MTBはBOOSTと1x、ロードバイクはエアロとディスクブレーキ、オールロードはマルチタイヤとバイクパッキング…てなところがそれぞれのシーンのトレンドです。
これらのスポーツバイクより趣向性に富むミニベロや折り畳み自転車は爆発的には変化しませんが、2015年頃と現在では潮流が異なります。
数年前まで大きい20インチ=ETRTO451の小径車が人気をはくしました。高速カスタム、大口径化、ミニベロロードのプチブームです。
CARACLE COZはミニベロロードのひとつの終着点です。

CARACLE COZ
で、それから数年がながれて、走行性能の向上がすこし下火になり、いれかわりに超軽量フォールディングバイクのブームが来ます。
最重要キーワードは『14インチ』です。今、ミニベロ界は空前の14インチ戦争のさなかにあります。ここに折り畳み自転車の本家のDAHONから期待の新型が登場しました。その名はDAHON K3です。
14インチ軽量合戦は一段落
14インチ折り畳み自転車ブームの火付け役はDAHONでもTERNでもTYRELLでもありません。16インチのブロンプトン、17インチのモールトンでもない。
14インチブームの主役はルノーのウルトラライトシリーズです。もちろん、販売元は自動車の仏ルノー・・・でなく、住之江の輸入代理店のGICです。
ウルトラ7の名前のとおりに7kg台の超軽量車両です。平気で10kgを越える折り畳み自転車界ではこの圧倒的な軽さで注目を集められます。
このウルトラライト系の用途は限定的です。出先や旅先の移動が主な目的です。
「電車で観光地に行って市内をぷらっとゆるポタ」
「乗用車に積載して周辺をぶらりチャリ」
こんなところが本道です。輪行専用機材て申せましょうか。なかなかの特化型のピーキーなチャリンコです。
で、販売元のGICはこのヒットに味を占めて、マグネシウム6&8、クロモリ版、チタン版、悲願の真6kg台をほこるプラチナムライト6、限定カーボン版などをどしどし投入します。
他方、マグネシウム6とプラチナライト6の空白期間に本家のダホンが真6kg台のDAHON DOVE PLUSを販売して、14インチシングルスピード戦争が一気にヒートアップします。
で、その熱戦から時間がすこし経ちまして、単純な超軽量化がすこし落ち着きます。実際問題、6.5kgや6.0kgは可能ですが、強度や剛性が犠牲になりますし、価格がはねがあります。
おそらく5-8万の市販のミニベロの重量の下限は6.8-7.0kgの範囲でしょう。虎の子のカーボン化の恩恵がミニマムです。フレームもホイールもそこまで軽くならない。折り畳みはなおさらです。
新型DAHON K3 14インチの外装3速
ところで、DAHON K3は日本初上陸ですが、完全新作ではありません。本家の中国では大行新型K3の名前で2017年の冬にすでにデビューします。
本体重量7.8kgの軽量さと、ビッククランクがもたらす満足感ある走行性能がウリの、14インチNewモデル「K3」のリリースです。https://t.co/0QCedFNw2z pic.twitter.com/wvhuAAkkBD
— DAHON JAPAN (@dahon_jp) 2018年6月7日
発表が6月7日、販売が6月中旬です。鳴り物いりの感がぷんぷんします。初回のロットは少量のようです。様子見販売だあ?
カタログにはありません。ダホンジャパンのブログの情報だけがたよりです。キャッチコピーはつぎの3点です。
- point 1:超軽量の本体重量7.8kg
- point 2:専用フレームによるサイズ感以上の安定性
- point 3:ビッグクランクがもたらす満足感ある走行性能
重量、専用フレーム、ビッグクランクが公式のおしです。詳細はこんなです。
- 変速:3 Speed(フロント53T リア9-13-17T)
- ホイール:14 inch
- おもさ:7.8kg(ペダルなし)
- 折り畳み寸:65x59x28cm=107380立法cm
- 色:レッド/マットブラック、ホワイト/ブラック
- 価格:82000円(税別)
中華系のストアの数値はすこしことなります。
- 7.9kg
- 61.5×60.5x34cm=126506立法cm
- 赤黒、白黒、青黒、黄黒
- 2700-3000元=5万円くらい
うーん、価格はあれですが、おもさと寸法の正解はどっちでしょう? 三辺寸法の計測は万国共通でわりにばらばらですからねえ。うちの近所のクロネコはゆるゆるです、ははは。
カラーやパーツ構成は中華版とおんなじです。ブレーキTEKTRO、レバーAVID、タイヤKENDA、チェーンKMC、ペダルWellgoなどなど。
クランク、サドル、シートポスト、ハンドルとかにはDAHONのロゴが入ります。これらは汎用の純正品です。K3モデルてのはとくになし。
DELTECで剛性アップ
K3のフレームのいちばんの特徴はフレームのチューブ下のフォークの間際からBB下にぴんと張るなぞのケーブルワイヤーです。
これがうわさのDELTECです。が、やっぱし、K3の独自のシステムではありません。中華モデルにはいくつかの採用例があります。
「フレーム寿命は2倍! 振動吸収50%アップ!」
て、キャッチコピーがおどります。振動吸収アップはすなおにCONSです。ミニベロは振動と衝撃にはめっきりぽんこつです。軽い車体はちょっとやそっとで跳ねまくります。
ファンタスティックなギア比
おつぎがギア比です。フロントは53Tの大盤振る舞いです。どこのノーマルクランクのアウターだよ! 直径が14インチのホイールとどっこいどっこいです。
で、リアが9-13-17です。ワイドレシオ、てか、がばがばレシオです。53Tリングのつけがこちらに回ります。
個人的にフロントのでっかいリングにはいい思い出がありません。
ライバルはウルトラライト7トリプル
このDAHON K3の宿命のライバルは住之江の14インチ折りたたみ屋さん&ルノーウルトラライト屋さんのGICのウルトラライト7トリプルです。
『7』と『トリプル』のネーミングのとおりにこいつは7.8kgで3speedです。そして、ウルトラライトシリーズは日本規格のバイクです。2017年冬からすでに販売されます。
じゃあ、本家のダホンが亜流をパクった?! いや、シングルスピードの14インチの下限が6.8-7.0kgです。そして、最小の外付け変速機は3速です。パーツ構成や小物はどっこいどっこいだ。
つまり、にたりよったりのものができあがるのは当然の結果です。差は出ない。むしろ、劇的な差別化はぎゃくに不自然です。
ロゴ、デザイン、カラー、プライスで選びましょう。