現在のロードバイク界でトップを競うブランドはアメリカのSpecializedとイタリアのPinarelloです。
「最強バイクのスペシャラか? 最強チームのピナレロか?」
「Dogmaか? TARMACか?」
「フルームか? サガンか?」
「アメチャリか? イタチャリか?」
こうゆう二択や議論や妄想は非常にさかんです。ちまたの人気度やアンケートはほんとに五分五分です。甲乙つけがたし。ぼくはスペシャラに一票を投じましょう。
2018モデルの最後にジョーカーが登場
2017年のピナレロはイケイケでした。LVMH入り、新型Dogma F10発表、ツールドフランス3連覇、てトントン拍子にことが運びました。周辺のささいなノイズは輝かしい勝利の前では掻き消えます。
また、そんなに積極的でなかったディスクブレーキ車をDOGMAシリーズに持ってきました。来年のツールにF10ディスクが出るかはピナレリーの注目ポイントです。
このようにトップクラスの人気と実力を持つピナレロさえが業界のトレンドには逆らえません。コンサバで足踏みして、流れに乗り遅れると、コルナゴやDe Rosaみたいな『古豪』になっちゃいますし。
一方のスペシャライズドはトレンドの斜め上を行きます。ドロハンバイクにステムショックとドロッパーポストを搭載するてゆうCOOLなことをやってのけます。アメリカらしい自由な発想です。
ピナレロはピナレロでエンデュランス系のDogma K10-Sに電子制御サスペンションシステムてハイテクガジェットを盛り込みます。ハイテク化、電子化はつぎのトレンドです。
で、DOGMA F10から始まったピナレロの2018モデルの最後の最後にE-bikeが登場しちゃいました。Pinarello Nytroがそれです。
ピナレロの本気電動ロード Pinarello Nytro
ピナレロのFacebookの公式アナウンスを引用します。Pinarello Nytroのビジュアルはこんなです。
フレームはDOGMA系です。ブレーキは当然のようにディスクブレーキです。てことは、フォークとフレームエンドはスルーアクスルです。
画像のモデルのホイールはFulcrum Racing 5 DB 2018です。今期からフルクラムのロードホイールに大量に加わるアルミのチューブレスディスクブレーキホイール軍団の一角です。
最新のE-bikeにキャリパーブレーキ、クイックリリース、クリンチャーホイールみたいな旧来の規格は似合いません。トレンディーじゃなくなります。
ドライブユニットはなぞのFAZUA
気がかりは電動アシストのユニットです。話題のShimano STEPS E8000やBosch ebike systemでなく、Fazua evationてなぞのメーカーなぞのシステムです。
ここはドイツのミュンヘンのユニット屋です。下が公式の動画です。更新日が2017年8月です。EUROBIKE 2018が実質のデビューのようです。ローンチほやほやです。
あら、動画の最後にFOCUS PROJECT Yが出てきました。ORBEA GAINと同じくE-bikeに見えないE-bikeの最新電動ロードです。
Fazua evationシステムのバッテリーはダウンチューブ内蔵型で、アシストユニットはBB一体型です。シャフトの形状は中空のオクタぽく見えます。
このユニットの特徴は軽さです。バッテリー1.38kg、BB1.31kg、DRIVEPACKて中間システムが2kgです。計4.7kgです。
おかげでPinarello Nytiroの車体重量は13kgに収まります。この手のスマートな電動ロードは余裕で15kg以下になります。もう一息でクロスバイクやミニベロの重量ゾーンに突入しますぜ~。
UCI既定の6.8kgの車体+5kgの電動ドライブシステムで11.8kgです。ホイール、タイヤ、小物をカリカリに詰めれば、10kg台が射程範囲に入ります。フロントシングル化で行けないかな?
弱点はバッテリー容量の少なさです。容量は電池の大きさに比例します。STEPS E8000のバッテリーは500Wh、BoschのPowerPack 300は300Whです。FAZUAのバッテリーは250Whです。
獲得標高の目安が1400mてあります。これ一本で富士山五合目まで行ける?! マリオカートのキノコと同じくバッテリーの使い方が重要になります。どこでBダッシュならぬEダッシュを使うか。
速度や出力はヨーロッパ仕様
Pinarello Nytroはヨーロッパ向けの販売モデルです。アシストはEU基準に則ります。速度上限は25kmです。出力は0.25kW。アシスト比はちょっと不明です。
フラットバー用、ドロップハンドル用はとくに分かれません。いずれがFazuaのリモートパネルです。Pinarello Nyutroにはステムの横にこれがくっつきます。
手元のコンパネのアシストモードは3種類です。下からBreeze、River、Rocketでハイパワーになります。AppはBluetooth readyです。
てことは、電動アシスト法、電波法、技適がからんで、輸入が果てしなくややこしくなります。電動アシスト比率のソフトウェアの調整は海外E-bikeの日本参入の最大の壁です。
実際問題、パイが大きくない日本向けE-bike市場に新興メーカーが専用ソフトウェアを開発する? むり! 割が合いません。ヨーロッパの大手のBoschの参入さえが今期後半のことですし。
じゃあ、FOCUS Project Y、ORBEA GAIN、そして、このPinarello Nytroが日本に来るのは夢のまた夢です。
パナやヤマハのE-bikeまだこの領域には及びません。

電動クロスバイクYRPJ-C
やっぱし、ロードフレームに外付けバッテリーは不細工になっちゃいます。電動ママチャリで見慣れたビジュアルです。BBがスクエアだし。
そして、電動を目隠ししたときのバイク単体の魅力が圧倒的に足りません。ほんまにただの平凡なクロスバイクです。ピナレロやFOCUSのEbikeには見劣りします。ヤマハぽくもない。
現状、国内の市販のE-bikeでおっとなるのはBESVかTern Vektronです。ミニベロや折り畳み自転車と外装バッテリーの相性は悪くありません。
STEPSの逆輸入でMTBモデルの道がすこし開けましたが、電動ロードバイクの前途が多難です。ヤマハかパナソニックがロード用のスマートなユニットを作ってくれることを祈りましょう。
あと、アシスト速度の上限が時速30kmになってくれ~。