Finish Lineが新型シーラントを発表 ラテックス不使用でケブラー主体


自転車のタイヤの形式はチューブラー、クリンチャー、チューブレスです。それぞれに長所と短所があります。

 

以下は毎度のリムとタイヤの断面図です。

 

左からチューブラー クリンチャー チューブレス

左からチューブラー クリンチャー チューブレス

 

オンロード、シクロクロスのトップレースではチューブラー、オフロードの幅広いシーンではチューブレス、ちまたではクリンチャーが主流です。

 

少し前までチューブレスはコアなユーザー向けのアイテムでした。関連用品やタイヤの選択肢が限定的でした。

 

しかし、この数年で状況が一変します。チューブレス用のナニナニがつぎつぎと出てきます。初心者が手軽にチューブレスに触れられます。

 

エアタンク付き空気入れ

エアタンク付き空気入れ

 

TLEのおともシーラント

 

さて、一般ではチューブレス、チューブレスてひとくくりにまとめらますが、現行の主力のチューブレスはおおむねチューブレスイージーです。

 

げんみつにはピュアチューブレスとチューブレスイージーは別物です。MAVICのUSTモデルやIRCのチューブレスはピュアチューブレスです。

 

そのほかのタイヤ屋のチューブレスはチューブレスイージーやチューブレスコンパチやチューブレスレディです。

 

Schwalbe=TLE

WTB=TCS

パナレーサー=TLC

 

てなように各社で呼称が変わります。対応モデルにはタイヤのどこかに記載があります。これはパナのTLC=TubeLess  CompatibleモデルのグラキンSKです。

 

Panaracer Gravel King SK 700-40

Panaracer Gravel King SK 700-40

 

これらのチューブレス互換タイヤとピュアチューブレスタイヤとのちがいはシーラントの有無です。チューブレス互換にはシーラントが必須です。

 

ピュアチューブレスにはシーラントは必須じゃありませんが、パンク予防の保険に少量の注入は常套手段です。

 

反対に非チューブレスのふつうのクリンチャータイヤにシーラントを入れれば、むりやりチューブレス化できます。

 

シーラント移し

シーラント移し

 

ロードの細タイヤはむずかしいところですが、オフロードの太タイヤはほぼチューブレスになります。

 

当然のごとくビードやタイヤサイドはチューブレスモデルよりややルーズです。減圧の早さはまちまちです。個体差が出ます。

 

反面、クリンチャーモデルはチューブレスモデルより軽量で安価です。おまけにシュワルベはひんぱんに海外ストアのセールにかかります。おかいどく。

 

いちばん人気はSTAN’S NOTUBES

 

シーラントはもともとチューブ用のパンク防止剤です。これがMTBのチューブレス化に伴って、タイヤ用の封印エキスになりました。

 

タイヤのチューブはわりにかさばります。ロードの超軽量タイプは70g、2インチのオフロードはその倍の140g、ファットタイヤは200gオーバーです。

 

TIOGA ULチューブ

TIOGA ULチューブ

 

何の気なしに使用すると気づきませんが、意識を向けて、チューブレスやチューブラーと乗り比べると、クリンチャーチューブの異物感を察知できます。

 

タイヤ内の異物の容量を減らせば、軽量化できますし、エアボリュームを上げられます。ぼくのようなホビーライダーには低圧化の乗り心地の向上はありがたいものです。

 

で、この魔法の液体、シーラントのベストセラー商品はSTAN’S NOTUBESのシーラントです。

 

シーラント

シーラント

 

STAN’Sはアメリカのオフロード系のホイール屋です。現行のチューブレスレディシステムの開発元です。

 

ここのチューブレス用バルブ、チューブレス用リムテープ、チューブレス用シーラントの3点セットはチューブレスユーザーにはおなじみです。

 

Stan’s NoTubes リムテープ

Stan’s NoTubes リムテープ

 

バルブ、テープ、シーラントの品質は良好です。他社のOEMも手掛けます。『アメリカ製』のタイヤ屋の純正シーラントはたいていSTAN’S製です。

 

においと見た目のラテックス

 

このNOTUBESのシーラントの秘訣はラテックスです。原材料は軽量ラテックスチューブのラテックスとおなじものです。ゴムの木の樹液ですね。

 

latex 取り方

latex 取り方

 

ゴムの木の樹皮をエモンダして、白濁の乳液を受け皿で採取します。タイ、インドネシア、ベトナム、マレーシアみたいなあたたかい東南アジアが産地です。

 

