大阪は自転車王国です。北大阪は関西屈指の自転車ホットゾーンですし、南大阪は自転車総合大手のシマノのおひざもとです。
東は生駒山系のとうげ、西は阪神間と六甲山系です。長距離にはアワイチ、ビワイチがあります。チャリを買うところ、チャリで走るところには困りません。
キタとミナミの自転車事情
大阪のざっくりしたエリアの境界は大阪市内中心部です。市役所、大阪城、中之島のかいわいです。ここから北と南で文化や様式が異なります。
典型が『キタ』と『ミナミ』です。阪急か南海電鉄か、梅田か難波か、ヨドバシかLABI1か、須磨か二色の浜か、ガンバかセレッソかetcetc…
ねっからの北大阪人の観点では大和川の向こうはよその土地です。

大和川サイクルロード
対岸の堺は大阪のようで、大阪じゃありません、独立都市国家Sacayです。関空の体感距離は東京より遠方です。和歌山は世界のはて、串本は宇宙のかなただ。
全国的に日本の都心部の自転車環境はかんばしいもんじゃありませんが、大阪市内は究極にカオティックです。中央の5kmを縦断するのが一苦労だ。
ために北大阪のチャリンコ乗りは市内より南側に行きたがらず、南大阪の自転車サイクリストは北上したがりません。都心部のごたごたした混雑は物理的、精神的な壁です。
で、ぼく的にはアウェーになる大阪の南側のエリアにでっかい自転車スポットがオープンしました。abenova、アベノバがそうです。
人手不足でながらくプレオープンの準備期間がつづきましたが、2018年3月10日に待望のグランドオープンが実現しました。
敵地の視察を兼ねて、この南部の拠点に足を運びましょう。

阿倍野のアベノバ
元プロの阿部さんが阿倍野でやるabenova
大阪人はだじゃれをこよなく愛します。言葉遊びが大好物です。店名のabenovaにはそんな趣味がひしひしと現れます。
まずは店舗の所在地です。これが大阪市阿倍野(あべの)区西田辺町2-6-21です。阿倍野の自転車の場、あべのば、abenovaです。
ふたつめが代表者の名前です。これが阿部良之氏です。元プロロードレーサーで、シドニーオリンピックの代表選手です。
キャリアのハイライトは1997年のジャパンカップの優勝です。現時点でJCの表彰台のてっぺんに立った日本人選手はこの『あべちゃん』のみです。
「あべちゃんがあべのでやるからアベノバや! ほんでbをvにしてabenovaや! こじゃれた感じが出るやん!」
「せやな!」
こんな会話が容易に思い浮かびます、ははは。
拠点型のひろびろ店舗兼スタジオ
さて、この阿部氏の阿倍野のアベノバは長居公園の近所にあります。ここは大阪国際女子マラソンのゴールorスタート地点です。公園内のスタジアムはセレッソ大阪の本拠です。
ぼくはその国際女子の前座の市民ハーフマラソンや球技場の室内練習場のフットサルで何度かおせわになります。
が、自転車にベターなコースは公園内外にありません。周回走はむりです。前段の大和川サイクルロードや沿岸部の堺浜の埋め立て地が代替です。

堺浜
このさきの海とのふれあい広場は堺浜クリテのコースになります。
で、アベノバです。店はこの長居公園内の長居球技場のほんとのおとなりにあります。地下鉄御堂筋線と阪和線のあいだの大きなマンションの1階と2階です。

