーク、スメタナ、科学者はメンデル、スポーツ選手はナブラチロワ、クビトバ、ネドベド、ロシツキ、ツェフ、でも、国技はアイスホッケーです、ははは。
オトロコヴィツェは日本人にはさらにさらに不案内のところですが、コンチネンタルのでっかい工場があります。実質、コンチの城下町です。TUFOも同じ通りの徒歩数分のところにあります。
じゃあ、TUbulars From OtrokoviceでTUFOです。つまり、TUFOはまんまのオロコヴィツェのチューブラータイヤ屋さんです。
設立は1991年です。チェコスロバキアの時代です。1993年にこれがチェコとスロバキアに分かれます。左の大将がボスのMiloslav Klabalです。
ピュアロードレーサーよりTTバイクやトライアスロンバイクに愛用者を持ちます。
で、このチューブラー屋のTUFOが技術の粋を駆使して、オンロード自転車タイヤ界に一石を投じます。それがチューブラークリンチャーです。
クリンチャーリムにセットできるチューブラータイヤです。はめ込み部がクリンチャー、空気パック部分がチューブラーです。
じゃあ、イメージはこんなです。
はい、種も仕掛けもなくチューブラー+クリンチャーです、ははは。
長所は乗り心地です。そして、23mm以下の21mmてタイヤ幅があります。細タイヤ派にうれしいハッピー朗報です。
短所は運用面の悪さです。タイヤの本体はチューブラーです。ノットチューブ、予備タイヤの持参が不可避です。
実際問題、用途は限定的です。
「クリンチャータイヤ用のホイールを愛用するけど、クリンチャータイヤに飽き足らないぜ! でも、チューブラーホイールやチューブレスホイールには気後れするなあ~。へ、チューブラークリンチャー? これや!」
です。慎重派だか、チャレンジャーだか、ははは。まあ、ものはためしですわ。安いグレードを買って、ZONDAあたりにつけると、新しい体験世界に行けるかア?
Tufo C S33 Pro Tubular Clincher Road Tyre
定価 3995円
割引 35%
特価 2594円
※2017/06/01 16:17:43のの価格
このはめ込みヒダヒダはチューブレスのフックレスリムには嵌んないかな? チューブレスとチューブラーの乗り心地の差が個人的な関心です。

ニップル穴・返しフックなしのテープレス・フックレスリム
あと、ミニベロ用のチュークリが出ないかなあ? ミニベロのチューブこそは悩みの種ですからねー。ETRTO 451のチュークリがオトロコヴィツェから来い~。