2017年のツールドフランスは波乱の展開でした。
サガンの斬影拳ばりのエルボーに始まり、カベンディッシュ一発KO、キッテル快進撃からの落車リタイア、ニューフェイス躍進、終盤に黄色ジャージが行ったり来たりしましたが、最終的に安定のクリフルさんが総合優勝を果たしました。
フルームの総合優勝は4度目、しかも、2013年以降の5年で4度の総合優勝です。2014年のアスタナのニバリの勝利以外はTeam Sky、クリフル、そして、ドグマの独壇場です。

ピナレロドグマF10
現実、ロードバイク界の二強はTaem Skyの独占のピナレロとアメリカの雄のSpecializedです。この2ブランドの人気と実績が突出します。
総合自転車屋の実力的にはオフロードやe-Bikeにハイエンドを展開するスペシャラの方が上ですが、ことさらにピュアなツール系の成績的にはピナレロが上です。ピナレロのオフロードはおまけみたいなものですし。
無敵のクリフル、無敵のドグマ、ピナレロサイコー! ピナサイキョー! て声が津々浦々からしゃわしゃわ聞こえます。勝利こそはレーシング機材の最高のブランディングです。
で、そんな超サイヤ人のごときピナレロドグマですが、スタンダードなF系エンデュランスの系などのモデル展開をします。
さらにディスクロードの『DISK』シリーズが各モデルに加わって、ドグマシリーズの仲間がごそっと増えました。
その昔、誇り高きサイヤ人の王子ベジータさんは永遠のライバルのカカロットの次男の孫悟天の超サイヤ人化を耳にして、憮然とこう言いました。
「・・・まるでスーパーサイヤ人のバーゲンセールだな・・・」
そう、いまやナンバーワンなドグマはオンリーワンじゃありません。雨後のたけのこのようにドグマ系の車体がにょきにょき出てきます。
「ドグマサイコー! でも、このドグマはどのドグマだあ?」
て、ミーハーさんや一見さんのためにドグマシリーズをつらつらと伺いましょう。ピナレロ本家のFacebookとPinarello.comのカタログを参考に紹介していきます。
最強ロードバイク Pinarello Dogma シリーズ
新型ドグマは今年のはじめにアナウンスされました。先代の8系統から10系統へ正当に進化しました。デザインは大きく変わらず、素材が東レT1000カーボンからT1100カーボンになりましたね。
のちに続々と出てくる新型ドグマシリーズの先陣はスタンダードなDOGMA F10です。
Dogma F10
ドグマの基本形態、ノーマルなドグマ、ふつドグマです。ピナレロはエアロ系のモデルを持ちませんから、このふつドグマF10はエアロモデルを兼ねます。
純粋なTT系はBolideです。おや、こっちはとたんにマイナーです。長所は短所ですから、ピナレロのドグマ頼みはPROSにもCONSにもなります。ほかモデルがぱっとしない。
Dogma F10の国内モデルの情報はこんなです。ピナレロジャパンの公式からの引用です。
- Dogma F10
- 完成車:Shimano Dura-Ace R9150 1180000円
- フレームセット:650000円
- 素材:T1100 東レカーボン
- カラー:Team Sky 2017, BLACK LAVA, RED MAGMA, BOB
上のFacebookのモデルはカラーオーダーのMYWAY版です。こちらのフレームセット価格は697000円です。ヒュー!
Dogma F100
3大ツールレースのひとつがジロデイタリアです。今年は100周年記念大会でした。優勝はチームサンウェブのトム・デュムランです。オランダ人初のジロチャンプです。バイクはGIANTです。ピナレロの最強とは真逆の最強自転車屋です、ははは。
で、各ブランドは100周年の記念モデルをいろいろ出しました。ピナレロのそれはDogma F100です。
黒地にピンク! ゴクウブラックのロゼ化のぱくりだあ?!