ラテックスは常温の空気中で次第に固まります。水分を完全に失うと、湯葉みたいな膜になります。

 

よくなじんだシーラント

よくなじんだシーラント

 

しばらく放置すると、輪ゴムみたいなあめ色になります。見栄えはよくありませんが、重量の大半は水分です。へばりついたラテックスの重さは微々たるものです。

 

細かい人はこれをきれいに取り除こうとします。逆効果です。ビードへの付着物は空気漏れの原因になりますけど、タイヤの内側の皮膜は良い補強です。

 

これを気にする人は少なくありません。ほかはラテックスの匂いですか。もとがゴムの木の樹液です。なまぐさいフレーバーがツンとします。ルフィの体臭はこんなでしょうか?

 

水が抜ける

 

ラテックスシーラントのもうひとつの課題が乾燥です。ごらんのようにSTANSのシーラントは不透明な乳液です。水溶液ではありません。

 

そもそもラテックスを溶かすような液はタイヤのゴムも溶かしちゃいます。液の主成分は水です。ここにラテックスの小さな粒が混入します。

 

で、とうぜんのように水とラテックスは分離します。使用前にはよく振りましょう。そして、使用後にはしっかりと蓋を締める。

 

水気が失せると、ラテックスが凝固します。小さい粒が大きなかたまりになって、べちゃっとへばりつきます。これはパンク防止には役立ちません。ただのゴムの塊です。

 

自転車のタイヤは完全な密封構造じゃありません。構造のすきま、ゴムの分子の間から空気はじわじわ抜けます。ゴム風船は勝手にしぼんで、しわしわのおばあさんみたいになります。

 

水分も同様です。タイヤの構造のすきま、ゴムの分子の間からじわじわ抜けていきます。結果、ラテックスシーラントは半年でカラカラになります。

 

解決策は定期的に水やシーラントを足すことです。ホイールをシャワーで丸洗いすると、いい感じにうるおせます。

 

ケブラー系シーラントが登場

 

ラテックスシーラントはこんな特徴を持ちます。固着、匂い、乾燥が最大の課題です。これの不満は大きくありません。製品的には完成形です。

 

他社はおなじアプローチでやっても、盟主のSTANSには迫れません。別の方向から攻めましょう・・・てことで、Finish Lineが新機軸のシーラントを発表しました。

 

 

ここは自転車のケミカルコーナーの常連です。店頭のオイルの棚でまっさきに目につきます。チェーンルブのドライテフロンはベストセラーです。

 

フィニッシュラインドライテフロン

フィニッシュラインドライテフロン

 

Finish Lineの新型シーラントはタイヤシーラントのMULTI SEALKとの連名商品です。かなめのシール材はKevlarです。これは強化合成繊維です。タイヤのビードの芯材でおなじみですね。

 

テフロンもケブラーもアメリカの化学やデュポン社の開発商品です。Finish Lineはこことの強いコネを持ちます。

 

ケブラーシーラントのうたい文句は容器の記載のように

 

  • NEVER DRIES OUT
  • FIBER LINK TECHNOLOGY
  • LATEX FREE

 

です。ラテックスシーラントに真っ向から勝負を挑みます。

 

シールの仕方はラテックスと変わりません。物理的です。ケブラーの細かい繊維がパンクやカットの付近でからみついて、即席のバリアを形成し、空気の流出をふせぎます。

 

キモはケブラーの形状、長さ、直径です。これが自転車タイヤ用に新しく開発されました。繊維の糸くずで穴を埋めるて発想はおなじです、シンプル。

 

Bikerumorの開発者インタビューではつぎのことが注目です。

 

  • ラテックスより減圧しない
  • 再利用可
  • 混合は不可(性能低下のため)
  • バルブを容易に通過する
  • 振らなくてもOK

 

推奨注入量はロード2,3oz、29インチ4,5ozてあります。ラテックスの推奨量よりやや多量です。もっとも、ローンチ時には大きい値が出ます。

 

Finish Lineは日本でおなじみです。この新しいケブラーシーラントも早々に店頭やウェブストアに並びましょう。

 

ちょうどうちのSTANSのラテックスシーラントが空になりました。頃合いを見て、ぼくはこのFinish Lineのケブラーシーラントを調達しますわ。

 

はて、匂いはどんなだろう?

 

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