あべのばパース
手前のガラス戸の入り口からオレンジの看板、そのさきまで販売スペース&ショーウィンドです。広さはかなりのものです。ワイズロード大阪、ベックオンクラスです。
しかも、この上の2階がまるまるぶち抜きのスタジオになります。延べ面積は340坪です。何気にGIANTやTREKの旗艦コンセプトストア級の一大拠点です。家賃が気になる~。
アベノバの取り扱い車種
1階は販売スペース&展示スペースです。案の定、ロードがメインです。でも、オフロード乗りにはACQUOSOがあります。ここも阿倍野だ。
また、かいわいにはウエパー本店やラビットストリートなどがあります。住吉大社の初詣のあとの楽しみが増えました。
アベノバの取り扱いブランドはこんなところです。
- コルナゴ
- メリダ
- ルック
- スコット
- GIANT
- KUOTA
- CERVELO
- BOARDMAN
などなど。アメリカ御三家は見当たりません。これらはキタフレンドリーだあ?
一条アルチメイト=TREK、ラビスト江坂=スペシャラです。キャノンデ本社も江坂にありますが、コンセプトストアは心斎橋にあります。
アベノバの店頭ではロードはとうぜんですけど、トライアスロン関連が目立ちました。BOARDMANはイギリスのバイクで、最強のメダリスト兄弟ブラウンリーブラザーズの愛機です。
そのほかに100万オーバーのトライアスロンバイクがちらほらとあります。かたすみにはトライアスロン用のランニングシューズがきちっと並びます。
全体的に競技志向です。阿部代表からスタッフまでアスリートがそろいます。シルベスト系? 実業団系? 店舗の展示からそんなふんいきがします。
かと思えば、人気自転車コミックのろんぐらいだぁす!のキャラやゆるポタツーリングの写真がトライアスロンコーナーの横におめみえします。
東洋フレームとSACRAホイール
つるしの単品のパーツコーナーでは東洋フレームとSACRAホイールの日本勢が目を引きます。
東洋フレームは大阪の柏原のしにせフレーム屋さんです。フルオーダーのハンドビルドが人気です。クロモリラーはパナソニックか東洋フレームかで悩みます。
SACRAホイールは元シマノの人が立ち上げたホイール屋さんです。こちらは数年の若いブランドです。本社は東京の多摩市にあります。売りはカーボンクリンチャーです。
手組ラーはここかのむラボかで悩みます。のむラボホイールがつるしでよその店にあったら、それはそれでチャリ界の一部がざわつきましょう、ははは。
パーツの価格はふつうです。でも、オープン特典がごうかでした。5000円以上のお買い物でかの高名なヒラメのポンプヘッドがついてきました。もちろん、数量限定でした。
型落ちや特価はもうすこし先でしょう。
2階はジムとサロン
くだんのように2階はまるまるだだっ広いスペースです。ちょろっと盗み見しましたら、ずらりと並んだバイクマシン、ホワイトボード、カウンターみたいなところをうかがえました。
「abenovaの名前のとおりにここは自転車の場であり、自転車乗りの場であるところを目指そう」
て、コンセプトがよく知れます。自転車の販売のみにとどまらず、サポート、情報発信、愛好家の交流、人材発掘、選手育成、元競技者のアフターにまでアプローチします。
ゆくゆくの目標は本場の海外で活躍できるレーサーの排出でしょう。
「おれの目の黒いうちにここからツールドフランスに選手を送り出すのや!」
十中八九、あべちゃんの心の奥の声はそんなところです、ははは。
悩みは人手不足
店舗やコンセプトは魅力的です。一見さんやしろうとさんがふらっと立ち寄れます。高島屋やハービスのシルベストルよりフランクです。へんな気取りがない。
このアベノバのグランドオープンでかいわいの自転車パワーが一段とあがりました。地域の活気は相互作用で大きくなります。
お客はぞくぞく来ましょう。そこは心配無用です。小売業界、サービス業界の頭痛のたねは後にも先にも人手不足です。スタッフが足りない。
2016年12月にオープンしたサイクルハンター大阪店は買い取り専門になっちゃいました。おおかた人手不足のせいです。
メカいじれて、販売できて、インストラクターできて・・・みたいな優秀な人材は取り合いになります。
アベノバにぴっちぴちのスタッフがどっさり加入することを祈りつつ、このレポートを終了します。
- 店名:abenova
- 住所:大阪府大阪市阿倍野区西田辺町2-6-21
- 電話番号:06-6629-8070
- 営業時間:11:00~20:00 年中無休
- facebookアカウント:https://www.facebook.com/abenova2017/