現行のスポバイ自転車の素材はカーボンです。アジア圏の大量生産技術がぐいぐい向上しまして、高嶺の花だったカーボンフレームがいまやエントリーモデルまで普及しました。
人気ブランドBianchiのIntrepidaの完成車はフルカーボンで15万~です。カーボンフレームはもう特別なものじゃありません。
じゃあ、カーボンフレーム以前の自転車フレームはアルミ合金製です。ロードバイクのアルミフレームは2010年ごろまでトップレースにしぶとく生き残りました。
ただし、素材のアルミ合金のクオリティはまちまちです。超軽量のスカンジウムからA7075の超々ジュラルミン、6000番台のAlloy、安いふつアルミまでピンきりです。
じゃあ、アルミ以前のフレームはなんでしょうか? はい、鉄です。ただし、鉄のグレードもさまざです。ほんまのふつ鉄、ハイテン、鉄合金などがあります。
本格自転車フレームの鉄はクロモリです。これはクロム+モリブデン+鋼=クロモリ鋼の鉄合金です。マンガンモリブデン鋼、マンモリてのもあります。こちらは英国レイノルズ社のおはこです。
鉄フレームの歴史は自転車の歴史、鉄鋼チューブ屋の歴史と重なります。鉄鋼屋のレイノルズやコロンバスは19世紀末から20世紀初頭に創業して、チャリチューブを製造しはじめます。
アルミ・カーボンフレームの登場は1980年ごろです。せいぜい30数年だ。一方の鉄フレームの歴史はその倍です。チャリの100年の歴史の大半はザ・鉄フレの時代です。
ポストクロモリの時代に一瞬だけチタンが顔を出しましたが、価格の高さと加工のむずかしさを克服できず、後続のアルミとカーボンに一掃されましたね。
鉄フレームは長持ちします。こんなのがぜんぜん現役です。

パースセキネ
クロモリは素材的に優勝です。金属界のエースです。
イタリア御三家のクロモリフレーム
ロードバイク界のイタリア御三家はColnago、Derosa、Pinarelloです。実績と人気でC社やD社を上回るチェレステ屋のBianchiがなんで入らない? て疑問は浮かびますが、御三家の定説はそんなです。
メタルフレーム的視点ではこの御三家の陣容が変わります。コルナゴ、デローザは残りますが、ピナレロが外れて、某社がちねっと加わります。
はい、Cinelli、チネリです。コロンバス傘下のチャリブランドです。
今日、チネリはトップレースの会場ではまったく見かけません。金属フレーム時代に一世をふうびしましたが、アルカーボン化の波に取り残されて、競技系から脱落しました。
現在のチネリのイメージはヒトクセ系個性派のおしゃれ自転車ブランドです。ここのアパレル小物や自転車アクセはわりとデカロゴ、ハデガラで攻めます。
ややキバツ系前衛ちょいフシギ系マイルドストリート系カジュアルてふんいきです。万人向けじゃありません。好き嫌いがはっきり分かれます。
自転車コンポーネントには鉄鋼チューブ屋コロンバスの力が活きます。メタルフレーム、メタルパーツが得意です。ロードエンドのピスト系フレームが主力看板です。
Cinelli Mash Bolt Single Speed Frameset
定価 102000円
割引 21% = ¥22001円
特価 79999円
※2017/07/25 19:15:07のCycling Expressの価格
アーバン系のCinelli BOOTLEGブランドも好評です。ここのコンセプトはCOOL!!!です。公式から引用しましょう。
- チネリに反逆した息子。ブートレッグ。
都市生活者にとって、最も危険な敵は自動車である。自動車は最も人間を殺戮する獰猛な存在だ。そんな路上にあって、敵と戦うために武器が必要である。ブートレッグは、「自転車」を「都市で生き残るための武器」と定義する。ブートレッグは、自転車そのものはカッコイイものであればいいと考える。ブートレッグは、目立つべき、栄えるべきは、自転車に乗っている人そのものであるべきだと考える。
オー、アメイジング! チネリへの、教科書的アカデミックトラディショナルコンサバロードレーサーへのアンチテーゼです。アーバンストリートブランドの面目躍如ですわ。
しかし、日本のクロモリファンが求めるのはこのタイプじゃありません。メタルフレーム=格式と伝統です。オー、スーパーコルサ、カムバック!
