Colnago、コルナゴ社はイタリアの名門自転車ブランドのひとつです。ピナレロ、デローザと並び立って、『イタリア御三家』て称されます。
しかしながら、最近の実績はライバルのピナレロの後塵を拝します。CONSな意味の『古豪』のイメージが重くのしかかります。もう一方のライバルのデローザも同様の悩みを抱えます。
まあ、この5年で4回のツールドフランスの王者に輝くピナレロがちょっと強すぎます。今のロード界はピナレロとスペシャライズドの時代です。
2017年のコルナゴの動向
今年2017年は創業者のエルネスト・コルナゴ氏の生誕85周年でした。ラグドフレームのラグジュアリーなColnago C60ベースの限定記念モデルOttanta5が販売されました。
しかし、これも直後のピナレロのDOGMA F10の電撃発表にかき消されます。すくいはツールドフランスへの復帰です。ワールドチームのUAE Team Emiratesがコルナゴを駆ります。
個人総合は8位、チーム総合は11位です。Team Skyの成績は共に1位です。コルナゴファンにはさびしいところでしょう。
イタリア御三家の明暗
ちなみにデローザはジロデイタリアの出場権すら逃しました。めぼしい活躍は宇都宮のジャパンカップの勝利ばかりです。
じゃあ、なんでこのイタリア御三家に名実を兼ね備えるビアンキが入らないか? ロード界の七不思議のひとつです。
アメリカ御三家はTREK、Specialized、Cannondaleです。この三つはトップレースや人気自転車ブランドランキングの常連です。イタリア御三家の形骸化だあ?
今年のコルナゴは創業者のメモリアルに合わせて、意欲的なハイエンドモデルの新型をつぎつぎ発表します。
ファンに不評のConcept
同社初のエアロロードがColnago Conceptです。

旧来のコルナゴファンには不評です。『近未来的なエアロとコルナゴのラグジュアリーなイメージがマッチしない』てのが理由みたいです。エアロのチャラさが生理的に合わない! て。
たしかに塗装のクオリティは圧倒的です。この絵画的なきれいさは工業品でなく、工芸品です。これはC60のような床しいモデルとマッチします。
しかし、ロードバイクは競技用機材ですから、近代的な流れをくまないと、ライバルにどんどん水を開けられます。結局、レースで勝てないバイクは露出を減らして、表舞台からじわじわ後退します。
よりコアな嗜好や趣味を満たそうとするならば、個人のビルダーや小さい工房に特注やフルオーダーをかけられます。C60は工芸品でこそありますが、世界に一つだけのオンリーワンじゃありません。
オールラウンドな新作ロードV2R
コルナゴの実質レース用の万能型ハイエンドロードレーサーがスタンダードなモノコックカーボンのV系統のシリーズです。
2015年、コルナゴ史上最軽量のV1Rがモータースポーツの名門フェラーリ社との共同開発から生まれます。
カムテール形状、ダイレクトブレーキみたいな定番のエアロ対策から独自規格のスレッドフィットBBなどの意欲的な意匠をもりこみます。
で、コルナゴ的には先鋭的な、ライバル各社的にはスタンダードなフルカーボンロードバイクが二年の短いスパンで生まれ変わります。V2Rがそれです。
エアロ! 最軽量!
V2Rのうたい文句の筆頭は『エアロ』と『最軽量』です。上記のように意欲作のColnago Conceptがゴリゴリエアロに足を踏み入れました。他モデルへの使いまわしは必定です。
リアブレーキがBB下からステーに移動
V1Rからの大きな変更点はリアのダイレクトブレーキの位置です。これがBB下からバックステーのブリッジに移動しました。
ゴリゴリエアロのColnago Conceptのリアブレーキもこの位置にあります。一時期に流行ったBB下のダイレクトブレーキブームは消沈しました。
しかし、より大きなトレンドでリムブレーキは淘汰の時代に入りました。この二年でフラットマウントのディスクロードの規格が固まりました。
ロードのDB化、ワイドタイヤ化、スルーアクスル化、チューブレス化が加速します。12速、13速時代への足がかりです。
C60みたいな古風なフレームとマシンチックなディスクブレーキはちと合いませんが、先鋭的なエアロフレームとDISCは非常にマッチします。
現時点のエアロディスクロードの指標はS-Works Venge ViAS DISCとPROPEL ADVANCED SL 0 DISCです。
軽量フレーム
V2Rのもうひとつの売りが計量フレームです。未塗装の480サイズが835gです。塗装済みは1000gアンダーでしょう。
しかし、この数値はほかの超軽量モデルのなかでは最優秀の部類じゃありません。600g台のTREK EMONDA、700g台のLOOK HUEZには見劣りします。
超軽量フレームはコルナゴの得意分野じゃありません。根幹のトラディショナルさが極端な機能性の追求に歯止めをかけます。
スレッドフィットBB
カーボンフレームのボトムブラケットはおおむね圧入式です。BBシェルはつるぺたの円筒です。うちのKONAのカーボンフレームのBBシェルがその典型です。

カーボンにはねじのみぞを刻めません。スレッドを立てるなら、金属の補強プレートや台座を埋め込みます。
カーボンフォークのダボ穴、フレームのドリンクホルダー受け、ディスクブレーキの台座、スルーアクスルのエンド部分がそうです。

金属とカーボンの複合型=コンポジットです。部位の強度は単一のモノコック成型に敵いません。コンポジット部分の強度を出そうとすると、重量の増加を招きます。
しかし、圧入系のパーツの整備はいろいろめんどうです。タイトなところへ金属パーツをぐいぐいねじ込みます。着脱のダメージは小さくありません。
まあ、カーボンの取り扱いに慣れてしまうと、力業でばんばんやっちゃいます。慎重な気遣いはほんとに最初だけでした、ははは。

で、コルナゴのスレッドフィットはコンポジット型です。カーボンのなかに補強プレートを埋め込んで、そこにねじみぞをタップして、PFのカップをねじねじ入れます。
カーボンBBシェル | ねじみぞ入りプレート | 専用カップ | PFBB
て、4層構造になります。フレームセットのプレートは圧入済みです。カップは外れます。コルナゴのカーボンフレームのBBは基本的にこのスレッドフィットです。
専用カップとBBをまるまる飲み込むプレートはかなりの大口径です。そのプレートを飲み込むBBシェルはなおさらです。
げんにぼくはColnago Conceptに試乗しまして、足元のがっちり感、どっしり感を覚えました。高剛性です。
逆に重さはかさみます。機能性 < 整備性です。『フレームをきれいに長く使いましょう』てコルナゴの思想がかいまみえます。
以上のことから軽量さはそんなに売りではありません。軽さと硬さのバランスがポイントです。個人的にこのスレッドフィットBBは好感触です。音鳴りと整備の不安がなくなりますし。
コルナゴのバイクはお上品でラグジュアリーですけど、きゃしゃではありません。骨太です。
V2Rのフレームが特価!
台湾の人気通販ストアのサイクリングエクスプレスにV2Rのフレームセットが入荷しました。
Colnago V2-R TNBK Carbon Road Frameset
定価 371950円
割引 6% = ¥26036円
特価 345914円
VIP特価 321999円
※2017/12/22 04:54:43のCycling Expressの価格
サイクリングエクスプレスのレビュー数ではコルナゴよりデローザが人気です。実績は負けても、華は負けません。ハートかクローバーか、アルマーニかゼニヤか、じつにむずかしい選択です。