この配色はデザイナーの乱心じゃありません。ジロデイタリアのチャンピオンカラーがピンクです。優勝者はMaglia rosa=ばら色ジャージに袖を通します。
このジロドグマの国内のフレームセット価格はMYWAYと同価格の697000円です。
正直、フォークとトップチューブ付近のドット柄のツートーンは遠めに見栄えしません。ぶちまけペンキみたいに見えちゃいます、ははは。
このドット柄で購入を見送る人は少なくありませんね、きっと。万人受けじゃないなあ~。このデザインは地味に後を引きかねませんねー。
Dogma F10 DisK
ピナレロはディスクロードには積極的じゃありません。「うちはディスクロードを重視しない」て発言が過去に関係者の口からちらほら出ます。
が、ロード二強ブランドのSpecializedのVenge Discが区間第二ステージでツール初のステージ優勝に輝きました。104年目のディスクロードの輝かしい一勝目です。
その後、絶好調のマルセル・キッテルがばんばん勝ち星を重ねまして、ディスクロードが否応なく注目を集めました。
シマノ、SRAMはすでに油圧ディスクブレーキを販売します。そして、ついにカンパニョーロがうわさのDBモデルのホイールとドライブトレインをぶわっと発表しました。
結局、プロはメーカーに逆らえません。提供機材にもくもくと乗って、ベストを目指します。3大メーカーは油圧ディスクブレーキの販売促進にかじを切ります。
ロードバイク=ディスクロードの公式はちゃくちゃくと進みます。これは2016年の日系の記事ですが、シマノの方向性が完璧に知れます。
www.nikkei.com
- 今後の戦略商品としては「油圧式ディスクブレーキ」を挙げた。11月に全面改良する最上級の自転車部品セット「デュラエース」に導入予定で、「来年から中級・普及モデルにも順次搭載する」(島野社長)計画だ。世界市場での拡販で、「ライバルとの差異化を図る」(同)。将来は3倍以上に増産する意向だ。
じゃあ、自転車ブランドはうかうかできません。トレンドに乗り遅れると、あとからひいひい苦労します。カンパニョーロの油圧ディスクの開発の遅れが良い証拠です。
で、Dogma F10 Diskです。
スルーアクスル、フラットマウントの典型的ディスクロードです。が、タイヤクリアランスは25cです。ありがちな広めのクリアランス設計はありません。完全レース用のディスクロードです。
詳細は不明です。今後の動向に期待しましょう。
Dogma K10
もう一つのドグマ、Dogma Kシリーズはエンデュランスロードです。パリ-ルーベみたいなクラシックレースで活躍します。こちらもK8からK10への正当進化を果たします。
まんまのらくちんドグマ、らくドグマです。タイヤは28cです。F系との大きなちがいはシートステーの形状です。昔のクロモリフレーム風のビジュアルです。
そして、Kシリーズのビジュアルはシンプルなツートンカラーです。ドットなし。こっちのがGOODでしょうよ。
Dogma K10S Disk
このKシリーズのスペシャルパーツに電子制御式のサスペンションシステムがあります。
しかし、この電子サスは市販車にはややオーバーテクノロジーです。秘密兵器感がメカ好きにはぐっと来ますけど、ははは。
本家pinarello.comのカタログにはDogma K10S DisKてガジェットごてごてドグマがすでにあります。ごてドグマです。国内には来んかあ~。
Dogma F10 X
Dogma F10 XはF10の軽量モデルです。F8 Xの後継です。これもまた正当アップグレードです。
Facebookの表記ではF10 X-Light、pinarello.comの表記ではF10 Xです。どっちにもX-lightのロゴがあるから、X-Lightが正解ぽいです。
未塗装の53サイズのフレームの重量が760gです。これはふつドグマより60gも軽量のかるドグマです。
が、このかるドグマは他社軽量モデルと見比べると、特別のアドバンテージを感じられません。TREKの新型EMONDA SLRは640g、スペシャラのTARMAC SLR6は733gですし。
そもそもUCIの規定が『6.8kg以上の完成車』です。大方のバイクが余裕でそれ以下になっちゃいます。おもし、おもし、増量増量でレギュレーションにパスしなきゃなりません。
じゃあ、「軽さは正義!」の時代は二昔前のおとぎばなしです。いまの技術トレンドはエンデュランスとエアロの向上です。
これはぼくの印象ですが、今期のドグマのペイントはザ・外れです、ははは。アクセントのドットパターンやラインパターンがなんかイマイチです。
2018ピナレロのべストペイント賞はRazhaの青です。