Colnago Mater X-light
さあ、コルナゴです。こちらのイメージは昔から今まで普遍のイタリアン・ラグジュアリー・ロードバイク・ブランドです。
今年のツールドフランス2017に新型CONCEPTやV2-Rを引っさげて、ひさびさに登場しました。ひとまず、コルナゴファンの溜飲は下がりましたね。ピナレロの背中はまだまだ遠くかすみますが。
コルナゴのメタルクロモリフレームの代表がMaster X-Lightです。台湾サイクリングエクスプレスにフレームセットの在庫があります。
Colnago Master X-Light AD4 Steel Road Frameset
定価 259500円
割引 6% = ¥17386円
特価 242114円
※2017/07/25 19:20:21のCycling Expressの価格
ラグ、ペイント、細身のすっきりビジュアル、オー、アカデミック&トラディショナル&ラグジュアリー! です。上質さがふしぶしから漂います。
クロモリファンの要求は純粋な機能でなくて、アカデミックさ、クラシカルさ、仕上げのていねいさ、つまり、古典的様式美です。古き良きロードバイク、いや、ロードレーサーです。
もはや、骨董品、工芸品のレベです。実用性は二の次だ。アレックスモールトン。ブランドヒストリー、上質な素材、職人技は不可欠です。このどれかが欠けると、クロモリフレームの魅力ががたっと減ります。
たとえば、『塗りも仕上げもすんごくきれいな軽量のカッチョイイ新興ブランドの無印クロモリフレーム』はコルナゴのこれより売れません。オーダーメイドは別ですが。ブランドヒストリーが足りませんから。
アルミは鉄より軽量で丈夫ですが、しなやかさに欠けます。形の限界を超えると、変形せずに破断します。

トップキャップ破壊
アルミをクロモリと同じ細身の形状にすれば、同等のしなやかさを出せますけど、金属疲労ですぐにポシャります。どっかにヒビが入る。
そして、アルミの修復はかんたんじゃありません。げんに溶接工の友だちが、
「アルミはたいへんやで~。おれは鉄しか出来へんわ~。てか、金網フェンスしか作れん」
てほざきますし。実質、金網工です、ははは。しかも、「溶接よりパテ修復のが手軽やで~」て言われました。職人気質が絶無じゃないか! いつか、フレームを作らせようと思うのにさ~。
まあ、職人の実態はこんなもんですわねー。
じゃあ、アルミでこのクロモリのしゅっとした感じを出すのは無理です。結果、見た目はぶっとくなります。
チタンはアルミよりしなやかで、クロモリばりの細身イケメンになりますが、価格は持ってけドロボープライスになります。
そして、やっぱし『塗りも仕上げもすんごくきれいな軽量のカッチョイイ新興ブランドの無印チタンフレーム』はコルナゴやデローザの鉄フレより不人気です。
そしてそして、コルナゴやデローザのチタンフレームはお貴族おプライスになります。Derosa Titanio Soloのフレームセットは96万円です、ぎゃふん! アート代だあ・・・
Derosa Nuovo Classico
デローザのクロモリのNuovo Classicoです。ベースが名車Neoprimatoで、こまかいところがメッキ加工です。
フォーク形状の「うにょん」がクラシカルです。人はこれを『ベントフォーク』と言います。フィーリングはコルナゴのストレートタイプよりマイルドになります。
おお、この曲線美がジョルジョーネの眠れるビーナスのようだ、てなことを言うと、知的インテリゲンチャをアピールできます。
De Rosa Nuovo Classico Frameset 2015
定価 302750円
割引 25% = ¥77936円
特価 224814円
※2017/07/25 19:59:18のCycling Expressの価格
ペイントのふくざつさはコルナゴに見劣りします。もっとも、コルナゴにぬり絵で勝てるところはそんなに多くありませんが。
デローザのエディメルクス時代の黄金期を知る層には直撃ストレートなフレームです。
これらのクラシカルなフレームには最新鋭のぶさいくなパーツ類よりカンパニョーロのアテナが合います。主流の4本アームがクロモリには太すぎますからねえ。
Campagnolo – Athena (アテナ) 11スピードグループセット
定価 91499円
割引 32%
特価 61999円
※2017/07/25 20:18:21のの価格